デジタルコンテンツグランプリ東北’99

わらび座の海賀さんの「舞」が部門賞

CG技術を駆使して東北の舞を紐状の人型に再現(3月15日・水)

  コンピューターグラフィック(CG)やインターネット上での静止画やアニメーションなどデジタル作品を対象とした「デジタルコンテンツグランプリ東北’99」に応募していた田沢湖町の海賀孝明さん(29)=わらび座「デジタル・アート・ファクトリー」=の作品「舞」が「動画・アニメーション部門」で部門賞に輝いた。コンテンツは昨年に続いて2回目。授賞式は10日、岩手県北上市で行われた。秋田県からの入賞は海賀さんの作品だけだった。海賀さんはCGデザイナーの黒川匡子さん(30)と共に舞っている人の動きの優雅さや俊敏さをコンピューター上で紐(ひも)状の人型に再現した。「東北の特徴ある伝統舞踊を扱った作品であり、舞踊の優雅さをよく表わした」と審査員から高く評価された。

  デジタルコンテンツグランプリは今後のデジタルコンテンツをリードしていく人材・クリエーターを発掘し、育成・支援して東北地域の情報産業発展の一助にしたいと同グランプリ東北実行委員会(委員長・野口正一会津大学学長)が「東北」をテーマに作品を募集していた。募集部門は「CG・静止画」「動画・アニメーション」「Webホームページ」「パッケージ」の4部門で、全国から合わせて102件の作品が集まった。海賀さんらは「動画・アニメーション」部門に応募、17点の作品の中から部門賞(4本・10万円)に輝いた。

  海賀さんと黒川さんが取り組んだ「舞」は秋田県の西馬音内音頭、秋田おばこ、青森県の盆舞、山形県の花笠音頭、岩手県のみかぐら、鬼剣舞の6つの舞をモーションキャプチャーというデジタルデータ記録装置で収録。その人間が舞う動きをコンピューターの中で紐状に表現。その映像約5400枚をつなぎ合わせて動画にした。黒川さんはその紐人間の動きのデータを関連付ける作業や効果美術面を担当し、海賀さんはどんなシーンを使うか、コンピューターの中のカメラアングルをどうするかなどコンピューターの中で動く紐人間の演出とビデオ編集の監督を努めた。

  動画は3分間だが、映像を観ていると衣裳をまとわない紐という形のシンプルな姿となった人間がコンピューター内で激しく躍動し、優雅に舞う。人の動きが紐というシンプルな映像に成り代わるために、生の舞台で観るよりもハッキリとした印象となって脳幹に残る。その動きに合わせ、笛と太鼓が神秘的で民俗的な音を奏でる。東北特有の民俗的な臭気が生の舞台で観る踊りとは違ったイメージで観るものに生々しく伝わってくる仕上がりだ。「わらび座の生の舞台で表現される踊りをコンピューターを使ったらまた別な表現ができるということを見せてみたかった」と海賀さん。  黒川さんは「東北の舞という素晴らしい素材を下に色の選び方やタイミング、素材のスケールのわずかな違いでも作品の印象が随分、変わるので効果的な見せ方について試行錯誤の連続だった。部門賞という形にすることができて嬉しい」と喜ぶ。海賀さんは「応募締め切り日を勘違いして、気がついたらぎりぎりだった。完成まで10日間も寝ないで作るという地獄の苦しみを味わいました」と受賞を喜ぶと同時に完成までの辛い日々を振り返る。

  海賀さんは昨年12月の財団法人マルチメディアコンテンツ振興協会主催の「第15回NICOGRAPH/MULTIMEDIA論文コンテスト」でも「舞踊符による動作の記述法の提案」が最優秀賞と「国際交流奨励賞」を受賞している。論文は湯川崇さん(秋田経済法科大学短期大学部商経科)、長瀬一男さん(わらび座デジタル・アート・ファクトリー)、佐々木信也さん(秋田県工業技術センター)、玉本英夫さん(秋田大学工学資源学部情報工学科)を共著者にまとめた。