女の人たちに香りと飾るという夢を提供

大曲市のフレグランスギャラリー「あんだんて」

香水とヴェネチアガラスを素材にしたアクセサリー専門店(3月29日・水)

 大曲市角間川町の南団地にフレグランスギャラリー「あんだんて」と言う香りとガラス工芸品を製作販売する専門店がある。伊藤美果さん(42)が経営する有限会社「あんだんて」だ。フレグランスは香水と言う意味。伊藤さんは店長の小原明美さん(45)=六郷町=とフランスやアメリカ、イタリアなどから取り寄せた香水をミリ単位(50−150円)で販売しているほか、ヴェネチア棒ガラスを素材にしたアクセサリーも製作販売、お店二階で毎週土曜日午後から、「香りのおしゃれ学講座」や純銀の粘土を素材にアクセサリーを作る「アートクレイシルバー教室」「ガラス工房教室」を開いて評判になっている。2月と3月には東京・伊勢丹デパートで開かれた「秋田県の物産と観光」のコーナーで「大曲市のガラス工房」として紹介され、お客さんから特注を受けるなど人気を呼んだ。その伊藤さんらは「これからはインターネット上でも私たちの作品を公開したい」と商圏を全国、いや世界に向けようとしている。

  伊藤さんは元小学校の音楽教師。夫の伊藤良さん(48)は開業医。夫が勤務医をしていたころは共稼ぎをしていたが、1995年、現在地の角間川町字町頭の住宅街に「伊藤内科医院」を開業したのを契機に引退し、専業主婦となった。しかし、学校で子どもたちと共に分単位で追われる生活をしていた習慣が身についたせいか、自宅でジッとしているのがとても苦痛となった。そんなことから香水に興味を持ち、通信教育を受けて香水を学び、98年6月に香水専門店「あんだんて」を医院に隣接して設けた。店の名前の「あんだんて」は音楽用語の「アンダンテ」。「ユックリと歩くようなテンポ」という意味。「お客さまとゆっくりと会話を楽しみながら、香りを選んでもらいたい」との願いを込めた。

  香水を販売しながらガラスのアクセサリー教室があるということを雑誌で知り、仕事で伊藤さん宅に出入りしていた税理士事務所勤務の小原さんと「習ってみない」と東京へ出掛けた。最初は趣味の延長だったが、月1回のテンポで東京で講習を受け、自宅で製作に取り掛かっているうち、単なる個人の世界ではなく「商品」として店頭に陳列し、女の人たちに夢を与えたいと希望が膨らんだ。小原さんの夫は六郷町役場に勤務しているが、明美さんの作っているガラス工芸品の透き通るような青色を基調とした透明感に注目、「清水の町のイメージにピッタリだ」と町の特産品にしてみないかと提案があった。

  そんなことから小原さんは伊藤さんにも相談。二人で取り組もうとなって小原さんは勤務先を辞め、「あんだんて」の店長となると同時に六郷町本道町の町観光情報センターに昨年6月、ガラス工芸品を販売するコーナー「アクアフローラ」を誕生させた。伊藤さんたちの手がけるガラス工芸品は板ガラスに小さな花模様状のヴェネチアガラスの棒ガラス「ミルフォリ」や銀線、釉薬(ゆうやく)などを使って絵つけし、電気炉で焼くと透明なガラス越しに小さな花が並ぶというとても華麗でかわいい作品になる。しかも電気炉と材料さえそろえばだれでも気軽に作れるという魅力もある。

  ガラス越しに花が浮かぶという水中花のようなイメージからガラス工芸品販売コーナーは「アクアフローラ」と名付け、ペンダントやアクセサリー、ブローチ、イヤリング、タイピンなどを作って販売した。値段が1800円から5000円位という手ごろさも受けて評判も呼び、観光客のおみやげ品として喜ばれた。まとめ買いする女性客もいるほどだった。町観光情報センターではさらに同町大町の名水庵「ニテコ」の蔵を借りて昨年5月から11月までガラス工芸品を自ら作るという『体験工房』を設け、伊藤さんと小原さんに講師として来てもらうようにした。観光客が自分の手で世界に一つしかない自分だけのアクセサリーやブローチを作って、電気炉で焼き上がるまでの2時間は町内の清水を見て歩くという滞在型の観光企画としたものだ。この企画もヒットし、多くの人たちが参加して評判を呼んだ。今は体験工房は休んでいるが町では5月ごろから再び開催したいと話す。

 伊藤さんの趣味から始まった香水の専門店「あんだんて」は香りを売るお店と同時に女性たちに“飾る”と言う夢も売るガラス工房へと発展。しかも受講生が伊藤さんや小原さんの指導を受けて世界にたったひとつのオリジナルなアクセサリーを自分の手で作れるという魅力も手伝って、販売から出前講座への招待と活動の場は大きく広がった。そして今度はインターネット上での商圏の拡大。「書くというのも嫌いじゃないのでいろんな人とお話しをしながら、私たちの商品の世界を拡大したい」と夢を膨らませる。

  角間川町は大曲市中心部から6キロほど離れた農村部に位置する。鉄道のなかった明治の初期までは川港として県内一の隆盛を誇ったものだが、今は人口も約2500人とさびれた。しかし、市土地開発公社が宅地として開発分譲し、同町の新興住宅街となった南団地は伊藤医院をはじめしょうしゃな住宅が立ち並び、ささやかながら活気を取り戻している。「インターネットでならこんな田舎からだって私たちの商品情報を全国、世界に向けて発信できる。すぐにビジネスにつながるという期待を持つよりもそうした夢を持ちたい」と伊藤さんは店長の小原さんと手を握った。毎週、木曜日と日曜日は休み。

  あんだんてのホームページはまだ工事中のページが多いが、下記のアドレスへどうぞ。電話は0187−65−2666。写真は左から伊藤さん、小原さん。

http://www2.neweb.ne.jp/wc/andante/