大曲市の「グリーンホテル大曲」
大曲養護学校の生徒たちの真心に宿泊客も感動(1月30日・火)
「生徒さんの作品を見て感動しました。ゆっくり宿泊することができました」。大曲市朝日町の「グリーンホテル大曲」では県立大曲養護学校(杉山義信校長)の生徒たちから折ってもらった「折り鶴」を部屋のライティングディスクにさりげなく置くサービスを提供しているが、宿泊客は知的障害を持った子どもたちが大曲への歓迎の気持ちを込めて折ったのを知って「心のいやしになった」と喜ばれている。
折り鶴を折っているのは同校の寄宿舎で生活している子どもたち。寄宿舎では小学部1年から高等部まで58人が生活しているが、昨年11月に同ホテルから「お客さまの歓迎の意味を込めた折り鶴を子どもたちに折ってもらえないか」と電話で相談があったのを切っ掛けに杉山校長が「社会に役立つことなら」と子どもたちに相談、子どもたちも興味を示したことから折り鶴を引き受けた。折り紙はホテルが同校に届け、中学生から高校生の20人が宿舎のプレイルームのテーブルで余暇を見つけては折り始めた。
障害を持つ子どもたちだけに鶴の形も様々。紙がクシャクシャになったのもあれば、セロハンテープで鶴のお腹の部分を押さえたものもある。もちろんきれいに完成した鶴もあれば、未完成のままのものも。寄宿舎では「完成した折り鶴はこの中に入れておいて下さい」と書いた段ボールの折り鶴ボックスを用意しているが、子どもたちはそれなりに個性的な折り鶴を作っては一つひとつその箱に入れるのを楽しみにしていると言う。11月下旬から始めたが、これまでの様子を観察したら1カ月で1000羽ほど折っていると言う。ホテルでも1カ月に1回、同校を訪れ、折り鶴と折り紙を交換している。
そしてホテルでは客室のライティングディスクに「お客さまに、気持ちよく寛いで頂けますよう私たち客室係が心を込めてルームメイク致しました」とのメッセージに「この折り紙は大曲養護学校寄宿舎の生徒さんたちが、ようこそ大曲への歓迎の気持ちを込めて一生懸命に折ったものでございます」と印刷した紙を添えて置いている。
旅を終え、あるいはビジネスを終えてホテルの部屋に入った宿泊客はその折り鶴を見て感動するのだろう。「3色の鶴をいただいて参ります。お心配り感謝します。温かみを感じました。生徒さんにもよろしくお伝え下さい。再訪します」(秋田市からの出張者)や「かわいい折り鶴を毎日、ありがとう。大曲養護学校の子どもさんたちの優しい心に触れることができました」「とってもかわいい折り鶴、ありがとう」といった感動のメッセージが部屋に残されている。
ホテルではそうした宿泊客からのメッセージがあればその一通、一通をファクスで学校に届け、学校でもそれを保存して子どもたちに読んで聞かせている。子どもたちは自分たちが折った折り鶴が遠くのお客さんたちに喜ばれているのを知って目を輝かして聞いているという。
久米辰治グリーンホテル支配人は「うちはビジネスホテルだが、宿泊して下さるお客さまの心をいやすホテルでありたいと折り鶴を部屋に添えることを考えた。最初は自分たちでやろうかと思ったが、時間も取れないしシルバー人材センターなどへ外注に出そうかとも考えました。そのうち大曲養護学校の子どもたちにお願いできないものかと電話で相談したら、快く引き受けてくれました」と感謝し、「近いうちに子どもたちをホテルに招待し、ホテル内を見学してもらってからランチでもご馳走したい」と嬉しい話も聞かれた。
この折り鶴が直接、縁を結んだわけではないが、同ホテルの清掃を引き受けている秋田市の「友愛ビルサービス」では30日、子どもたちの将来の就職につながればと高等部の生徒4人を「職場体験学習」に招いて清掃実習を体験させた。加賀谷清一主査は「ホテルの部屋は灰皿からマッチ、コップなどありとあらゆるものが凝縮された世界。いかにお客さまに気持ちよく泊まってもらうかベッドメイクするのが私たちの仕事。子どもさんたちがどのくらいそれに理解を示してくれるのかを見たい」と言い、社員の指導を受けながら部屋の床に掃除機をかける生徒たちの動きを温かい眼差しで見守っていた。