岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(72)年末パソコン事情」(99・11・29)

 感謝祭明けとなり、アメリカの年末商戦たけなわです。これからクリスマスイブまでの毎日、ほとんどの店舗は朝7時から夜の9時ぐらいまで
営業と云うわけで、何処も購買客の獲得に力を入れています。その年末の大型商品の一つはやはりパソコンとなる訳ですが、今日はサンノゼ付近のパソコン店内の様子を少し書いてみます。

 アメリカ国内のパソコンの主流はデスクトップ型です。この型のパソコン本体価格は1000ドルどころか、現在は500ドルを割っていて、この価格は特別価格でなく、何処でも同じ様な値段がついていますから、まあデスクトップ型バソコンの相場と考えてよさそうです。また、一時期、携帯電話機の販売で流行ったのと同様、特定のインターネットサービスプロバイダーと3年間契約を結べばパソコン本体は無料等と云う荒商法も出てきています。ただ、まあ普通の購買者はプロバイダーも自分で選びたいし、パソコンにも他のコンシューマー製品同様に自分の好み(?)もある訳で、やはり、その手には乗らず、好みを加味して機種を選ぶ人が多いようです。

 サンノゼ付近の店舗で知る限りでは、日本で良く見かけるデスクトップ型のパソコン本体、デイスプレー、プリンター等などが一緒になった割安感のあるセットものより、多少は好みと予算を加味した、個別機器の購入する人の方が多いように感じます。多分、米国内ではパソコンの新規需要顧客より買い換え需要顧客の方が、より重要な市場になってきているいるからではないかと思います。デスクトップ型で云えばCPUス
ピードが500MHzクラスでRAMが64MB、8GBハードデイスクとCD−ROMにフロッピー、56Kモデムとスピーカー、キーボードと簡単なワープロ等のソフトが付いて600ドルー800ドルぐらいの製品が売れ筋のようです。コストのはるCPUそのものをインテルからAMD製に代えると、この価格は更に100ドル前後安くなります。

 モニターは17インチサイズのCRT型が主流ですが、ただ、アメリカでも自宅に17インチのCRTモニターを持ちこむとやや机上が手狭になります。17インチのホーム用CRTモニターの価格は170ドル−250ドルぐらいです。この分野では日本のTVメーカブランドのモニター商品もありますが、割り高感があり人気はいまいちです。日本で流行のデスクトッップ用のLCDモニターですが、実質17インチモニターと実質の有効画面サイズが類似する15インチLCDモニターは950ドルー1300ドルしますから、便利さは評価しても、自宅のパソコン用のモニターにそれだけのお金を払う人は少ない感じがします。(私も持っていません)

 プリンターはカラーのインクジェットが需要の中心で、これもスペックによって75ドルー200ドルと差はありますが、一般的に150ドル以下の商品でも、デジカメ用プリントに十分使える性能を持っているように感じます。

 その他のアクセサリーとして組み込み型の56Kモデムなら、50ドルぐらいが相場だと思います。30ビット以上のフルサイズスキャナーであれば50ドル−120ドルの価格です。

 一方のノートブック型パソコンですが、これは日本とアメリカと大きな差があります。まず日本で圧倒的に人気があると聞くサブノート型、超薄型パソコンの人気はもう一つですし、この種の日本で売れ筋と呼ばれるメーカーの商品も米国で販売はしてみたものの、苦戦しているようです。たまに日本から来られる方がこの種のパソコンを持ってくるのですが、アメリカ人の多くホーッ!と言って多少、関心は示すのですが、どうも、おもちゃのような印象を与えるようです。

 軽量と云う点は誰も好むところだと思うのですが、アメリカ人のノートブック型パソコンの平均的な要求仕様と云うと画面サイズはノートブック型でも14インチ以上、キーボードのキーサイズが十分な大きさを持ち、打った時のストロークも十分なこと、出来ればフロッピー、CD−ROMも全てが組み込まれた一体型、特殊なコネクターを必要とせずに多くのIOデバイスと接続出きることのようです。

 その意味ではUSBは都合が良い訳なんですが、まだそれほど一般的ではありません。多分、多くの既存のIOデバイスがまだまだ使われているからだと思います。残念ながらこれらの要求を満たすノートブック機種はどうしても外形も大きくて重くなってしまうのですが、私も含めてほとんどビジネスマンはこのサイズのパソコンを出張に持ち歩いています。ノートブック型パソコンの価格は14インチTFT型LCDモニター、400MHzクラスのCPU、64MBのRAMに6GBハードデイスク、CD−ROMにフロッピーとPCMCIAの64Kカードモデムと云う仕様で1600ドル−1800ドルぐらいの価格です。LCDモニターの質を落として13インチサイズのパッシブ型に代えると他の仕様はほぼ同一でも、価格は1000ドル以下の予算で十分購入できます。

 アメリカのパソコン市場で感じることは購買者は他のコンシューマー商品購入と異なり、明らかに異なった商品感覚を持っているらしく、ブランド名は申し分無いものを持つ日本メーカーの製品が、売れ筋にならないことです。パソコン本体だけで考えればさほど価格的に割り高感がある訳ではないのですが(日本メーカ自身が生産していることも無いようですが)、こちらのパソコン店内の展示商品を見る限り、日本メーカーの商品で、存在感があるのはインクジェットプリンターぐらいだと思います。

 パソコンがアメリカで売れ始めた当時、日本メーカーのブランド商品が店内で非常に幅を利かせていたことを思い出すと雲泥の差です。結局のところ、この分野では日本企業はアメリカ市場好みの商品作りに失敗してしまったような訳で、話は逸れますが、アメリカの携帯電話機の市場で起こったのと同様の問題を起こしてしまいました。(アメリカでは日本メーカブランドの携帯電話機はほとんど姿を消してしまいました)

 更にデルやゲートウエイに代表されるよう、アメリカのパソコン販売における通販会社の強さです。この傾向は更に強まっているらしく、通販チャンネルの弱いコンパックやIBMはパソコン市場が大きく成長しているにも関わらず市場では苦戦しています。

 最近の家庭用パソコン市場の動きですが、自宅に複数台のパソコンを持つ家庭が増えたこともあり、自宅内にローカルエリネットワークを構築してしまい、お互いのパソコン機を接続してホームLANとして利用する家庭が増えています。また家庭からサービスプロバイダー間の回線にDSLと呼ばれる既存の電話線を用いた高速通信サービスが急速に普及していることです。アメリカでは割り高と云われるISDNはほとんど普及しませんでしたが、DSLの月額30ドル弱でフラット価格と云う特徴とISDNや56Kモデムの通信速度に不満を持つインターネット利用者には大変な人気で、近い将来、アメリカでのインターネットト利用者の多くは電話モデムからDSLに切り替えを求めるような印象を持ちます。
 
 インターネット利用者にとって日本よりはるかに安い通信サービスコストの恩恵を受けているアメリカのインターネット利用者ですが、アメリカと日本の通信の便利差は益々広がるような感じがします。

ではまた!

岩間@サンノゼ