横手市に女性ドッグトレーナー
出張し、飼い主の悩みを聞き、共に訓練します(4月27日・日)
「ワンちゃんとお勉強してみませんか?」。ペットブームの波に乗り、犬を飼ってはみたがむだ吠えや飼い主を威嚇し、かみつくなどそのしつけに困っている人は多い。そうしたワンちゃんのしつけに悩んでいる人のために県南のどこへでも出張し、飼い主の悩みを聞き、犬のしつけを指導する女性のドッグトレーナーが横手市にいる。同市上境字番匠田の小原友望(ともみ)さん(22)だ。ワンちゃんのトレーナーとして開業してまだ1年3カ月。小原さんの存在はまだ余り知られてないようだが、一度、小原さんの指導を受けた飼い主は「あんなに反抗的だった我が家の犬がこんなにも従順になるなんて」と驚き、「若い小原さんが神さまのように見えた」と喜んでいる。
小原さんは高校を卒業後、東京のコミュニティーションアート専門校の動物訓練コースに入学。さらに茨城県で介助犬のトレーニングを約1年間学んだ。そして帰郷して昨年1月にドッグトレーナーとして独立した。訓練を受ける側にとって嬉しいというか、感謝したいのは小原さんのリーフレットに書かれたトレーニング料の安さ。1回目は体験ということで無料、それからは1レッスン(1時間30分)で2000円、散歩のレッスンは1時間1000円。
小原さんは「東京なら1時間の指導で5000円が相場ですが、秋田だとまだドッグトレーナーの存在は知られてないし、ワンちゃんの飼育で困っている人のために役立ちたいから当分はこの料金でいいんです」とさわやかに笑う。
小原さんはトレーニングだけでなく、ペットシッティングも引き受けている。ペットシッティング。聞き慣れない言葉だが、飼い主が旅行などで留守をするとき、その家のワンちゃんを訪ね、エサを与え、ブラッシングや散歩にも連れ出し、飼い主不在で不安やストレスを抱えてしまいがちなワンちゃんの世話をする仕事だ。こちらは朝食と夕食、その合間の散歩もあり一日がかりの世話となるが、それでも一頭当たり3000円の料金設定。
小原さんを本紙が知ったのは「あとりえAndante」の伊藤美果さんからの紹介。詳細は「Andante」さんのホームページ「陽だまり猫日より」に書かれているが、伊藤さんの飼い猫が次々とカゼにかかり病院通いが始まった。毎日のように猫を抱いて病院に通う伊藤さんの姿を目にした飼い犬のチョビが「チェ。ネコばっかり可愛がって」と誤解。8歳になる柴犬だが、自分の母とも思っている伊藤さんがネコを抱いて車で出かける姿を毎日見ているうちにチョビは「もう言うことなんか聞いてやらない」といじけてしまった。以来、散歩に連れて行って帰ろうとすると道端にひっくり返ってだだをこね、無理やり連れて帰ると家の壁をガリガリ。しかも夜中でもそれを繰り返し、ストレスで表情さえも病的なほど変わってしまった。
ネコを連れて通院している動物病院で「ワンちゃんとお勉強してみませんか」と呼びかける小原さんのリーフレットをたまたま目にした伊藤さんは、「8歳にもなったチョビにいまさらしつけの勉強をさせても」と半信半疑ながら、だめで元々と出張指導を依頼。電話を受けて駆けつけた小原さんに対してもチョビは警戒心から威嚇し、盛んに吠えたが、二言、三言声をかけて、おやつをそっと差し出すとチョビは幼なじみのように心を許してしまった。その姿に伊藤さんもすっかり感激。小原さんが「まるで神さまのようにさえ見えた」と驚く。
そして小原さんはチョビを相手に「名前を呼んだら飼い主の目を見るというアイコンタクトのしつけが取れてない」など具体的な問題点を見いだし、その訓練から始めた。さらに飼い犬がどこを触られても嫌がらないようにするボディコントロールや散歩の仕方も伊藤さんはチョビと共に習った。わずか1時間半の〃お勉強〃で、すっかり表情も豊かになり、従順になったチョビに伊藤さんは「私のしつけという常識がことごとく覆された」と驚くばかりだった話す。
26日午後、伊藤さんの依頼を受けて2度目の訪問を受けたチョビは小原さんの姿を見ると大喜びでしっぽを振った。そして伏せを見せたり、コロンと寝転び、自由にボディコントロールも受けた。伊藤さんも小原さんの指導を受けてエサを与えながら伏せやボディコントロールの仕方などを学んだ。
小原さんは「犬を飼ってただ可愛い、可愛いと育ててしまうと、飼い主やそこの家の家族よりも自分がリーダーなんだと勘違いしてしまい、わがままでやっかいな性格になってしまう」と注意する。そして飼い主が嫌気をさして殴ったりすると、飼い主との信頼関係も失い、さらに悪循環にもなると話す。
小原さんがこれまでの訓練で見た飼い主が最も困っている悩みは、むだ吠えと噛むことだ。「飼い主は『甘カミ』だと犬をカバーするけどその手を見ると完全に噛まれた傷が残ってます」と言い、飼育の仕方に問題があるのが分かる。「せっかくワンちゃんを飼ったのだから、ワンちゃんとの快適な生活を楽しんでもらいたいのが私の仕事」と小原さん。そして「初めて接する犬には可愛いからといきなり頭をなでるようなことはしないで。犬も叩かれるのではないかと警戒し、かんでしまう。犬の口の下に拳をソッとだしてその人の手の臭いをかみ出したら手のひらを開き、胸をなでるのが見知らぬ犬と接するコツ」と注意する。
ペットブームの中でも犬と散歩中、電柱やよその家の壁にマーキング(おしっこ)をしたり、他の犬を見ただけで吠えたり、小さな子供やネコを見ると追いかけようとする姿を見て犬嫌いになる人も多い。そうした困った行動も小原さんは「飼い主がワンちゃんに誤解を与えているため。飼い主の心がけ次第で改善されます」と強調する。「叩いてしつけようとしては人に対してかえって攻撃的になる。ワンちゃんの良い行動をほめ、その良いことをさらに強化していく訓練で飼い主もワンちゃんものびのびと生活できるようにしたい」と小原さん。
小原さんへの問い合わせは090─1372─3941へ。