日本初の血液型漫談師

雄物川町の辻田さん

人生哲学を明るく語る姿をDVDに収録(6月4日・金)

 雄物川町沼館の辻田与五郎さん(58)は農業のかたわら「血液型と人間関係」をテーマに全国各地で講演活動をしている。講演では時の首相とその内閣を構成する政治家の血液型から力関係を分析したり、自らの失敗談を織りまぜ「その人の人生は、その人が考えている通りになるのだ」と訴え、聴いてくれる人たちに夢を持つこと、希望の灯をともせとユーモアな口調で元気づける。今年の正月にはTBS系列テレビにも出演、「日本初の血液型漫談師」の〃お墨付き〃をテレビ局から与えられて全国放映された。すっかり有名人となった辻田さん。講演を聞いた人からは最近、「聞かせたかった」ではなく「見せたかった」という評判が辻田さんの耳に届いたことから、このほどその講演の様子を撮影して「DVD」を作成した。

 辻田さんが初めて講演したのは34歳の時だった。元々、タレント性があってその前から町内の宴会や結婚式があると司会者として引っ張られたり、選挙があるとそのユーモアタップリの口調から応援演説に呼ばれたりしていた。「ひょっとしたら自分は舞台に立つのが似合うのでは」とさえ思った。

 そうした折り、高名なマスコミ関係者の講演を聞いた。話の内容は「どこそこへ行ったらこう言うことがあったということばかり。これなら自分の方がもっと面白く話せる」とと辻田さん。そしてひらめいたのが研究していた「血液型と人間関係」だった。

 辻田さんによると血液型には強型と弱型がある。例えばA型はO、AB型に対して強型であり、リーダーシップを取りやすい。一方で、O型はB型に対して優勢。B型はA型に対して強い。AB型はO、B型に優勢。そして同じ血液型は仲が良かったり、悪かったりを繰り返し、お互い譲らないと友情も愛情関係も破綻を来す例が多いと言う。

 こうした血液型による人間関係をネタに講演を始めた。地元の公民館を借りてのデビューは婦人会を通じて人を集めてもらって実現した押し売りだった。だが、血液型を通じての夫婦の相性、嫁姑の関係などを語った辻田さんの講演は爆笑の渦となった。

 これに自信を得た辻田さんは自らPR用のパンフレットを作り、東北6県を中心とした農業団体や商工会、銀行や企業、公民館などに「講演の企画がありましたら、ぜひご用命を」とダイレクトメールで送り込んだ。その数は年間1000通をこえた。それに対する反響はわずか2%。しかしその2%がモノを言い出した。「講演の押し売りとは」とうさん臭く思われながらも「試しだ。やらせてみよう」と呼んでみたところ、中央で活躍している売れっ子よりも面白いと評判となったからだ。それが口コミとして広がり、年間100回を超す講演数となり、売れっ子としての軌道に乗った。

 この25年で26都道府県を回り、これまで2000回以上の講演をこなしている。辻田さんの講演が受けるのは自身の若いころの苦い失敗談があり、苦労があるからだ。10歳で父を亡くし、母も辻田さんが32歳の時に世を去った。年老いた祖母、幼い弟、妹を養っていくには1.6ヘクタールの田んぼではやっていけない。このため1965年、NHK教育テレビで「エノキタケ栽培」に打ち込む長野県の青年の姿が放映されたのを見て「これだ」と飛びついた。辻田さんは長野県に駆けつけ、青年から半年の研修を受けてエノキタケの栽培を学んだ。

 しかし、自宅で始めた栽培は失敗の連続となった。結局、エノキタケ栽培は諦め、71年からシメジ栽培へと切り換えた。だが、これも失敗の繰り返しで収入にさえならなかった。精神的にも追い込まれ酒におぼれ、アル中状態にさえなった。同じ町内から嫁いだ妻も辻田さんとの結婚生活に終止符を打とうと実家に3度も逃げ帰った。

 「これでは自分の人生がダメになってしまう」と我が身をひるがえった辻田さんは何とか立ち直りたいと必死になって人生論を書いた多くの本を読み始めた。デール・カーネギーの「道は開ける」。ハロルド・シャーマンの「信念の力」。ナポレオン・ヒル「巨富を築く」。気に入ったカ所を見つけては本の中が真っ赤になるほど赤線を引き、手帳にメモし、頭にたたき込んだ。そうして得た結論が「その人の人生は、その人の考えている通りになる」だった。

