仙北地方農業フォーラム
複合経営を確立した3人が実践報告(12月17日・月)
仙北地方農業者フォーラム「拡大・発展する農業経営の確立を目指して」が14日、大曲市のグランドパレス川端で開かれた。農業・農村ビジョン仙北地方推進本部(仙北総合農林事務所)の主催。米を基幹とする農業は、米価をはじめとする農産物価格の低迷、生産調整目標面積の拡大などで厳しい状況となっており、農業者、関係機関、団体が一堂に会し、意見や情報交換を行い、コメから脱却した新世紀にふさわしい力強い農業経営を考えようと開いた。農業従事者、市町村の農政担当、農業委員会、農協職員ら約200人が参加した。
始めに山形大学農学部の楠本雅弘教授が「新しい農業経営を考える」と題して講演。楠本氏は長引く不況で大企業でさえもリストラを行い、終身雇用制度も崩壊し「深刻さは増すばかりだ」としながらも「どんなに暗く厳しい時代でも農業ほど可能性を秘めているものはない」と希望の火を灯した。その上でこれからの農業は家長である経営主一人だけに権利が集中し、家族は無権利、無報酬で時々小遣いをもらう程度の「住み込み労働者」のような古いタイプの世襲型家族農業は行き詰まると訴えた。そして夫婦、親子は農業経営の独立した共同経営者となって、給料をもらい、退職金や年金などを積み立てられる家族パートナー農場の確立を求めた。
そしてその基盤となるのが「どんぶり勘定」の農業ではなく、きちんとした経営計画、目標、資金管理を整える必要があるとし、「貸借対照表(バランスシート)」「損益計算書」「総合資金繰り管理表」「借入金台帳」「家計簿」といった記帳の確立を強調した。
続いて「水稲プラス肉用牛」で複合周年農業を確立した中仙町清水の細谷精悦さん、水稲を中心にメロン、モロヘイヤなど多彩な野菜の販売展開で経営の安定化を図っている大曲市内小友の佐々木幸子さん、それに県内初の野菜生産専用ハウス団地でホウレンソウの大規模農業を確立した平鹿郡平鹿町の柿崎大二朗さんの実践報告があった。
細谷さんは田んぼ8.8ヘクタールと肉用牛57頭を飼育。その飼育から生れる堆肥を使っての土づくりで、コメの良食味生産に取り組んでいる。肉用牛による複合経営に踏み切ったのは転作面積が増えたのと「出稼ぎ」しない農業をやりたかったためとも話した。そして農薬や化学肥料を減らしたコメをJAを通じて消費者と契約販売しているとも。狂牛病問題があってからは「毎月、牛一頭を失っている状態」と苦境ももらした。
佐々木さんは14ヘクタールの田んぼを経営。さらにメロンやモロヘイヤ、とまと、露地野菜など多彩な栽培に取り組んでいる。またアイガモを飼育、50アールの田んぼでアイガモに草取りをさせるなどしてコメの無農薬栽培も実践している。「父から農業を任された時はその借金の多さにビックリした」と佐々木さん。「父はコメの値段は下がらないと楽観的だったが、米価は下がり、減反は増えるばかり。何とか野菜で収入に結びつけたかった」と語った。そして野菜の訪問販売や直売所での販売など「顔」の見える農産物販売、さらにメロンや鴨鍋セットの宅配など多彩な販売活動を報告していた。
柿崎さんは仲間3人と切磋琢磨しながら春から秋までホウレンソウを栽培、冬はシイタケ栽培に取り組んでいる。ホウレンソウは「芳恋草(ほうれんそう)」だとし、そのブランド名で京浜地方を中心に出荷している。ハウスの団地化で農業改良普及所やJAなどから集中的、効果的な指導があったとその支援に感謝していた。