現職の寺田氏、圧倒の再選飾る
自民・公明・保守推薦の村岡氏、無党派層に飲まれる(4月15日・日午後11時○○分)
秋田県民は寺田県政の継続を望んだ−。秋田県政の21世紀初頭への舵取り役を選ぶ県知事選は15日、投票が行われ即日開票された結果、現職の寺田典城氏(60)が45万0146票を獲得して圧倒的多数で、再選された。有効投票総数70万458人で、投票率は73.34%だった。自民・公明・保守推薦で新人の村岡兼幸氏(43)が22万6506票、共産党公認で新人の奥井淳二氏(48)は2万3806票だった。寺田氏が村岡氏に22万3640票、奥井氏に42万6340票の大差を付けて圧勝した。これで長野、栃木、千葉の知事選に続いて秋田も「無党派」候補が当選したことになり、政党離れへの一層の弾みとなりそうだ。自民党関係者は「秋田は違う」と強がるが、7月の参院選にも少なからずの影響が出ることも考えられ、緊張感が強いられることになりそうだ。
今度の知事選は争点を見いだせないまま、戦いの火ぶたが切られた格好だった。村岡氏は県議会最大会派で野党・自民党との対立を深める寺田県政に対して「対話とプロセスを大切にした県政運営」をと訴えたが、寺田氏これを逆手にとって「対話とプロセスを大切にすると言うことは(自民党と言う)長いものに巻かれろと言うことだ」と反論、そして応援する陣営は「なぜ今、寺田を変えなければいけないのか」と率直な疑問を県民に投げつけた。対する自民党はその疑問を解く有効な方程式を見いだせないまま選挙戦に入ってしまった。
村岡氏本人の人柄、まじめさ、日本青年会議所会頭を務めた経歴や行動力、そしてチャレンジ精神に対する評価はだれしも認めるが、父親の村岡兼造氏は政権与党・自民党の顔でもある総務会長。その長男が今度の知事選で当選すれば、親子で国と県の権力の座を占めると言う構図に対する県民の疑問もぬぐえなかった。加えて食糧費問題などで混迷を深め、不信のどん底に陥っていた県政を建て直したこの4年間の寺田県政への評価。そして寺田知事らしいことをやろうとしても少数与党のため、自民党につぶされ、県政運営にもがき苦しむ寺田氏への同情なども追い風となって、最終的には「もう一期やらせたい」とする支持の声が雪崩現象となって票が積み重ねられた。
寺田陣営は自民党の組織力を挙げた選挙体制に対して、敢えて政党推薦を求めず「県民党」として無党派層への浸透を図った。これを民主、社民両党、さらに連合秋田が“勝って連的”に応援。県内の労組も組織的に票集めに奔走した。自民党は次々と中央から大物代議士を秋田に呼び、村岡氏を支援。選挙戦突入前は現職と互角の戦いかとも思わせるようなムードの盛り上げに成功した。しかし、どうしても寺田陣営が投げかける「なぜ寺田を変えなければならないのか」の疑問は解けないままだった。自民党県議団は精力的に集会を開き、「寺田さんとはこの4年間、腹を割って話をしたこともない」「寺田知事の言論には目に余るものがある。議会と県との信頼関係がない限り、県の発展はない」などと批判を繰り返したが、県民の目からはそれは自民党県議団に対する大人気なさとしか映らなかった。
寺田氏も遊説先々で「議会と県政は切磋琢磨してこそ発展につながる。一部政党と与することはできないし、長いものに巻かれるわけにはいかない」と反論。陣営も「今、再び自民党主導の県政となったらあの混乱した4年前に逆戻りするだけだ」と県民に4年前の怒りをよみがえらせる作戦を打ち出して危機感を募らせた。こうした波状攻勢で自民党の運動は最終的に上滑りに終わった。
一方の共産党の奥井氏はこの2人の戦いの狭間に埋もれ、無党派層への浸透を図ろうとしたが最後まで盛り上げることができず、不完全燃焼に終わってしまった。また出馬表明が今年の2月に入ってからと言う出遅れも最後まで響いた。
大曲市での開票結果は寺田氏1万8233票、村岡氏5410票、奥井氏501票だった。寺田氏と村岡氏との差は1万2823票となった。前回は寺田氏1万2074票、自民党推薦の候補が8156票だった。大曲市でも地元出身の知事を守ろうと地元意識が高まり、雪崩現象により圧勝した。投票率は76.33%だった。前回の71.97%を4.36ポイント上回った。