大曲市仙北郡市町村合併調査研究会
「財政基盤の脆弱さ」を強調=報告書まとめる(12月6日・木)
田沢湖町を除いた仙北郡内12町村と大曲市とが、事務レベルで合併について協議してきた「市町村合併調査研究会(座長・石川桂一大曲市総務部長)」では6日までに「各市町村の行財政の現状と提言」と題した報告書をまとめた。報告書では▽人口減少と高齢化の急激な進行を阻止することは非常に難しい▽13市町村の財政状況を精査する限り、財政基盤は脆弱(ぜいじゃく)で、社会経済状況から、好転する要素は見られない▽職員の構成年齢は44歳から53歳へと集中しており、近い将来、行政遂行に支障を来す恐れがあるなどを確認事項としてまとめた。そして各市町村長による「合併を意識した協議会を設置し、話し合いが必要」と提言している。
市町村合併に向けた職員による研究会は7月11日に設立会議を開き、11月30日まで5回の研究会を開いて、財政状況、行政機構などをテーマに話し合った。各市町村の企画、総務、財政の担当課長ら30人がメンバーで、広域市町村圏組合事務局、県仙北地方部がオブザーバーとして参加した。
まず「人口の現状と推計」では2000年の国勢調査の結果、13市町村の総人口は14万3201人だったが、2010年には12万9846人と予測され、1万3355人の減と見ている。高齢者人口割合(65歳以上)は1995年の国調では21.7%だったのが、2010年では28.9%と伸び、30%を超えるのが6町村と推測している。
一方で15歳から64歳までの生産年齢人口割合は65.3%だったのが、2010年までに59%と落ち込むと予測。小学生の児童数も2001年5月1日現在で7842人が、2007年では6359人となり、1477人の減少と推測している。中学生の人口も4541人が2007年には3757人となり、784人減と推測。
そして財政状況では、各市町村が抱えている借金として一般財源から支払われる「公債費」の比率の最高は18.3%、最低は8.8%だった。一般財源に占める公債費比率が15%以上となれば財政的に危険信号が灯るとされているが、その黄信号団体は2となっている。ちなみに大曲市は14.5%だという。
こうした地方債を住民一人当たりの借金として計算すると平均して56万4000円の額となっており、財政的にも非常に厳しい現状が明らかとなった。
一方で合併が実現した場合の職員数なども試算。総務省が示す「定数管理診断表」から推計した結果、現行1985人が1053人となり、932人の職員の減員が可能としている。また首長ら特別職数(4役)も13市町村合わせると現行52人が4人となり、48人の減となる。さらに議員数も13市町村で現在238人が、合併によって14万人規模の都市が実現したとすると定数は34となり、204人の議員減となる。
また合併によって最も大きなメリットは合併後10年間はこれまでの普通交付税の全額が保証されることだと同研究会。1999年度に交付された13市町村の普通交付税は358億6100万円。人口数から見て同程度の規模の都市である青森県弘前市の99年度の地方交付税額は168億円。合併すると弘前市に比べ2倍以上の交付税が交付されることになる。さらに合併市町村まちづくりのための建設事業に対する特例地方債として10カ年で704億円の事業費が保証され、事業を推進するための借り入れ限度額も約670億円と有利な材料が揃うと説明している。
同研究会の事務局となっている大曲市総合政策課では「今回の研究会は情報交換と勉強会が目的であり、事務レベルとしては材料を提供するだけで限界がある。これからは各市町村長と議会の判断に委ねるしかない」と今後の動きを見守る姿勢だ。また研究会での話し合いの結果、「当初は合併しなければならない理屈は分かるが、感情的に抵抗があるとの認識を示した職員も、財政的な面を見ると合併は避けて通れる問題ではないとの考えに変わった」と話す。
研究会ではその他の意見として「役場が町村の中で優良企業であり、若者の就職先となっており、合併によってますます若年者の地元離れが進む」「町村は、全部が公営の温泉施設を持っており、将来的には経営が厳しくなると思われる。しかし経営状態が厳しくても、地元の雇用の場としての役割もある」なども併記された。
また、それぞれの市町村の特徴や自慢も出された。大曲市は「音と光と水」のまちづくり。神岡町は「少年野球発祥の地」として野球好きの町民性。西仙北町は国の重要無形民俗文化財「刈和野の大綱引き」。角館町は「檜木内川堤桜並木」、「樺細工」、「国の重要伝統的建造物群保存地区」など。六郷町は清水の町としての「湧水群」。中仙町は県内唯一の国宝「線刻千手観音等鏡像」、ドンパン節発祥の地など。協和町はまほろば唐松能楽殿での「能公演」。南外村は県内唯一の登り窯の「楢岡焼き」。仙北町は東北最大の国指定史跡「払田柵跡」。西木村は「田沢湖」「かたくりの花の群生」「紙風船上げ」など。太田町は「奥羽グランド・ゴルフ場」など。千畑町は「真昼岳」「松杉並木」。仙南村は古戦場と古代ロマンの里「後三年の役」跡と花菖蒲祭。