人ひと人と車の群れ=大曲の花火狂想曲

急病人57人を救急車で搬送

心配された雑踏の事故はゼロ、ホッとする関係者(8月26日・日)

 人ひと人で埋まった雄物川河川敷人ひとひと。大曲の花火は今年も河川敷や田んぼなどありとあらゆる広場、隙間を人と車で埋めた。そして晴天に恵まれた暑さもあって急病人も続出。53件の救急車の要請があり、57人を仙北組合総合病院や大曲中通病院など4カ所の病院に運んだ。しかし、雑踏による混乱やけが人はゼロで警備を努めた大曲仙北広域消防本部では「満足した結果だった」と胸を張った。

 「昨年よりも花火への出足は早くなっている」。交通整理を担当した市職員は次々と埋まる駐車場情報に25日昼、そう感想を述べた。23カ所のテント設営可能な駐車場(5220台)は25日午前0時にはキャンプ族で埋まり、13カ所の無料駐車場(4553台)も昼ごろまでにはほぼ満車。テントを積んでくる観光客は民間が用意したありとあらゆる有料駐車場に駆け込み、バーベキューを楽しみながら夜を待った。会場から4キロほど離れた藤木大保地区の雄物川河川敷河川敷も25日朝までに半分ほど埋まった。「こんな所にも来るの?」と前夜から駐車場整備のために泊り込んだ市職員2人だったが、様子を見ていた近くの人は「いまさらながら大曲の花火の人気に驚きを通り越して驚異を感じた」とビックリしていた。そこからさらに2キロほど離れた川港親水公園の駐車場にも岩手県ナンバーの車が24日夜から泊り込んでいた。「歩いても会場までは1時間。会場近くに駐車すると戻りが大変だと聞いたのでここにしました」と車内のカップルはのんびりと朝飯を楽しんでいた。

 大会会場で最も心配されたのが混雑しだした時による群集心理による事故。今大会からは明石市での将棋倒し事故を教訓に会場での事故防止を最大の課題とした大会本部や大曲警察署、広域消防本部、そして警備保障会社。緊急車両が走れる道路の確保を最大の主眼に毎年、見物客で埋まる雄物川右岸の堤防の大曲橋から姫神橋までの1600メートル間は会場に入るための横断以外は立ち入り禁止とした。その影響がどう出るか。警備本部の心配はそれが一番の心配のタネだった。

 このため会場の人の整理と警備に最も多くの警察官、ガードマン、消防署員を配置し、その人数は1000人規模となった。お昼前後から続々と河川敷に入る人の列。姫神橋に陣取って人の流れを見守る大曲署員は「永年の経験でもこんな人出の警備は初めて」と緊張した様子だった。大曲橋上で「混雑してますので橋の上で立ち止まらないでゆっくり歩いてください」と呼びかける若いお巡りさんに「ご苦労さん」と声を掛ける観客は「警察官もとても親切で気持ちがいい」と感動していた。

 花火大会が始まった午後7時40分。堤防上の警備本部で消防署員は「堤防上での見学を禁止した影響はなかった。スムーズに河川敷に人は流れ込んだ。問題は花火が終わってからの混雑です」と話した。救急車の要請も飛び込んだ。救急車は大曲橋と姫神橋のたもとに用意し、いつでも出動できる体制とした。熱中症や腹痛などで会場で苦しみだした観客からの119番。1隊5人編成で4隊の救急隊員はその都度、担架を手に河川敷に走った。そして救急車に乗せ病院に搬送した。「とにかく救急車を走らせることができたし、堤防上での見学をストップさせた今回の措置は大成功だったと思う」と無事に急病人の搬送を努めた広域消防本部では26日朝、そう言って「署員を褒めてやってください」と消防署員の頑張りに胸を張った。

 大曲の花火。64万人もの観客を集めた狂想曲は、大混乱しながらも事故終わった。これで秋田の夏も幕を閉じ、本格的な秋を迎える。