介護のあり方を巡って事例報告
対応困難な痴呆性老人で悩む家族と施設(12月21日・金)
大曲仙北地区介護サービス担当者会議が19日、大曲市の大曲プラザたつみで開かれ、介護保険制度の事例研修と問題提起し、介護のあり方を学び合った。1市13町村の在宅介護支援センターや老人福祉施設、老人保健施設、医療関係者、ホームヘルパーら約100人が詰めかけた。秋田県在宅介護支援センター連絡協議会の主催。
事例研修では太田町在宅介護支援センターの鷹觜真美介護支援専門員と大曲市の特別養護老人ホーム「サンサルビア」の熊谷寛永生活相談員がケース報告をした。
鷹觜さんは81歳の痴呆性の男性への介護サービスの実例を報告。男性はラーメン店を経営している娘夫婦と同居しているが、店の営業で家族が留守中の夕方から夜にかけて不穏な行動に走り、近所に迷惑をかけるようになった。このため居宅支援を受けることになる。当初は自宅で一人で過ごす男性のため、夜8時から8時半までの巡回型ヘルパー派遣を開始したが、見知らぬ人の出入りに戸惑い、ヘルパーに対して大声や手をあげそうになることもあったという。それでも次第に慣れ、留守中の娘夫婦から「安心して仕事に従事できるようになった」と感謝される。その後、以前より早く店から帰宅できるようになったため、夜間のヘルパー派遣を中止し、デイサービスの利用となった。本人は環境が変わることに混乱し「行きたくない」と抵抗したが、最近では板金業をやっていたころの工具をセンターに持参し、何か仕事をしなければならないようだと思っているらしいと報告。
鷹觜さんは「痴呆性老人に対する介護度は低く、有効なケアプランに苦労する。利用者はもっと融通の利くサービス提供を望んでおり、それはサービスの提供者も同じで、利用者に適したサービス提供がやれるような制度にすべきではないか」と訴えた。
サンサルビアの熊谷さんは87歳の女性で、全面介護を要する短期入所利用者の骨折事故をめぐって問題を提起した。女性は入所5日目の日曜日に右足の痛みを訴え、サンサルビア協力病院で診断を受けた結果、重度の骨粗しょう症で、骨折していることが分かる。この問題をめぐって、短期入所者が重度の骨粗しょう症であることを事前に把握していなかった点などを反省すると同時に女性の主治医から「勝手に他の病院で受診した」との抗議を受けたことなどの事例を述べながら、短期入所者の受け入れの際はかかりつけ医との事前の連絡や情報収集を十分に取って、リスクの回避に努める必要性がることを訴えた。
さらに田沢湖町のデイサービスセンター「ひなた」の六郷鉄男生活相談員、大曲市の福祉用具指定事業所「サポート」の中山登志子さんが、それぞれ問題提起した。六郷さんはケアマネージャーからのサービスプランが現状と一致してない場合があると情報提供の充実を求めた。中山さんはエアーマットや介護用ベッドなど福祉用具のレンタル制度のあり方をめぐって改善すべき点が多いと実例を報告した。
最後に痴呆性老人に関するアンケート結果の報告もあったが、痴呆性老人を抱えた家族は受け入れ施設の少なさや、機関が少ないなど在宅介護で困っている深刻な実情が見られた。一方の施設側も「外への徘徊やほかの入所者への暴力のある可能性のある人は、できればお断りしたい」など痴呆性老人の受け入れに苦慮している点が目立った。