こちら編集室「テレビ局からの電話」(9月24日)

  東京のテレビ番組制作会社から市役所記者室に電話があった。県南日々新聞を見ていて番組に取り上げたいと思う人物の候補者が見つかったという。番組は郵便局提供で、全国津々浦々を訪ねてそこに暮らす人々を紹介する「つづうらら」。「テレビ東京」を通じて全国35局で放送されているという。

秋田では秋田放送が毎週土曜日午前11時25分から30分まで放送されているという。候補に上ったのは昨年4月15日に本紙が取り上げた「医師と看護婦、薬剤師がトライアングルを組んで在宅医療活動」をしている大曲市角間川町の伊藤良医師のようだ。ようだと言うのも変だが、電話での話だけにまだ確定したとは言えないからだ。いずれにしてもこのケンニチを東京のテレビ制作会社までもが目を通して、番組制作のネタ探しに使っていたのかと思うと嬉しい。伊藤先生の記事は一般ニュースと同時に著名欄にも掲載されていただけに見つけやすかったのだろう。いつか何かの形で役立てばと思って著名欄に分類した記事だった。

  だが、番組内容を書いたファックスを見て戸惑った。「この番組の主役は1億3000万人」とあり▽全国に紹介したい。この人が私の街のNO.1▽全国に見せたい。私の街の絶景ポイント▽全国でも流行るかな?私の街の話題沸騰中−とあり、さらには「通常のレポーターを起用するのではなく、紹介する街の明るく元気な住人がレポートするのです」と書かれている。

  電話を受けた時はてっきり伊藤先生を主人公にテレビ会社が取材し、放映するものと思い相手の方に「ああ。伊藤先生の行動なら絵になりますよ。村々の寝たきりになったお年寄りの自宅を薬剤師の畠中岳さんと看護婦とで一緒に訪問し、しかも標準語を使わず、地元の言葉でお年寄りと接する姿なんかは絶対に絵になります」と話した。しかも「薬剤師の畠中さんも神奈川県の大きな病院から田舎に移り住んで『大病院ではやれない医療活動に取り組みたい』とやって来た方です」とも付け足した。

  電話の相手は「ああ。そうですか。いいですね」と相づちを打ち、「ともかく番組の内容を書いた資料をファックスで送りますので目を通しておいて下さい」と言う。その結果が「紹介する街の明るく元気な住人がレポートするのです」とあった。するとレポートする人はだれ?。ファクスには26日にも当市を訪ね「打ち合わせしたいのでよろしく」とも書き足してあった。どうも良く分からず、そのテレビ番組制作会社に電話した。「ええ。詳しいことはともかく大曲を訪ねて。話しによっては伊藤先生になるのか、このケンニチをやられている伊藤さんが主人公になるのか、いま様々なイメージが浮かんでますので。それにお会いして詳しい話を聞いてみないと番組に合ったストーリーを描けるかも分かりませんし」と言う。テレビカメラが苦手な自分は矛先がこちらにも向いているのに驚いた。「ともかく伊藤先生にお会いして下さい」。そう言って逃げた。

  それにしてもインターネットの時代である。地方にいてもどんどん地方の話題を全国に向けて発信できる時代となったからである。10月31日に大曲市を訪ねて来られるアメリカの岩間郁夫さんは「伊藤さんのやっているインターネット新聞のビジネスチャンスはこれからどんどん広がっていく可能性はあります。アメリカでは50年もの歴史を持った日系の新聞社が紙の新聞発行を止めて、すべてインターネットに切り替えたと言うニュースがありました。時代はそんな方向に向かってます」と以前に励ましのメールをいただいた。

  紙の新聞が無くなるということはあり得ないだろうが、インターネットがもっと家庭に普及したら情報はそれこそ光のようなスピードで世界に広がる時代となるだろう。今回の東京のテレビ番組制作会社からの電話だって、ケンニチに目を通して取材対象を見つけたと言うから「やったぁ」という気分になる。そういえば8月には50代からの生涯青春のための月刊誌「りじょい」と言う東京の雑誌社から「大曲市の元気な年配者を紹介してほしい」と言うメールが来て、子どもたちのために毎日、街頭に立って交通指導をしている鈴木健さん(68)を紹介、その執筆と写真撮影を頼まれ、「りじょい」10月号に掲載された。地方に居ながら中央の仕事をこなせるということもインターネットのおかげで味わった。

  テレビ番組制作会社の人は「伊藤さんのやられているインターネット新聞も私たち番組が意図している『この街が好き』にピッタリなんです」と話す。「いや。この街が好きだとかどうかなんて意識したことはないんです」と逃げた。ともかく話だけは伺おう。ケンニチがテレビ番組に役立つなら協力したいとは思っている。ただ今の段階では実際、どうなるのかはまったく不明だ。だからこの話しは話半分と思ってもらいたい。

  19日から始まった大曲市長選。今週はこの選挙戦の取材に追われ、あたふたとした毎日となってしまった。現職の高橋市長とは仕事上長い付き合いもあってその人柄はよく知っている。それだけに個人的には何とか勝たせてやりたいという気持ちが強い。同時に新人の石塚柏さんも取材を通じて話を聞いていると、「この街をもっと元気にしたい」というその情熱にほだされ負けさせたくないという気持ちにもなる。結果は市民が選ぶことだからその審判に任せるしかないが。

  今日は金曜日。「こちら編集室」の更新日となっている。毎週のことだが何を書こうかと悩み続けた。午前中は昨日取材した市長選の記事でともかく更新を済ませた。それにしても本当に久しぶりに空は晴れて、抜けるような青空が広がっている。「こち編」も書き換えたいが、表紙写真もそろそろ換えたい。午後から車を動かして稲刈りの風景を求めて千畑町へと走った。気持ちいいほどの青空の下で稲刈りがあちこちで進められていた。写真を撮ってそのままとんぼ返りし「こち編」に向かった。今朝の電話を話題にバタバタと書き込んだ。ごめんなさい。

  蛇足=絵本「葉っぱのフレデイ/いのちの旅」を読んで以来、犬を連れての散歩でも木々の葉っぱを見るたびにフレデイを思い出すこのごろだ。この葉っぱたちも10月に入ると次第に紅葉し、母なる木にサヨナラを告げることだろう。命の終わりは「変わることの一つなんだ」と語ったフレデイの友「ダニエル」。もの悲しい秋の朝、犬を連れて葉っぱに思いをやるこのごろだ。