田沢湖町神代で「踊りの塾」

「万踊衆」を開いた菊池さん

わらび座で培った民踊を伝え、踊る喜びを伝えたい(8月27日・火)

 菊池さんの自宅で本紙「読者の広場」に最近になって顔を出し、すっかりおなじみとなった菊池正平さんは田沢湖町神代で踊りの塾「万踊衆(まんようしゅう)」を開いている。菊池さんは「読者の広場」を通じて、本紙「ケンニチ」に過大なお褒めの言葉を寄せて下さっている。だからと言うわけではないが、その菊池さんにいつかはお会いしたいと思っていた。27日朝、菊池さんの都合を聞いて田沢湖町卒田字黒倉の民族舞踊塾「万踊衆」を訪ねた。

 菊池さんの塾は県立自然公園「抱返渓谷」入り口に面した所にある。電話で場所をお尋ねしたら「わらび座劇場から真っ直ぐに走って、抱返渓谷に向かうと左側にログハウスがあります。そこからすぐ右に曲がる道路があり、その一番手前の住宅です」。しかし、菊池さんの教えて下さった道路は見落とし、行き過ぎてしまった。携帯電話で呼び出したら「ああ。じゃあすぐ迎えに行きます」。車を止めて様子を見ていたら100メートルほど後ろの方からスラリとした男性が手を振る。

 「ああ。菊池さんだ」。こちらも手を振って応え、車をUターンさせた。「いやー。ようこそ」。笑顔でこちらに向かって来る菊池さんに車に乗ってもらい、菊池さん宅に入った。木造のちょっとおしゃれな住宅だった。3年前に自宅兼踊りの練習場にしたいと建てたという。

 菊池さんのホームページを見れば分かることだが、その経歴はすごい。菊池さんは1947年2月に岩手県釜石市に生まれ、現在55歳。65年、県立釜石南高校を卒業後、デパートの経理事務を経て、建築設計事務所で設計士の見習いをしていたが、劇団「わらび座」の舞台を見て「自分も舞台に立ってみたい、と矢も盾もたまらず入団してしまいました」。67年だった。

 わらび座の研修教育を受け、演技者として数々の舞台に登場。89年のわらび座第1次ヨーロッパ公演作品では演技者を兼ねて、構成・振り付け・演出を担当。これを機に舞台の振り付け役となった。これまで手がけた作品はミュージカル「春秋山伏記」や「龍姫」そして歌舞集「いのちの祝祭」、劇作品「菜の花の沖」、ミュージカル「アテルイ」など数々に上る。いずれも「わらび座」の人気作品となった。

 わらび座で青春を送り、わらび座で育った人生だったが、「無謀とは思ったが、わらび座で知った踊りの喜びをもっとたくさんの人に味わってもらいたい」とフリーの踊り指導者となることを決断し、今年3月に退職した。そして「今まで猛スピードで生きてきたからこれからは焦らず、じっくりと取り組んでみよう」と宣伝費もかけず、ただホームページを通じて塾生の募集を始めた。

 だから現在の塾生はアメリカのサンノゼで「サンノゼ太鼓」の一員として活躍、昨年からわらび座に研修生として入団し、太鼓を学んでいるミッシェル・藤井さん(27)という女性一人だけ。ミッシェルさんは座員と結婚し、現在はわらび座の寮で生活しながら、菊池さんの塾を訪れて踊りを学んでいる。ほかにこの8月、ホームページで知ったと言う大阪の女性3人が踊りの練習に来た程度。現在はその中の一人の方とビデオを通じて踊りの指導をしている。

 「ビデオよりも本当は生身の人間が向き合って踊らないと踊りの本髄は伝わらないが、大阪まで交通費を掛けて出張するわけにはいかないので、こちらが踊ったビデオを見本に送って踊ってもらい、その相手の方からも踊りを収録したビデオを送ってもらい、それを観てアドバイスすると言う方法を取ってます」と菊池さん。

 菊池さんが伝えたい踊りは土のにおい、潮の香り、汗の中から生まれ、人の温もりの伝わる庶民の踊り、民族舞踊だという。それこそわらび座で培った全国各地の民舞や「秋田おばこ」、「秋田音頭」、「津軽じょんから節」などの民謡踊りや盆踊り、それにお祭りの踊りなどだ。これらの踊りには「自然の息吹が満ちあふれ、人と人の和をつなぎ合わせるエネルギーが詰まってます。それを踊れる喜びを伝え、知ってもらいたい」と話す。

 菊池さんが現役の時に好きだった踊り菊池さんが板敷きの広さ13畳ほどの居間兼練習場で、踊りの話に熱中する時の笑顔は魅力だ。わらび座の舞台で身についたエネルギーが全身から伝わって来るような身振り手振りで話す。菊池さんにはわらび座のアメリカ公演で知り合ったアメリカの太鼓グループの仲間も大勢いる。その人たちも日本の民舞にはとても強い関心を持っていると言う。菊池さんそうしたアメリカの太鼓グループにも「日本の民舞を正しく伝えたい」との夢も持っている。だから踊りたいという希望がある人なら国籍も、性別も年齢も職業も問わないと菊池さん。

 菊池さんの希望としては塾に通ってくれるのなら、毎週、その人の希望に合わせた時間を取り、1時間半の指導で2500円とし、月4回で1万円の月謝。「踊りを気楽に楽しみたいと言う人があれば、出張してでも教えたい」と出前塾の相談にも応じることにしている。

 このほか、専門的に民族舞踊を学びたいと言う人のための「専門コース」も設け、お祭りのための新しい踊りを作りたい、あるいは自分だけの踊りを作りたい、サークルの踊りを作りたい、ミュージカルや芝居を作りたいといった「振り付け・舞踊構成・舞踊演出」などの相談にも応じる。さらに仲間の集まり、保育園や学校の行事、会社の記念行事などのアトラクションのパフォーマンスも手伝えるものであれば力になりたいと話す。

 菊池さんの民族舞踊塾「万踊衆」への連絡は0187─44─3127へ。ホームページ及びメールは下記へ。

http://www.hana.or.jp/~manyoshu/

  mailto:shohei@hana.or.jp