動き出した知事選

村岡氏、政策発表、寺田知事と厳しく対峙

県の国際系大学設立に疑問を提示、林務部は存続を公約(12月4日・月)

 記者会見で政策発表する村岡氏(中央)任期満了に伴う来春の知事選に自民党推薦で立候補を表明している自民党・村岡兼造代議士の長男で元日本青年会議所会頭の村岡兼幸氏(43)は4日午後、秋田市のビューホテルで記者会見し、県政に向けての「政策発表」をした。会見後は「秋田・未来をひらく県民の会(阿部和夫会長)」主催の「政策フォーラム」を開いて参加した約300人の支持者らに記者会見で渡した「政策発表」資料を手渡し、ディスカッション。さらにアゴラ広場に出て街頭からも県政への自分の考えを訴えた。知事選に向けては9月25日に現職の寺田典城知事(60)が定例県議会で2期目に向けて出馬を表明しており、現時点では寺田氏が自民党の推す新人候補と真っ向から対立すると言う選挙戦の構図となっている。 会見した村岡氏は選挙戦に向けて既に実戦態勢に入ったようだ。会見場に設けた名札もまた、後援会加入を呼びかけるリーフレットもすべて名前を「村岡かねゆき」とし、少しでも“兼幸”の名の浸透を図ろうとしているようだ。

 そして「先月10月27日の出馬表明以来、県内69市町村のうち3分の2は回った。回りながら皆さんの意見を聞き、アドバイスを受けて私の率直な考え方を書いた『現在の県政運営に関して』のパート1と今後の重要な政策上の視点である『21世紀初頭 希望ある秋田づくりのために』のパート2をまとめた。ペーパーにして私の考えをそのまま皆さんに渡すのは、それがコピーとして広がり、あるいはファクスで流され、広く県民に私の考え公約が伝わっていくからだと思うからだ」と自身が発する紙を媒体に自身の考えをアピールすると言う作戦を明らかにした。

 村岡氏はまず渡したペーパーで自らの政治理念を「常に住民対話を重視し、その実践を通して生活者(県民)起点の県政を進め、情報公開と知恵を結集するためのプロセスを大切にする」と述べる。そして寺田知事の県政運営に関しては「本来のコンセンサスを得るために必要な努力を『根回し』と決めつけて省き、議会や県庁内、県民と不必要な摩擦を起こしている」と批判。具体的には「自ら国に要望していた『秋田空港の拡張』を、要望団体や議会と協議せず独断で取り下げるなど、国との意思疎通や情報交換をおろそかにしがちだ」と切り付ける。さらに「国からの出向職員の受け入れを必要最小限にとどめ、職員の幹部登用と女性職員の積極登用の道を広げ、やる気とパワーに満ちた職員を県政の担い手としたい」と訴える。また寺田県政が押し進めようとしている林務部と農政部との統合に関しては「部を減らし、部局の数合わせだけでの政策は行革ではない」と反論し、林務部を存続させることが世界遺産「白神山地」や秋田杉など豊かな森林資源を守り、秋田の特色をアピールすることになると強調。

 さらに県が発注する公共事業をはじめ、多種多様な物品の購入は地元企業、地元中小企業を最優先に発注し、県経済の活性化や雇用安定につなげたいとも訴えた。また撤退が予定されている雄和町のミネソタ州立大学機構の校舎跡を利用しての国際系単科大学の設立に疑問を示し、「県民の声を聞き、県民と対話を重ねてどうしても必要な大学と判断したのではなく、始めに国際系大学ありきとの認識で取りかかったもので、後からプロセスづくりをしたようなものだ」と批判。「真の国際化は図らねばならないが、1学年100人の小規模な単科大学では教授陣やカリキュラムも限定され、果たして学生が集まるか」との疑問を提示すると同時に「例え別な方針が出され(跡地を)利用しないことになっても優れた地理的条件を活かして、青少年健全育成やスポーツ、高齢者福祉機能など様々な活用方策に知恵を出し、県の支援の下で解決策を取るべきだ」と訴える。

 そして「希望ある秋田づくりのために」と題した「パート2」では県がまとめた「あきた21総合計画?時と豊かに暮らす秋田」を「専門的に検証すれば、全く現実感や発展性に乏しい構想だ」と手厳しく批判。「少子・高齢化を伴う急激な人口減少、悪化する雇用環境、厳しさを増す農業情勢などに一定の記述はあるが、きれいごとに終始し、何が課題で何がポイントなのか、何が大切なのかが見えて来ない」とも切り捨て、「秋田再生戦略会議」を新設し、県政の運営方針となる長期構想を一から作り直すとも書いている。

 そして「秋田・21世紀 新時代への挑戦」として▽日本の食料基地、秋田農業の復権▽IT(情報技術)先進県づくり▽NPO先進県づくり▽福祉の心あふれる、やさしい秋田づくりなど6項目の政策を挙げ、市町村合併に関しては「マイナス要因を基にして合併を考えるのではなく、プラス要因を住民と市町村とで徹底的に追求し、大きな可能性を抱ける合併にすることが前進の発想で、成功する合併への道だ」と述べる。

 村岡氏は秋田の農業に関しては「農家経営に希望が持てるよう、生産調整の影響緩和、中山間地対策や複合経営の拡大、生産性・流通機能向上など様々な見地から、総合的な県独自の農家の所得安定化制度を創設する」と公約。IT先進県づくりに関しても「県の構想は余りにも悠長過ぎる」とし、「インターネット世帯普及率13.8%と日本一遅れている秋田県であり、総力を結集して3〜4年の間に一気にトップクラスに近づけ、秋田の新産業の創出や地場産業の新たな活路、秋田の文化を日本中、世界へ発信させるための重要な戦略としたい」とも訴える。

 最後にフットワークの良い県政運営のために「県庁組織の簡素化や人事システムのショートカットなど思い切った行革を断行し、行動と現場主義をモットーにした住民対話、政策立案に時間を優先させたい」としている。