消防マンから産業保健センターコーディネーターに転身──第二の人生にかける冨樫さん(97・1・29記)
大曲市須和町2丁目6の5、冨樫俊悦さん(61)はいま、大曲市地域産業保健センター担当のコーディネーターとして職場の健康管理意識高揚に努めている。昨年3月、大曲仙北広域市町村圏組合事務局長を定年退職後、市内の建設会社に勤務していたが現役時代の幅広い人脈を生かしてほしいと請われて、スタート間もない同センターのコーディネーターとして招かれ、10月から勤務に就いている。
産業保健センター。聞き慣れない名前だが、それも当然。大曲市医師会(荒井嗣会長)が労働省の委託を受けて、産業医をおく義務のない労働者数50人未満の小規模事業所で働く人たちの健康管理の増進を図ろうと昨年8月から業務を開始したばかりのいわばデビューそこそこの福利厚生機関だからだ。
コーディネーターとしての冨樫さんの仕事は知名度の低い同センターの役割を少しでも売り込むことだ。このため市内の各事業所を回って同センターの活用を訴える。
しかし「働いている人たちや事業主の無料健康相談制度だと理解してもらう前に『いくらかかるんですか』と迷惑そうな顔で言われることが多い」と戸惑いを浮かべる。
センターは大曲市医師会所属の産業医38人で運営。事務局は同市あけぼの町の「花園病院」に置き、毎週木曜日午後1時から同病院四階の会議室で医師が控え、職場の健康管理や作業環境管理、労働衛生問題などの相談や社内的なこと、個人的なことの相談に応じている。また、求めに応じて個別に同医師会産業医部会の会員が事業所に出向き、医師としての立場から相談・指導に応じるようにしているという。
冨樫さんは「職場訪問をすると多くの事業主は従業員の健康診断はやっているからと答える。しかし、診断後の問題は個人の問題として放っている。事業主は従業員の健康管理維持に向けて、指導する努力が義務づけられているんです。働いている人が体調をくずして、会社を長く休んだら結局は、会社にとってもマイナス。だから働いている人の健康管理の大切さを訴えるのが私の役目です」と話す。
大曲市商工会の会員事業所は約1500。そのほとんどが従業員数50人に満たない小規模事業所だ。かつては消防マンとして活躍した冨樫さん。現在は180度転換の人間相手の健康管理を訴える役目だが、「同じ人命に関わる問題ですから」と第二の人生に意欲を燃やしている。