画家・小野則夫遺作点

六郷町の学友館で開催

静物に永遠の生命を授けた作家(4月25日・水)

 一枚の絵を仕上げる度に自身の生命を削るような画風で描き、多くの人の心を捉えながら、7年前に大曲市の自宅で47歳の若さで逝去した画家・小野則夫さんの遺作展「永遠の生命(いのち)を受けた静物たち」が六郷町の学友館で25日から始まった。

 百合(ゆり)、烏瓜(からすうり)、貝、ざくろ、埴輪とつぼ、青いトマトと水差し、石楠花(しゃくなげ)など静物を中心に絵筆を奮った画家だった。静物を見つめ、写真のように稠密(ちゅうみつ)な描き方で、自分の骨を削るような鏤刻(るこく)の作家でもあった。ビロードのような繊細さ、壊れそうなはかなさ、そして深みのある色彩を得意とする画家だった。

 大曲高校から阿佐ヶ谷美術学園でデッサンを学び、武蔵野美術大学造形学部デザイン科を卒業、1984年に大曲市内で絵画教室「ねむの木会」を開設し、日曜画家の育成に当たった。無名の画家だったが、91年に秋田市の光悦洞美術館で個展を開催したのを機に中央の画壇からも注目され、成城大学教授で美術評論家・千足伸行氏から「座りのよい安定感と心地よい緊張感のある画風」と高く評価され、93年には東京・松屋銀座で個展を開催、将来を嘱望されていた。しかし、94年6月、自宅のアトリエで病臥し、47歳の若さで惜しまれながら逝去した。生涯で130点ほどの作品を残しただけだった。

 青いりんご、ジャーマンアイリス、古伊万里と桔梗、極楽鳥花、ハイビスカス、薔薇、ランプと静物など作品は寡作だったが、一枚いちまいに自分の生命をささげるような画風は多くのファンの心を捉えて離さなかった。

 遺作展はそのファンの声で実現した。絵を所蔵している人たちに協力を求めた結果、14人の人たちが賛同し、25点の作品が学友館に寄せられた。アメリカの画家、アンドリュー・ワイエスに憧れ、「あんな繊細でドラマを感じさせる絵を描きたいんだ」と常々語っていた小野さんだった。そして小野さんは自身の命を削るように描いた百合や烏瓜、薔薇、石楠花などの花やランプや古い時計などの静物に永遠の生命を授け、世を去った。遺作展は6月10日まで。入館料は高校生・一般210円、中学生以下は無料。毎週月曜日は休館。