岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(73)12月7日」(99・12・7)

 ちょとカレンダーを見たら12月7日がまじかなのに気がつきました。日本時間だと12月8日になる訳ですが、いまどき日本人で、この日を思い出せる人はほとんどいないのではないかと思います。アメリカ人でも12月7日と聞いただけで、ピンと来る人は少ないと思うのですが、テレビや新聞等の報道関係者は忘れていないらしく、この日の朝のテレビニュース時間の何処かで、××年前の今日、旧日本の帝国海軍がハワイの真珠湾を攻撃した日ですと伝え、煙をもうもうと上げて沈没炎上する戦艦アリゾナの姿を映し出します。また朝刊の何処かに同じ写真が必ず載せられる筈です。

 最近は3大キーテレビ局と言われるテレビ系列局が直接この種の戦争映画を流すことは無くなりましたが、それでも地方のテレビ局や、古い映画番組だけを流すテレビ局は、12月8日を中心にして前後何日、太平洋戦争を題材にした映画を流します。映画にはあまり詳しくないのですが、アメリカの正義を示すことが出来るような最近製作した太平洋戦争題材の映画が無いせいか?二昔前の日本映画のトラトラトラとかミッドウエイの英語の吹き替え版やケネデイーが海軍に参加して乗っていた水雷艇が日本の艦船と衝突して沈没遭難し救助される迄の話とか、日本軍に攻撃されてマッカーサーがフィリピンを脱出するところから始まって、戦争に勝って厚木の飛行場に降り立つ迄の話といったようなものですから、個人的にはチャンネルを回す時にちらっと映るこれらの番組を見るとよくも毎年同じ物を?とほとんど呆れてしまうくらいで理解できません。

 アメリカの今の好景気を反映して、最近の報道では見ることも無くなりましたが、日米貿易摩擦とか貿易戦争と言われた当時、アメリカの産業の斜陽は日本が原因とばかり、真珠湾攻撃そのものを日本人のずるさの象徴として取り上げて、何となく悪意が見え隠れするような報道も随分目立ちました。戦争突入に関して当時の世界の状況、戦争突入に至る経緯など歴史的な背景や各国の動き等に関する一切の説明をせずに平和なハワイの地に日本軍が突然攻撃を仕掛けてきて多くのアメリカ人の命と財産を奪ったと云うような内容で伝える訳ですから、ほとんどむちやくちゃなんですが、当時のアメリカ人には感情的にうけたようですし、議会関係者も同じ様な講演や演説をしていました。もっとも真珠湾攻撃は戦争では無い。戦争とは双方が構えてから始まるもので、アメリカが構えていなかった以上は卑怯な闇討ちであると云う言い方をする人もいますけれど。

 今年になって日本が太平洋戦争終結の為、連合軍に対して無条件降伏した、その調印式に使った戦艦ミズリーが退役してハワイの真珠湾に係留され記念艦となりました。アメリカにとって太平洋戦争の始まりの象徴であるアリゾナとその終結の象徴であるミズリーが並んで(アリゾナは沈んでますから記念館なのですが)真珠湾に並ぶと云うことは戦争の記憶を絶やさないことと、平和を願うためには非常に価値があると云
うような説明をしていました。無論、個人的に反対はしませんが、再び日米間で産業経済や農業等で問題が浮かび上がってきた時に同じ様な形で利用されるのではないか?と云う懸念はあります。

まあ、毎年12月7日は個人的には少し憂鬱な日です。

岩間@サンノゼ