大曲市働く婦人の家の子育て支援事業

「子育てプラザ」が好評

幼児に自由な遊び、若いお母さんにも解放感(2月22日・木)

 お母さんたちに見守られ絵を描く子どもたち大曲市働く婦人の家が子育て支援事業として昨年春から行っている「子育てプラザ」が若いお母さんたちに喜ばれている。幼・保育園に入園前の幼児をボランティアグループが集団で世話し、狭い家庭の中ではできない遊びを自由にやらせようというもので、子どもと向き合ってばかりの生活に疲れ気味な若いお母さんたちの心に“ゆとり”を与えているからだ。「子育てプラザに参加した日はホッとして、家に帰ってからも子どもに自然な気持ちで優しくなれる」とお母さんたちは喜ぶ。22日はクレヨン、絵の具を与え、模造紙に自由に絵を描かせるという時間を与えた。親子50組ほどが参加した。

 ワーッ、キャー。婦人の家3階の広い会議室には子どもたちの沸き返るような歓声が響きわたった。ビニールシートを敷きつめ、衣類が絵の具で汚れないよう赤や青、黄色のビニールの袋を被った子どもたちが、筆やクレヨンを手に自由に紙を塗りつぶせるからだ。魚の絵、8本足のタコの絵、チューリップ、あるいは人の姿やウサギを描く子どもたち。中にはただ単に紙を黒や青、赤の絵の具で塗りつぶす子もいた。手のひらと足の裏に絵の具を塗って手形・足形を取る子もいた。とにかく自由である。

 見守っているのはもちろんお母さんたちだが、中心になって世話をしているのは大曲保育ボランティア協会、通称「メダカの会(青池恒城代表)」のメンバーたち。代表の青池さんは平和中学校長を退職後、生涯学習活動をしていたが、婦人の家で子育て支援事業を始めると言うのを聞いて主婦ら29人と共に「メダカの会」を結成して「子育てプラザ」の運営に当たっている。教職時代、美術を専攻としてきた青池さんは「2歳前後の子どもたちに紙と絵の具を与え、なぐり書きでもいいから自由に描かせるという体験はとても貴重なもの。人間の持っている創造性、造形力が育つんです」と子どもたちのしぐさを温かく見守る。「泥んこ遊びと同じです。少子化、核家族化が進み、若いお母さんたちは狭いアパートで子どもと一対一の生活。対人関係がゼロになっている。それだけにここに集まってお母さんから離れ、集団で遊ぶと言う体験が大事なんです。できればもっとお母さんたちには子どものそばから離れてもらい、子ども同士のケンカになるのもいい」と強調する。

 ワイワイがやがやと子どもたちの声が響く。大きな模造紙が青や赤、黄色の絵の具で埋まっていく。大きな筆を握った女の子は何を描こうとしているのか、記者の目からは分からない。ただ熱心に線を引くだけだ。しかし、目がとても生き生きとしている。靴下が絵の具で汚れても、顔も手もやはり絵の具で汚れても、だれからも叱られない。解放感。自由。不安もない。

 メダカの会の事務局を努めている今野悦子さんは「一回目は親子で遊ぼうと歌って踊ってから、全館使って好きなことをしなさいと開放しました。階段を駆け登ったり、飛んだり跳ねたり。さらに新聞紙を千切って玉にして玉入れをやったり。とにかくやっちゃ駄目!と言う制約を取り払ったんです」と子どもたちの元気な姿を思い浮かべながら楽しそうに語った。「二回目は福祉犬を呼んで遊ばせました。ゴールデンリトリバーと言う大きな犬とブタのような大きなネコが来て、子どもたちはその犬におんぶしたりぶら下がって遊びましたよ。とにかくお母さんたちにも、子どもたちにも自由な遊びと言う時間を与え、小さな子どもたちが伸び伸びと育てられるよう手助けしたい」と元気に語った。

 この子たちは何を描こうとしているのだろうかこの日で5回目。中にはおばあさんと来た子もいた。生後8カ月から3歳前後の子どもたち。以前は小学生で「学校に行きたがらないから」と子どもを連れてきたお母さんもいたという。ボランティアの人たちそして小さな子どもたちと一緒に遊び、せいせいしたような顔で帰って行ったと言う。手も顔も絵の具だらけ。スカート、ズボンも絵の具で汚れた子どもたちは午前10時からお昼までの2時間を自由に遊んだ。そのせいか満足そうな笑顔だった。今野さんは「来年度からは2カ月に1回程度と増やし、もっと充実させた企画を練りたい」と張り切る。家庭の中での幼児への虐待が国内で問題になっている。それは育児に疲れたお母さんたちのイライラも一因だと言う。メダカの会の活動は育児に疲れ気味な若いお母さんたちにゆとりと自由を与え、疲れからの解放も狙っているようだ。