岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(71)航空運賃」(99・11・22)

(航空運賃の記事の下に岩間さんが出掛けたコロラド州の田舎の町の写真が掲載されてます)

 今週の出張も終わり、今日、20日、土曜日の便でサンノゼに戻っています。3時間半の機上ですから、機内でタイプしています。来週は感謝祭の祝日となる為、仮に月火水の3日間だけ休暇を取ると、丸9日間の休みになる為、シカゴ空港もデンバー空港も大変な混雑です。

 この国の慣習で、感謝祭の休みは日本の帰省シーズンとよく似ていて、遠方で暮らす子供達が両親を訪ねて一同に集まる習慣があり、普段は米国内に散っている子供達が、この日は親の家に帰って来ると云う訳です。また大学生も9月に新学期は始まってから、最初にまとまった連休となる為、ホームシックを解消する意味からも特に一年生の多くはやはり家に戻るようです。またこの時にクリスマスプレゼントを持って
いって、手渡してくる人達も多くいます。何れにしても親にとっては年間を通じてクリスマス以上に楽しみにしているイベントかもしれません。しかし、イベントとは言っても、結局はみんなで集まって、七面鳥料理をメインに食事をするだけ、大抵はその晩に一泊して翌日には皆、帰ってしまうと云うドライな感じもするのですが、それでも普段、親とはつき合いが無いような人達でも、この日が近づくと、何と無く足が、実家の方向に向かうようなことを聞きます。

 さて以前にも一度取り上げたことがあったのですが、このシーズンは年間を通じて最も航空機を利用する人達が多い時期でもあるので、需要を見込んで航空運賃が最も値上がる時期でもあります。鉄道の旅行がほとんど消滅してしまったこの国では、遠方への移動となると航空機か自分の車の利用しか無く、航空運賃は日本の電車賃同様、生活に密着しているだけに非常に気になるところです。

 最近は日本でも随分、国内便の割引チケットが出回るようになったようですが、この国の航空運賃は完全に自由化されている為に、運賃は常に需給の関係と航空会社間の競争で決まります。

 ですから、正直なところ私等のように飛行機を頻繁に利用する人間ですら、サンフランシスコーロスアンジェルス間とか、ニューヨークまでの運賃とか成田迄の運賃は?と聞かれると、今ならこのくらいだと思う?と返事をしますが、実は知らないのです。理由は同じ航空会社を使って同じ距離を移動しても毎回航空運賃が違うと云うぐらい運賃が変わるからです。ですから出張が決まると、まず最初にすることは如何に安い航空券を手に入れるか?であって、本人が希望した時間やルートについて、旅行代理店やインターネットで探した運賃が納得出来ない場合、その代替え便を探すのです。

 探し方は、まず航空会社を代えて探して見ること、目的地迄のルートを変える方法、出張先から戻ってくる日にちを週末にする。航空券を出発日の7日以上前に購入する等々、代理店頼みにせず、自ら探すことが一番です。簡単な話、サンノゼから中西部のシカゴまでの運賃が高かった場合はサンノゼに近いサンフランシスコから出発した場合の料金はいくら?と云うことを調べたり、直行で無く、途中のデンバーで乗り換えたらいくら?と云うようなことです。実はこの僅かな変更が500ドル(5万円)とか600ドル(6万円)の運賃の差を生み出すことが良くあります。

 こんなことを調べるにはインターネットは大変便利であり、近い将来のことを考えると米国内では航空券手配に利用する旅行代理店というビジネスは消滅するのではないか?と感じます。また、インターネットによる航空券購入に変わると航空会社は旅行代理店に支払う発券手数料を支払う必要が無くなる為に、むしろ航空会社としては積極的にインターネットによる便の調査や航空券購入をし易くする為、ホームページはその目的に便利なようにデザインされていますし、インターネット利用だけで航空券を販売するような会社も数多く出現しています。

 旅行の目的は旅行代理店の人以上に本人が一番よく知っている訳ですから、割安運賃を取るか?便利さを取るか?の妥協点を旅の目的に合わせて本人が決める訳ですから、現実には一番良い買い物が出来る訳です。ある意味では航空券の購入などはインターネットの良い特徴が出せる分野だと思います。