 そして禁酒禁煙を宣言し、失敗を繰り返したシメジ栽培を必ず成功させると不退転の決意で取り組んだ。「本から学んだ言葉をまるで宗教のように信じ、必ず成功させるとい潜在意識を自分で育てたんです」と辻田さん。試行錯誤もあったが、新たに始めたオガクズを使ったシメジ栽培は酒を経って2年目の72年ごろから軌道に乗り、まとまった収量を挙げるようになった。そして76年には秋田県特用林産物経営コンクールで優秀賞(知事賞)を受賞。辻田さんの夢は実現した。

 こうした体験も織りまぜての講演だけに聴き手は感動するし、引き込まれる。おまけに中曾根首相から竹下、橋本、小渕、森、そして今の小泉純一郎首相まで引き合いにその血液型と人間関係を語るから、聴き手は飽きない。国政選挙が終わる度に「政界要覧」の最新号を買い求め、自民党の総裁から幹事長、政調会長、総務会長ら役員、幹部の血液型を頭にたたき込む。そして内閣を構成する政治家の血液型も記憶に入れる。

 「小泉さんの血液型はA型。盟友の山崎拓さんもA型。青木幹雄参院幹事長もA、連立を組んでいる神崎武法公明党委員長もA。このように小泉さんはA型だけを自分の周辺に集めた。オウム真理教の麻原彰晃教祖もA型。あのヒットラーもA型。いわゆる権力者タイプになりやすい危険性もある」と辻田さんはニコニコ笑いながら、ドキリとすることも言う。

 しかし、辻田さんの講演回数も95年の171回をピークに減少し始めた。不況の波が辻田さんの講演にも及んだ。同時に二人の子どもも大学を卒業し、独立したせいか、辻田さん自身も「ユッタリ」としてしまい、講演を売り込むダイレクトメールの発送も止めてしまった。そのせいもあってか講演の注文回数は大幅に減った。「これではいけない」と再び発奮した辻田さんは昨年9月に講演内容を収録したCDを自主制作。それが再び話題となって講演が来るようになった。

 そして今年正月のテレビ出演。これを切っ掛けに講演で着る衣裳も変えた。それまでは忠臣蔵の羽織姿だった。忠臣蔵の羽織を着たのは赤穂浪士に神崎与五郎という辻田さんと同じ名前の浪士がいたからだ。このため登場する時はNHKの大河ドラマ「赤穂浪士」の主題曲を流して登場していた。

 今はインターネットで検索して買い求めたステージ衣裳「黄色のスーツ」に真っ赤なシルクハットを被っての登場である。しかも、シルクハットを脱ぐと、サムライのカツラ頭となる。音楽も中島みゆきNHKの「プロジェクト・エックス」で歌っている「地上の星」に変えた。

 そして政治家を血液型で風刺したり、嫁姑問題、自分の失敗談も織りまぜながらひょうひょうと人生哲学を語る。講演は1時間半ほどだが、聴衆は笑いの渦に巻き込まれる。笑わせながら辻田さんは「最後は夢を持つことが大事。そして、夢は必ず実現するのだと自分に言い聞かせ、努力しよう」と訴える。

 そうした講演を聴いた人たちから「(講演を)聴かせたかった」ではなく「(講演を)見せたかった」との評判を聞いた辻田さんはCDは「音」だけなのでなら映像でも見られるDVDを作ろうと講演している姿を収録してもらい、自主制作した。そしてCDとDVDのどちらの注文にも応じられるようにした。CDはこれまで聴衆に受けたネタを集めたもので、録音時間40分で1枚2000円(送料込み)。DVDは50分の収録で、1枚2500円(送料別)。自身のホームページからも注文に応じている。

 辻田さんは最近、新しい夢を持っている。それは「農業は厳しいが、これからも農業は続けながら講演やイベントへの出演に力を入れ、NHKの『紅白歌合戦』に出演して白組の応援をすることです」と。常に前向きに人生を歩む辻田さんは夢を追い、それを実現してきた。辻田さんのホームページアドレスは下記から。

 http://www.e-456.com