昨日、アリゾナ州フェニックスへの出張から帰ってきました。フェニックスには年何回かはで掛けるのですが、驚いたのは瓦礫の砂漠の中にポツンと存在するこの町の人口が全米で6位になったとというとです。聞いて驚きました。さて、今回、サンノゼとフェニックスの2時間の旅に利用したのが表題の妙な航空会社なんです。
日本でもスカイマークとかエアードウー等の新規の航空会社が老舗の航空会社の持つ路線に競合参加したようですが、どうも苦戦しているようですね。大手と同じやり方をして運賃だけで競争を挑んでも必ず大手に負けるのは当たり前の話。新規航空会社の参入には喝采をおくりたいんですが、工夫がなく、これはダメだと云うのが外から見ている私の実感です。
アメリカの民間航空会社は完全に自由化されている為、その競争たるや日本の今のぬるま湯競争とはレベルが違い、現れては消え、大きくなると大手に買収されるなど、熾烈な競争を繰り返しています。今日、取り上げる航空会社もそんな小さな新規参入の航空会社であったのですが、この10年の間に米国大手航空会社の市場に大きく影響を与えるくらい成長、特徴を持った確固たる地位を築いている会社です。
航空会社の名前はSouth West 航空といいます。この会社の持つ飛行機は全てボーイングの737と云う約150人乗りの機体です。機体は窓から下が橙色、上が薄茶色、窓の部分を白で縁取りしたと云う、ひいき目に見ても綺麗な色とは言えません。しかし、機体の種類を絞ることによって会社としてはメインテナンス性とか保守部品の管理が非常に良くなるメリットがあります。まあ、この汚い機体の色も特徴と言えば特徴で目立つことは事実です。
次に驚くのは地上職員や客室乗務員の制服です。上は半そでのポロシャツかシーンズのカッターシャツ、下はカーキ色のコットンの半ズボンまたは長ズボン、靴は自由ですが大抵は白のスニカーを履いています。一見した時は乗務員とバケーションの乗客との区別がつかないぐらい。わずかに首に掛けた写真入りの身分証明書と胸のバッジが航空会社の社員であることの証明で他の航空会社並の制服を着ている機長と副操縦士だけが妙にちぐはぐです。地上職員も客室乗務員の共通した特徴はとにかく明るく楽しく仕事をすることと、客に敬意を払うのでは無く楽しませることに徹しています。航空会社として若いことも影響しているのか、平均的に従業員の年齢が若いのも特徴かもしれません。
のってくると機内アナウンスに続いて笑い話を始める乗務員がいたりすることもありますし、時にはゲートの待合席の所で地上職員が搭乗待ちの客に対してクイズを始め、当てた人には航空会社のマークが印刷されたT−シャツを渡す等と云うサービスもあります。安上がりの制服なんですが、なによりもこの制服は機内での作業性が非常に優れています。
また搭乗手続きなんですが、航空券をチェックインカウンターで渡しても座席指定の番号はもらえません。代わりにチェックイン手続きをした順番を示す数字が大きく印刷されたプラスチックのカードが渡されるます。このカードは行き先や時刻によって色が変えてあります。つまりこの会社の飛行機には座席指定のシステムが無く、機内に乗客が搭乗する場合は1番から30番のカードを持った方は搭乗してくださいと云う具合で、搭乗した乗客が自由に座席を選ぶ訳です。結果的には早くチェックイン手続きをした人ほど選択の自由が高いわけで、自然に乗客は早めにチェックイン手続きをするようになるし、座席番号でチェックインカウンターや搭乗で揉めることも無いと云うメリットがあります。この航空会社の飛行機に初めて乗る人はアメリカ人でも最初は戸惑うぐらいです。
South West航空は空港のゲートに飛行機が到着、全て乗客が降りてから15分後には次の出発地に行く乗客の搭乗を始めることが出きるというサポート体制を整えているそうです。飛行機がゲートに到着する前、既に次の機長と副操縦士はゲートの飛行機の到着場所にスタンバイ、到着後、直ちに副操縦士は機体の点検、機長は機内に乗り込みますし、客室乗務員が機内清掃の一部を請け負っているほどです。
また妙な経験と言えば、機内の座席の何箇所かに列車並の向かい座席があることです。飛行機に頻繁に乗る乗客でも背中の方向に飛行機が進行する経験を持った人はあまりないと思います。滑走路から飛び立つ時と着陸した時の感じはジエットコースターとは言いませんが、本当に妙な感じがします。この向かい座席のある個所は非常口にあたり、万一の時に機内から避難しやすい幅を確保する為、この座席構造になっているそうです。
この航空会社の最大の目玉は低料金です。結果としてSouth West航空の路線と競合する他社の便も競合上、この料金に近い運賃に設定する必要があり、結果的には乗客にとって安い運賃で旅行が可能になるわけです。でも、乗客サービスを削っているかと云うとそうでもなく、朝一番の便を利用しようとすると、搭乗ゲートの脇のテーブルに無料のドーナツが置かれていたり、待合場所でコーヒーが無料で飲めるようなサービスもあります。機内サービスも他社並で、飲み物も自由に選択が出来ます。特に最近は大手航空会社の機内サービスは著しく悪化したので、全く差が無くなってしまいました。
日本の運輸省は低料金化イコール安全性の低下の危惧と言いますが、この航空会社は発足以来、事故らしい事故を起こしていない等、優れた安全性の記録も保持しています。
人によっては飛行機でなくバスみたいと敬遠する人もいますが、旅行者にとっては運賃はやはり一番気になるところ。そのニードとコストダウンと顧客の満足を満たしたところに、この航空会社の成功があるようです。テキサスでスタートした小さな航空会社であったのですが、今では全米50数都市の空港を結ぶ米国の有力な航空会社に成長してしまいました。
岩間@サンノゼ