オイ!金を出せ!

大曲郵便局で強盗に備え訓練

女性客を人質にすごむ強盗役のお巡りさん(11月22日・水)

 女性客に包丁を突きつけ金を要求=訓練です「オイ!。金を出せ!。この娘をケガさせたくなかったら早く金を出せ!。早くするんだー」。22日午後4時ごろ、大曲市の大曲郵便局窓口ロビーに突然と響いた男のど太い声。女性客に包丁を突きつけて局員に「金を出せ!」と脅しつける強盗。訓練が行われると事前に知らせがあったとは言え、強盗役を買って出た大曲署刑事の迫力ある演技に局員たちの顔は引きつり、局内は緊迫した。

 強盗模擬訓練。お金が動き出す年末を控え、世の中がせわしくなると金融機関などを襲って金を奪う凶悪事件が発生する可能性も高まる。日ごろからそうした事件に冷静に対応できる心構えを身につけて置こうと、高橋孝郵便局長が大曲署の協力をもらって訓練を実施した。郵便局はこれから年末にかけて郵便貯金の預け入れや引き下ろしが多くなり、取り扱う現金も多くなる。客から預かった大切なお金を強盗に奪われるようなことがあっても困るし、万が一襲われても犯人検挙に向けて全面的に警察に協力できる態勢を整えて置きたいと昨年7月の訓練に続いて2度目の実施となった。

 婦人警官一人が女性客になり済まして窓口に入ってきた。「いらっしゃいませ」と局員たちは声をかける。間もなく青い帽子に黒いサングラス、そしてヤッケ姿の男がガラスのドアを開けて入ってきて、女性客をはがい締めにして包丁を突きつける。そして「オイ!金を出せ!」の脅しとなった。事前に訓練があるという事が知らされていたとは言え、窓口の局員には緊張感が走り、顔を真っ青にする女子局員も。
 貯金保険課長が模造紙幣を用意するが、出来るだけ時間を稼ごうとする。それを見透かしたように強盗役の刑事は「何をしてる。早くしろ!。この娘がケガをしても知らんぞ」と脅す。「金はこれだけです」と課長が模造紙幣をカウンター越しに渡すと強盗は周囲を用心深く見渡しながら「これだけか。もっと出せ」とすごむ。「もうありません」。その課長の声にあきらめて強盗は人質に包丁を突きつけながら、ドアに向かい、一気に外へ飛び出した。

 事件発生と同時に実際の110番が通報され、お客さんの安全を確かめにホールに走る局員。カウンター越しに飛び出して、犯人を追いかける局員。数分間の出来事はとても長い時間にさえ感じさせた。訓練では犯人が逃走後、人相や着衣、言葉になまりがあったかどうか、そして身長や体重、性別などを局員がすばやくメモし、犯人の遺留品はないかなども注意することも行われた。また防犯カメラのチェックや現場の保全など警察が駆けつけてから捜査に役立つような行動も行った。

 110番通報で駆けつけた警察官が窓口にいた男女の局員に「服装は?。身長は?。メガネはしてた?。ケガは?」と矢継ぎ早に質問。受け付けた局員は「青い帽子を被ってたし、黒っぽいヤッケを着ていた。メガネは黒いサングラスだった。身長は160センチから170センチぐらいだったと思う」とメモや記憶をもとに犯人像を伝えた。強盗を間近に見ていた藤岡和子さん(53)は「訓練だと分かってはいたが怖かった。体がガタガタ震えてしまいました」と顔を青ざめさせていた。

 訓練の様子は大曲署の生活安全課長らも視察。そして同郵便局を中心とした特定郵便局の11人の局長も見学に訪れ、対応を研修した。訓練後、会議室で生活安全課長が局員たちの動きや対応の結果を講評したが「金融機関を襲った強盗は10月31日現在で全国で105件発生し、うち75件は犯人が検挙されている。東北でも8件発生している。秋田市でも3月23日にモデルガンを使って銀行から現金を奪った事件が起きたが、自転車で逃走中に捕まっている」と事例を述べながら「常に被害に遭ったらどうするかという気構えを持ち、110番のスイッチのチェックや警報装置、防犯カメラの確認を怠らないでほしい。また人間の目は誤差が大きいだけに犯人の身長を覚えておくためにはドアのどの辺が頭の位置だったかと目安を付けてもらいたい。危険なため犯人を刺激させるようなことは口にしない。また規模の小さい郵便局ほど狙われやすいので油断しないでほしい」などと注意していた。局員たちはこれを熱心にメモ。「本物が現れても困るが、訓練は勉強になった」と話していた。