広域消防本部の救急活動

救急車1年間で3586件出動

高規格救急車導入で救命率も大幅に上昇(1月26日・金)

 人命救助に活躍している高規格救急車大曲仙北広域消防本部は26日までに平成12年の救急業務の活動状況をまとめた。昨年1月1日から大曲消防署に「高規格救急車」が導入されたが、呼吸や脈拍停止などCPA(心肺機能停止)患者は164人を搬送したが、1カ月後の生存者は11人で、前年の11年の2人に対し、救命率は1.2%から6.7%と5.5ポイントも上昇。救命士を乗せて、医師の指示、アドバイスを受けながら患者を救おうとする高規格救急車内での救命措置が確実にCPA患者の生存率を高めたことになると広域消防では分析する。同本部では平成15年までに角館消防署にも高規格救急車を導入する計画だ。

 昨年1年間の救急車の出動件数は3586件で、搬送人員は3540人だった。前年に比べ件数で126件、人員で13人の増となった。広域圏内(14市町村)で1日平均ほぼ10件の割合で救急隊が出動したことになる。人口割から見ると圏内人口は15万9424人で、45人に1人が救急隊の世話になったことになる。

 救急車の出動で最も多いのが急病で昨年は2231件(62%)、次いで交通事故485件(13%)、一般負傷366件(10%)、病院からの要請を受けて他の病院への転送が347件(同)の順。そして労災事故43件、自殺を図ろうとして出動したのも51件あった。秋田県の自殺率の高さがこの数字からも語られると言えそう。

 搬送人員3540人の状況は初診時、医師によって死亡が確認された患者は152人、重症1142人、中等症1058人、軽症1188人だった。死亡、重症及び中等症を合わせた傷病者の割合は2352人で、全体の66%を占めた。また搬送した人の半数以上の1857人が65歳以上の高齢者で、救急車が駆けつけた時も重い症状に陥っている例が多かった。

 救急隊は大曲救急隊の高規格救急車1台と普通型救急車8台、それに予備車1台の体制となっている。出動件数は大曲が1204件(33%)でトップ、次いで角館救急隊が498件(14%)、六郷救急隊439件(12%)、中仙救急隊357件(10%)、西仙北救急隊301件、田沢湖救急隊277件、協和救急隊274件、南外救急隊124件、西木救急隊112件だった。

 搬送人員3540人のうち、応急処置の対象となった傷病者は3231人で91%だった。処置の内容は急病では呼吸、脈拍、体温、心電図など生体情報であるバイタルサイン観察のための血圧測定、聴診器による心音・呼吸音の聴き取り、気道を確保し、酸素吸入や血中酸素飽和度測定が多く、交通事故、一般負傷では止血、固定、被覆が多い。同本部では高度な医療機器や技術に対応できるような教育訓練の充実を図りたいとしている。

 広域全体のCPA(心肺機能停止)患者の搬送は先にも書いたが164人で、救急救命士が患者の搬送中に衛星電話を使って医師と連絡を取り、その指示やアドバイスを受けながら、器具を用いた気道確保、心臓が止まろうとする時に心臓への電気ショック、そして病院に着いてすぐに点滴を受けられるように措置する静脈路確保のための輸液などを行っている。こうした措置が救命率を高めたと同本部。高規救急車には心電図モニターや心臓への電気ショックを与え、動きが止まるのを防ぐ徐細動器、人工呼吸器、心臓マッサージ器、心電図電送装置など高度な医療機器が積まれ、救命士が搬送中に医師の指示を受けながら応急処置ができるようになっている。

 CPA傷病者として搬送した164人のうち、1カ月後の生存は11人が確認され、高規格救急車が導入される前の年に比べ9人も多い救命となった。しかし164人のうち、38%は家族か会社の同僚が人口呼吸や心臓マッサージなど応急処置を受けて救命率を高めたものであり、同本部では高規格救急車が万全と言うよりもやはり救急車が駆けつけるまでの「心肺蘇生法」が最も大事と強調する。このため、同本部では「みんなで救おう助かる命を」スローガンに救命応急手当て講習会に力を入れている。

 同本部によると「119番」通報を受けて救急車が現場に到着するまでは平均で8分。その8分の間に急病人の家族やそばにいる人が心肺蘇生法を実施すれば救命率は格段に高まると話す。ドリンカー博士の救命曲線によると呼吸停止時間が2分以内での心肺蘇生法の実施なら救命率は90%以上、4分以内なら50%という。高規格救急車の出動は大曲市内ならすべての急病人、事故に対応。ほかの町村の場合は心肺停止の情報を受けて、最寄りの分署や消防署から救急車が駆けつけ、途中で高規格救急車とドッキングする体制を取っている。高規格救急車に乗る救命士の資格取得者は現在4人だが、平成15年に角館消防署に導入されるまでにさらに4人の救命士を養成する予定だ。普通の救急車は900万円だが、高度な医療機器を積んだ高規格救急車は1台4000万円と高価だ。