打ち上げ場確保のため地権者へ協力求める
初めての話し合い、同意書への締結に大方が賛同(4月27日・金)
規模や質からしても“日本一”の折り紙が付けられている大曲市の全国花火競技大会。観光客は昨年でついに60万人を超すなど毎年記録を更新しているが、大会をこれまで開けたのは打ち上げ会場となっている雄物川左岸側に民家がなく、田んぼだけという安全な場を確保されていたからだった。その場を確保するために地権者と大会実行委員会との間で話し合いをしたことはなかった。ただ暗黙の了解の下での運営だった。地権者の都合で住家が建てられても不思議でない環境にあった。万が一でも、住宅が建つようなことがあれば、会場の確保も困難になるという綱渡り的な危惧にあった。花火競技大会実行委員会(会長・高橋司市長)は27日、市役所で「全国花火競技大会打上場確保連絡協議会」を開いて、地権者に保安距離確保への協力を求めた。地権者との話し合いは初めて。大方が快く賛同した。
大曲の花火の目玉となっているのは10号玉(直径1尺玉)の打ち上げ。花火は危険を伴うことから、それを打ち上げられるためには保安距離として半径約300メートルの用地の確保が義務づけられている。しかし、その保安地区内に民家などが建設されると保安距離の確保が困難となり、最悪の場合、花火の打ち上げさえ出来なくなることも考えられた。議会でも何度かそれを危惧する声もあった。しかし、これまでは建たないだろうとの予測の下で大会を運営していた。
それは大会実行委員会側の都合のいい予測でもあった。保安距離として確保が必要な雄物川左岸の半径約300メートル内はすべて田んぼ。面積は約12.8ヘクタールで地権者は50人。周辺は農業振興地域に指定されているため、現在は基本的に田んぼ以外の利用は出来ないが、地権者の都合で転売されたり、転用されても実行委員会側では何も言える立場ではなかった。「このまま放っておいていいのか」は大会運営者側にとっては喉に刺さったトゲのようなものだった。
話し合って歩み寄ってもらうしかないと決断した委員会では地権者に協力を求め、意向を探った。大方が協力の姿勢を示したことからこの日の初めての連絡協議会となった。会議には50人の地権者のうち14人が参加。委員会側からは市商工観光課と大曲商工会議所事務局が出席した。説明する事務局側は「大会を継続していくためには、会場付近の地権者の方々のご理解が不可欠であり、保安距離内にある農地を法的に規制するものではない」とあくまでも低姿勢だった。参加した地権者も「おれたちの都合で大曲の花火が中止になったなんて言われたくない」と協力、和気あいあいとしたムードで話し合いは進められた。
ただ大量に打ち上げられる花火が散らすゴミが田んぼに落ちて、農機具の故障の原因となっており、その補償を求める声はあった。田口誠一商工観光課長は「いまこの場でお答えするわけにはいかないので実行委員会に伝えたい」と述べた。それ以外は特段の注文もなく、保安距離確保へ協力する「同意書」締結への了解が得られた。期間は5年とし、その都度、更新するという約束。実行委員会側は「この同意については、個人の権利を侵害するものではないことを再度申し添えます」と念書も認めた。
同意書の最終的な締結は個々に地権者を回って調印してもらうことになったが、田口課長は「みなさんから快く承諾してもらった。今日、参加されなかった方も大方は賛同して下さっており、協力はもらえるものと思っている」と安堵した表情だった。