骨董オークション参加日記
骨董屋めぐりの話を以前お話しましたが、最近はついに骨董屋めぐりだけでは飽き足らず、オークションに参加しているので、その様子と成果についてお話ししたいと思います。
オークション
中国でも庶民の生活水準が向上し、家庭内設備が普及するにつれ、また住宅改革によって個人住宅の購入が奨励されるにつれて、室内の装飾という部分にお金をかける傾向にあるとともに、古いものが見直されるというのでしょうか、骨董がブームになっていることは以前紹介したとおりです。歴史だけは古い国だけに、皇帝が愛用した物、文化価値の高い物は門外不出な訳ですが、庶民が使用した物や、価値のある物
でも同様の物が相当流通している場合は、骨董を扱うオークション会社がある程度、数がまとまった段階で専門商、愛好家向けにオークションを開催して売買するということになります。
こういう情報は北京晩報に「オークション情報」として週に1回掲示されます。私もこれまで骨董屋に足を運んでいましたが、場所によっては7割が偽物、また値段がその骨董の実際の価値に比較して高い(交渉次第ですし、値切る楽しみもあるのですが)ことから、オークションにチャレンジしてみようと思い立った訳です。
さてそのオークションですが、実際の開催日の2日前には「予備展」が開催されます。これは会場内で実際にオークションにかけられる品物(書画、骨董)を事前に陳列し、参加者が手にとって物を確認するものです。当然これらは書画を除けばガラスケースに陳列され、職員に声をかけて物を出してもらうこととなります。出品目録も売っていますのでそれにあるロット番号、名前、最低価格、年代等を見ながら確認をしていきます。中には政府の文物管理部門から出品ストップをかけられて目録からはずれされた物、国外持出し不可の物がありますから注意しなければいけません。年代的には古い物でも宋(日本では室町後期)から民国まで様々ですが、やはり物が多いのは清時代が圧倒的です。値段も最低落札価格100元(1600円)からで、価値のある物は例えば明代の「祭蘭白龍紋三足炉」は60000元ですから、いかに幅があるかお分かりいただけると思います。私は今回、この予備展で磁器5点、書画3点のぜひ落札したい物を見つけました。こうして目星をつけて実際のオークションに臨むことになります。
オークション当日は昨日目星をつけた物の希望落札価格の総計と手数料10%分のお金、パスポート等の身分証明証、目録をもって出陣です。受付で登録を行い、預り金200元と身分証明証を預け、自分の好きな番号札を受け取ります。今回は11番を指定し、いよいよ会場へ入室です。オークション自体は実際の物が出てくるのではなく、スライドでの紹介になります。ですから前日の予備展で物を確認しておくことが
如何に大事かおわかりいただけると思います。
新聞報道でも最近はオークションに偽物が出るということですので、現物を見ない限りは下手な買い物になってしまいます。さて、このスライドが良く見える場所に陣を取って開催を待ちます。主催者挨拶、オークションにかけられない物の番号読み上げを経て、いよいよオークショニアの登場です。オークショニアはこの分野に通じており、最近の状況を簡単に紹介しながらロット番号1番からのオークション開始となります。日本語で訳せばこういったところでしょうか?「それではオークションを始めます。ロットナンバー1番、清乾隆年代、豆青釉五福缶、値段は100元からスタートです。どなたかいませんか?」、このようにしてその物が欲しい参加者の間で値段の競争が始まるわけです。ここでも約束事があり、100元スタートの場合は必ず100元毎の加算になります。
最低スタート価格が1000元の場合は200、500、800といった具合です。
今回はオークショニアの紹介もありましたが、東南アジアの経済危機以降、華僑の買い集めが少なくなったせいもあり、落札値段も沈静化するとともに、小物ばかりが落札され、大きな額のものは落札されないようです。実際、私が目をつけた物も2つは100元スタート、1つは700元スタートという大した物ではないのです。ただし日本に持って帰れば大化けするかも知れませんが。こうやってどんどんある物は100元で落札され、ある物は競争の末落札され、ある物は買い手がつかずに流れていきます。いよいよ私が目をつけていた物の番がやってきました。「ロット番号41、民国、金地紅彩碗・皿、100元スタート」です。まず私が札を上げ100元、後ろで札が上がります。オークショニアは「200、300、おりませんか?400…」と札を見ながら値段を確認していきます。600まで来た時に勝負に出ました。一呼吸おいて札を上げます。「700元、どなたかいませんか?最後です。700元。ハンマープライス!11番」。こうして私はまず1件落札をしましたが、当初より値段オーバーです。これで後の物を調整しなければいけません。結局2件をあきらめ、残りを1件は競争、1件は私のみが手を挙げて落札しました。
こうやって午前と午後の一部は磁器、玉器、家具等がオークションにかけられ、あとは書画の部に移ります。ここでは磁器の際の影響でしょうか、私も手が鈍り、最後に4幅1セットの花鳥画を落札したのみでした。落札と同時に担当者が確認書を持ってきますのでサインの上、1枚を手元に置いておきます。
オークションがすべて終了すると、先ほどの確認書とお金を持って落札品の引き取りです。番号札を返し身分証明証と預り金の返還、落札金額の確認(落札総額と手数料1割)、納入と順を経て、落札品を受け取ります。ここで必ず現物を確認し、問題がある場合は協議の上、返還もできます。あとは品物の見せ合いっこがあります。今回、見物する人を除けば多くの参加者が骨董商であり、外国人は私一人でした。
こうしてオークションに参加してみると、いかに街の骨董商が値段を吹っかけているか、偽物が多く出回っているかが良くわかります。例えば100元で落札した物が、いざ売られる段になると500元に化けますし、オークションの際には清同治年代の物が、裏に乾隆制と焼かれているせいで(昔から模造はあるのです)、そのまま乾隆年代になってしまうなど、仲良くなった骨董商であれば「それは新しい物、偽物」などと教えてくれますが、観光で一時的に来た人がその場で買ってしまうということは極めて冒険だと言わざるを得ないでしょう。私もこれで日本で商売をしようという訳でもないですし、個人の趣味で好きなものを集めているだけ、そしてたまたま長期でこちらに来ているという運が幸いしているだけですが、骨董にご趣味がある方は一声おかけ下さい。北京で骨董街にご案内します。ただし購入はあくまで自分が気に入った物をどうぞ。古い物がいいとは限りませんよ。