インターネットで頑張るゾ
西木村の浅利酒店のホームページ
夢を売るちょっと寄りたいお店です(12月28日・日)
西木村下桧木内字長戸呂の「浅利酒店」は、世帯数わずか40軒足らずの小さな集落の酒屋さんである。そこのご主人・浅利重富美さん(39)と、妻の久美子さん(34)は、この7月7日の
「七夕」の日に「秋田直送地酒や浅利酒店」という名のホームページを立ち上げ、インターネットで、何とか店の売り上げを伸ばしたいと夢を追っている。店独自のオリジナル酒、「にしき郷(ごう)」というお酒を目玉商品に、注文があれば全国どこへでも発送しようというのだ。浅利酒店のホームページに何度か立ち寄った。寄れば寄るほど、いつかこの店を訪ねてみたいという気にさせる。たざわこ芸術村であったインターネット関係者の泊まり掛けの忘年会の帰りとなった28日朝、お店を訪ねた。
訪ねるにはちょっと分かりにくい場所に店はあった。想像していたより小さな店だった。中に入ると二人の子の母であり、妻であり、嫁であり、お店のおかみさんという4つの顔を持つと自称する久美子さんがいた。同店のページ作りのアドバイザーで、「秋田県南日々」の協力記者でもあり、浅利さんのご近所に住む阿部輝忠さん(35)から電話連絡があったらしく、「日々の伊藤さんですか。お話しは前から何度もお伺いしてました」とチャーミングな笑顔を見せた。
訪ねる目的は3つあった。まず、「浅利酒店」のホームページの応援団を努めたい、そして一度 口にしたことのある「にしき郷」を何とか手に入れたい、もう一つはそのおいしいお酒を横浜にいる兄に御歳暮として送ってもらいたい。
久美子さんは「ちょうど良かった。年内に配達するには今日が期限なんですよ」とてきぱきとした手つきで、「にしき郷」を箱に詰め、さらに秋田名産の漬物「いぶり漬け」と特性の盃(さかずき)セット、それに松ぼっくりなどを飾り物に添えて発送の準備をしながら、「七夕にページを立ち上げたのはね。店の売り上げが、絶対に伸びますようにと願いを込めたんですよ」とまるで寿司職人のようなめりはりのいい言葉をポンポン口にした。
「ただ、インターネットでの商売は正直言って、まだ経費倒れ。でも、いいわー。だって、夢があるもん。真心を売るっていう夢。それに遠くの見知らぬ人との交流という夢。田舎の店だから、 大きな企業では出来ないことをやるという夢」。聞いているとこちらの胸まで温かくなる。
ページへのアクセス数は現時点では1日100件足らず。お客さんも、どうしたわけか関西や四国、九州といった遠い所からの注文が多い。久美子さんは「送料を安く設定してしまって、関西や九州へ品物を送ると経費に負けてしまい、ちょっと辛い。だから、関東のお客さんから注文があるとやったー!。もうけたゾ!と叫んでしまう」。根も正直だ。
しかし、九州や関西のお客さんは「にしき郷」を手にした喜びを、メールで届けてくる。「九州の酒より柔らかい。新鮮な体験だった」と。ホームページにはそうしたお客さんのひと言も掲載さ れていて読むのが楽しい。さらに「酒」をテーマにした「ショート小説」も募集している。応募してきた人がいる。福本裕子さんという女性である。福本さんは「真紀」という独身女性を主人公に登場させ、妻ある男とは知らずに男と女の関係になるという不倫に導き、最期は「にしき郷」というお酒を通じて、独身男性に救われるというストーリーの小説を発表した。中々、読ませる内容で感心する。
お店を見回した。小さな店内にはお酒のほかにタバコからシャンプー、洗剤、ハム、鉛筆まで置いている。「随分、さまざまな品物を置いてますね」と尋ねたら、「田舎ではね。酒屋だけでは食っていけないの。だから、酒の他にもウインナーソーセージもあれば、ストッキングもある、缶詰もある。なんでもある店でありたいの。もう。売りたいものを売るんじゃなく、私が買いたいものを売るという店でありたいの。田舎のコンビニだと自慢してます」とはしゃいだ。
なるほど。ひっきりなしにお客さんが来る。おばあさんも入って来れば、おじいさんも入ってくる。「いらっしゃい」「ハーイヨ」。久美子さんの威勢のいい声が店に響く。切れ長の目が光る。秋田美人だ。
読者の皆さん。浅利酒店のホームページをご覧になったら、久美子さんの笑顔を求めて、ちょっと立ち寄る「旅」を試みるのも良いかもしれない。お店で少しの立ち話しを楽しみながら、銘酒「にしき郷」の買い物もいいかもしれない。場所は村に入ったら、住所を参考にどなたかに「浅利酒店」を尋ねるしかないが。
ご主人の重富美さんは、大曲市に本店のある酒の卸・福原酒販角館支店で営業マンとして勤務し ている。「にしき郷」は重富美さんの発想で、神岡町の福之友酒造で造ってもらった。冷やが良くて、ちょっと甘口だが、切れがある。インターネットを楽しみながらちびりちびりと飲もう。
浅利酒店ホームページのアドレスは 「http://www.hana.or.jp/hana/kumiko/」