合併しない市町村は交付税が圧縮
合併後は旧市町村ごとの地域審議会が行政をチェック(12月27日・木)
大曲市で26日、広域市町村圏組合議会が開かれたあと、総務省自治行政局の井上源三(もとみ)市町村課長を講師に「市町村合併講演会」が開かれた。大曲市と仙北郡内の各市町村長、市議、郡内各町村議会の議長らが聴講した。「これからの市町村のあり方」と題して講演した井上氏は「21世紀は地方分権の時代。これまでは国の法律、県の指導があったが、これからは自分たちの地域の問題は自分たちで考え、取り組んでいかなければならない。大きな視野でまちづくり、地域づくりをしなければならない。そのためにも市町村の規模拡大が求められる」とした上で「合併しなかった市町村は地方交付税が圧縮され、財政的にかなり厳しい状況に追い込まれるだろう」と合併の必要性を訴えた。そして合併に向けた国の財政支援は平成17年3月までが「限度」であることに変わりはないと強調した。
井上氏は地方分権によって「市町村の基幹税である固定資産税の評価も自分たちでしなければならない。しかし、土地、家屋の評価は大変、難しい。それでも自分たちできっちりと評価し、賦課し、徴収するなどの対応が求められる」と事務能力の向上、自己確立が地方分権の時代だとも話した。
さらに「少子・高齢化の時代を迎え、高度な福祉サービスを求められる一方で、税金を払う人は減るばかりで、税収も減る。社会構造も変化してきている。事務の効率化も必要だ」などと国、地方とも財政の著しい悪化で市町村行政を取り巻く状勢も厳しくなるばかりだとして行政規模の拡大を求めた。
また「50年前とは時代が大きく変わった。家庭には車も電話もない時代だった。インターネットなんて考えられない時代だった。しかし、今は働く場も買い物する場も市町村の枠を超えている」とし「民間企業でも何もしなかった企業は淘汰され、消えた。企業はその時代に合わせて変わり、活動してきた。自治体がこの50年間、何も変わらないわけにはいかない」とも訴えた。
そして国・地方合わせた借金が693兆円にも膨らみ、地方だけでも193兆円となった財政事情からも「これまで通りの地方交付税の配分は無理であり、圧縮しなければならなくなったと述べ、「小さな自治体ほどこれまでは国からの財政出動が大きかったが、行財政改革によってそれも見直されようとしている」と国の方針を明らかにした。
出席した市町村長や議員からは「市町村合併しても、県はどうなるのか」との質問もあった。井上氏は「市町村合併後は都道府県のあり方も見直されるだろう」と道州制も示唆した。また国の財政が厳しい中、合併に向けて用意されようとしている「膨大な財政支援が可能なのか」と国の財政支援プランを疑問視する声もあったが、井上氏は「起債の元利償還に対する交付税の算入は20年から30年かけての長期のものであり、大丈夫だ」と強調した。
さらに人口が集中している中心部だけが発展して周辺町村はさびれないかといった心配に対しては「旧市町村の区域ごとに『地域審議会』をつくることができ、新市町村が地域間のバランスを取って事業を実施しているかどうかをチェックできる」と不公平さが生じないシステムとすることを紹介した。
またインターネットを活用した行政システムの確立で、「合併しても地理的な距離は問題にならなくなるだろう」とも訴えた。講演を聞いていた町長の一人は「国は合併は強制はしないというが、かといって合併しない市町村は地方交付税が圧縮されるというのでは選択の余地がないようなものだ。合併しない小さな町村は生き残れないと言うこで、今日の話はボディブローを受けたようにじわりと効いた」と釈然としない様子だった。