 とにもかくにもインターネットを利用している人は、少なくとも、その時点で得られる最低価格の航空券情報を取得出来る訳です。そんな訳で、航空機を利用する場合は、同じ日に同じ便を利用する人、極端な話、自分の座席の隣に座っている人が支払った航空運賃と自分の支払った航空運賃の額が全く一致していないと考えて良いと思います。ある人は同じ便を利用する為に1000ドル(10万円)を支払っているかもしれないし、たったの250ドル(2万5千円)しか払っていないかもしれない訳です。しかし、1000ドルを支払ったとしても別に窓際とか通路側の便利な席が取れる訳でもありませんし、特別なサービスが得られる訳でもありません。ただ運が悪かったと云うだけです。

 最近の航空運賃の実例をあげると米国内線の運賃は非常に割高です。理由は米国の景気が非常に良い為、仕事上の出張者も非常に多いし、一般の旅行者の数も非常に増えているからです。サンフランシスコからニューヨーク間、つまり大陸横断(約5時間半の旅)の往復航空券を購入すると平均1000ドル(10万円)は取られます。しかし、サンフランシスコからニューヨークを飛び越えて大西洋を渡ってロンドンまでの往復航空券を買うとこちらは競争が激しい為に700ドル(7万円)ぐらいで往復航空券を購入出来ます。

 つまり距離と運賃は比例すると云う我々が日本の鉄道料金で慣らされた図式が米国の航空業界では通用しないのです。ではサンフランシスコから成田(飛行時間で片道8−11時間ですが)現在は日米の航空界がしのぎを削っている為、ほとんどの航空会社共に往復600ドル(6万
円)以下で航空券を購入することが出来ます。ただ翌日出発の航空券などを買うと1300ドル(13万円)ぐらいは取られます。更に一時間飛行時間が長いロスアンジェルスー成田間ですと往復の運賃は500ドル以下で購入出来ます。もっとも年末になると日本人旅行者が増える為、その時期には900ドル(9万円)ぐらいまでは上がると思いますが、正月明けにはまた大幅に下がるそうです。また妙なのは同じ便でもアメリカを出発して日本に立ち寄ってアメリカに戻る航空券の方が日本を出発してアメリカに立ち寄って日本に戻る航空券より安いと云うことです。

 こんな状況ですから、人件費などのコストが異常に高い日本の航空会社は国際線では非常に苦戦していると思います。特に、かっては儲け頭であった太平洋路線などは現在、アメリカの航空会社に顧客を随分、取られてしますし、彼らが積極的に増便してくる為、日本の航空会社は大変な苦戦だと思います。本当に日本政府が航空運賃の完全自由化とアメリカの航空会社に日本の国内路線を解放した場合(まずそんなことはしないでしょうが)、今の日本の航空会社は消滅してしまのではないかと思います。一時的には日本の旅行客は競争によって航空券低価格で価格の最大の恩恵を受けると思いますが、そこは競争原理の考え方ですから、勝ち抜いてその路線を独占化した航空会社はこんどは競争が無い為に、逆にその路線の運賃を最大限引き上げます。そこがアメリカ的な商売です。ただ、アメリカの活力のあるのは、こんな形で路線が独占化されると、その間隙をぬって、同じ路線で割安航空券を提供する新しい航空会社が産まれてくることだと思います。


 出張中の空いた時間を利用して、コロラド州の小さな町デイユランゴから更に50キロほど離れたシルバートンと云う町に出かけてきました。
なぜ出かけたか?と云うとその昔は金と銀山で相当賑わった町だったようですが、鉱山の枯渇と共に衰退して、不便な土地がらから交通の要所にもならず、谷間にひっそり残る町と聞いていたんで、ちょっと訪れてみたくなったんです。

 いやー驚きました。峠から見える町の全景は山間の町なんですけど、町に下ると、中心をつらぬく、通りは道幅は十分にあり舗装はされているんですけど、周囲の道路は全て砂利道。建物が古いのは仕方がないのですが、メンテが悪く、ほとんどが傾いたような状態。文明を感じさせるものは道路に停まっている自動車ぐらいなんです。でも実際に人間が生活しているんですけれど、生活感がないんです。

 繁栄を極めるアメリカにこんな町があるのか?と感心してしまい、やはりアメリカは広いや!と思ってしまいました。静かな町には憧れる私なんですけど、こんな町に住むとなるとちと度胸が必要ですね。
 

 

岩間@サンノゼ