消費生活相談が急増

大曲市の「働く婦人の家」

「海外旅行がお得」と50万円のビデオの押しつけも(11月9日・木)

 大曲市の「働く婦人の家」が受けている「消費生活相談所」への相談が急増している。2年前には36件だったのが、1999年度には102件、そして今年度も4月から10月末現在で75件にもなっている。相談に来る人は電話も含め老若男女を問わないうえ、市民だけでなく郡内の町村や秋田市、羽後町といった遠くの人までも。相談内容も多彩で婦人の家では「相談所の存在感が高まったのは嬉しいが・・・」と複雑な表情だ。

 相談内容はサラ金からの借金を払えず「自己破産したい」と言ったお金に絡む問題からサムライ商法とも言われる行政書士や宅建取引主任資格、旅行業務取扱主任試験などの講座契約の解約、そして相変わらずSF商法による布団の契約解除などが多い。

 特に宅建取引主任資格など資格取得講座の勧誘に引っかかるのは若い人が多く、「資格を取るだけで自立した生活ができる」と言った甘い夢をエサに誘い込み、教材料として40万から50万円近い金額の契約をさせる手法が目立つ。相談のあった75件のうち8件がそのサムライ商法の被害だ。いずれも20代から30代の男女に多い。

 社会保険労務士は国家試験を受けて得られる公的な資格だが、中にはそれに似通った名前の「労務管理士の資格を取って自立した生活を目指そう」と勧誘し、市内の総合宴会場の会議室で1万5000円の講習料を取って試験を受けさせ、「合格したから次の段階へ進める」と教材費60万円の契約をしてしまい、相談に来た37歳の男性もいる。婦人の家で調べた結果、労務管理士と言う公的な資格はなかったため、契約したクレジットからお金が引き落とされる直前に解約に成功した例もある。

 こうした資格取得商法が流行るのも長引く不況でリストラや雇用不安が影響し、国家資格を取得して自立した生活で安定を求めたいとの潜在的な心理が働いているようだ。そのため新聞に入ってきた折り込みチラシなどを見て応募しているようだが、「司法書士も宅建取引主任資格、それに旅行業無取扱主任資格など国家試験の伴うものはそれほど簡単に取れるものではないだけに安易な考えで誘いに乗らないように」と婦人の家では話す。

 若い女の子が勧誘され契約に走ってしまう例で最近目立つのは会員制のビデオ販売だ。会社など勤務先に男性から電話が掛かってきて「あなたはとても安い価格で海外旅行が楽しめる企画に当たった」などと甘いことを言って「お話を聞いてもいたい」と仕事を終えてから会う約束を取って、喫茶店などで「ハワイだってわずか3万9000円で行ける」などと延々と説得。「その特典を得るためにも会員制のビデオを買わないとむだになってしまう」と勧誘し、49万8000円のビデオ20巻の購入契約を結ばせる。しかも、48回払いのクレジットを組むと利子も含め71万7784円と高額になる仕組み。

 さらに悪質なのは巧みにその女性の携帯電話の番号を聞き出し、解約が出来るクーリングオフ期間の8日間、ズーッと「お変わりはありませんか。元気にしてますか」などいかにも心配しているような口調で電話を掛け続け、解約に走らせないようにしている点だ。幸い2件ともクーリングオフ期間内に相談に来たため解約に成功した。

 若い女性が見知らぬ男から職場に電話が掛かって来ると、同僚や上司の目もあって、長話も出来ない上にきつい言葉で断ることも出来ないなど心理的な影響も加わってしまう。このためあいまいな返事で答えてしまい、会わざるを得なくさせているようだ。

 しかも未成年者とはクレジット契約は出来ないことになっているが、電話での勧誘には相手の誕生日の過ぎた翌日を狙って掛けて来る例もあり、婦人の家では「悪徳業者は何らかの手を使って卒業名簿など個人リストを入手し、勧誘する相手の誕生日さえも調べているようだ」と手口の巧妙、狡猾(こうかつ)化に驚く。

 お年寄りがSF商法によって布団を買わされる例も相変わらずだ。今年度に入ってすでに14件もの相談が寄せられている。手口は「健康に関するお話をしたいからお出で下さい」と相手の弱り目に付け込んで、留守にしているお年寄りだけの家を狙って訪問。そして近くの車庫などを借りて集まった5?6人のお年寄りを相手に急須や茶わん、包丁、ブラシ、即席ラーメンなどを手を挙げた人にプレゼント。「いい布団に寝ると生命力がよみがえり、病気も治り、より健康になる」をうたい文句に「ここにいる人にだけ安く売ります」と“親切”を売り込み、20万円近い布団を買わせる。いずれも70歳から80歳前後のおばあさんたちがその被害に遭っている。いずれも家族が後で話を聞いて解約の相談に来たものだ。

 またギャンブルでサラ金12社から380万円もの借金をし、「自己破産をしたい」と相談に来たりする多重債務の例もあるが、婦人の家での裁量権でないだけに「裁判所に行って相談してほしい」と帰ってもらった例も数件ある。消費生活相談所では「相談に来た例はほんの一部かもしれないが、とにかくおかしいと思ったら早めに手を打つこと。そして電話での勧誘に対するあいまいな返事は避けてもらいたい」と注意する。