大曲市で寄付を受けるべき緑地を購入
市長は釈明もなし、議会も口をつぐんだまま(1月25日・木)
大曲市で民間業者が宅地開発した際に業者から寄付を受け付けるべきはずの宅地内の緑地を放置したことから、緑地の新たな所有者から買い取りを求められ、昨年8月に1500万円で購入していたことが25日までに分かった。担当職員らが法令の解釈を間違ったのが放置の原因だが、そのミスで1500万円もの公金が無駄に使われてしまったことになる。市はこの問題で関係職員8人を訓告処分としたが、管理責任者である高橋司市長は議会全員協議会で説明しただけで、議会と言う場を通じて市民に公式に釈明することもないまま、うやむやとした。責任を追及すべき議会も口をつぐんだままだった。情報公開を口にしながら、都合の悪いことは隠蔽する市。市民感情と乖離(かいり)した今度の問題は、市政への信頼感の揺らぎにもつながり兼ねない。
市によると、この緑地は同市四ツ屋下新谷地の通称「サニータウン」(開発面積約1万5000平方メートル)内にあり、緑地面積は460平方メートル。宅地は千葉県佐原市の業者が知事の開発許可を得て、1991年に開発に着手、92年に44区画分の分譲を始めた。残りの1区画分は緑地として開発業者が自己管理するとの名目で市に届け出た。
都市計画法では開発区域の面積が3000平方メートル以上の場合、開発業者は防災や環境保持のために開発面積の3%以上を公園、緑地、または広場など公共用地とすることが開発許可の条件として義務化されている。
市内の宅地開発業者によると開発前に「開発行為の申請」を市町村に提出し、県知事宛てに「進達願い」を出してもらうことになっているという。その上で、市と県とが事前に緑地の場所や道路、水道管の配置などを図面で協議、緑地は完成と同時に市町村に寄付するという念書の提出も必要だと言う。そして寄付を受けた緑地は地元市町村に帰属し、公共用地として管理することになっている。しかし、都市計画法第40条(公共施設の用に供する土地の帰属)では「開発許可を受けた者がみずから管理するものをのぞき」とのただし書きもあり、「緑地は自己管理する」と業者から言われた当時の担当者がその条項を見ただけで「支障なし」と解釈、市有財産とすべき手続きを怠り、そのまま放置してしまった。建設省では緑地が速やかに市町村に帰属しないと開発業者の倒産などで土地が第三者に渡って、法令の目的に沿わない使い方をされる恐れもあることから82年に「やむを得ない理由で管理を開発業者に行わせる場合でも、(市町村は)所有権の帰属を受けること」と通知している。今回はその建設省通知を担当職員が承知してなかったと言う単純なミスによるものだ。
しかも97年にはその業者が緑地を市に寄付したいと申し出たにもかかわらず、今度は税務課職員が「表面上は緑地となっているが、登記上では宅地になっており、固定資産税も滞納されている」として税を清算してもらってからでないと寄付を受けられないと関係職員で協議の上、杓子定規の判断で問題を先のばししてしまった。
99年6月にはその緑地の所有権が千葉県佐原市の会社役員に移転。昨年5月にこの役員が市役所を訪れ、「緑地であっても建物は建てられるのか」と問い合わせし、「建てられない場所であるのなら市で買い取ってもらいたい」と要請したことから緑地が長い間、放置されていたことが分かった。
佐々木康雄建設部長は25日、「買い取りを拒めば緑地に建造物が建てられる可能性もあり、そうなると住民にも迷惑をかけることになる。値段も開発当時の価格でいいとのことだったので買い取ることにした」と話す。こうして昨年8月に宅地分譲価格と同じ3・3平方メートル当たり10万6400円、総額1500万円で緑地を購入した。
購入費用は、いったん市土地開発基金を取り崩して調達。昨年9月定例議会に一般会計補正予算案から「公園維持管理費」の名目で1500万円を計上、可決された。この定例議会開会前の8月7日に市では議会全員協議会を開催。市側は緑地問題の経緯と1500万円の支出が必要になったことなどを説明した。議員からは市側の対応のまずさを指摘する声も出たが、買い取る以外に方法がないと大方が判断し、了解した。
高橋市長はその後に開かれた9月定例議会の市政報告でこの問題には一切触れず、市民へ公金を無駄にした釈明さえしなかった。議会もこの問題を取り上げず口をぬぐった。
鈴木勝博議長は25日、「市長の要請により、全員協議会を開催し、市側から緑地問題の経緯と買い取りの必要性が説明された。協議会では、市側の所有権帰属に係る事務処理のまずさ、開発行為者に損害賠償請求の可能性など突っ込んだ指摘があったが、第三者に転売されると対抗できないなどの問題もあり、議会としては緑地は住民にとって必要であり買い取りはやむを得ないと判断した」とのコメントを出した。また議会も何ら責任追及する構えを見せなかった事に対しては「確かにその通りだと思うが、大げさにしたくなかったと言う気持ちが働いたのではないか」と話す。
市民の一人は「ミスはだれにもあるから仕方ないが、1500万円もの公金を無駄にしておきながら、議員の胸のうちに収めてもらったというのでは無責任。お金に対する感覚を失ったとしか思えない。それにしても何のための情報公開なのか。自分たちに都合の悪いのは隠すようでは公正で公平な行政は望めない」と憤りを見せる。石川桂一総務部長は「速やかに解決するためにも時間がなく、全員協議会と言う場での説明となった。議員の皆さんにはその場で話したのである程度は公にしたと思っている」と釈明する。一方、議員の一人は「オール与党となっているのが今の議会の現状。職員の横領とか使い込みなら本人に被害額を負担させれば済むことだが、今回はだれも穴埋めすることができない。釈然としないが、あの時はそう言うムードだった」と話す。
今度のミスで市は昨年8月22日に都市計画課の職員の課長クラス4人、課長補佐1人、係長2人、担当職員1人の8人を適正な事務処理が執行されなかったとして訓告処分とした。