大曲市で移動県民会議
孤立化する若いお母さんたち(6月7日・木)
秋田県健康福祉部子育て支援課主催の「夢ある子育て・家庭づくり」移動県民会議が6日午後から大曲市の職業訓練センターで開かれた。本県の人口は98年で約120万人だったが、現状のまま自然減や若い世代を中心とする県外転出が続けば2020年には100万人を割ることも予想されている。このため県では子どもを生み、育てやすい環境づくりや若者の県内定住の促進など少子対策の推進に力を入れている。その一環として昨年11月には「夢ある子育て・家庭づくり県民会議」を立ち上げ、「あきた21総合計画」でも「子育てに夢を持てる社会づくり」を主題に「結婚や子育てに夢を持てる意識の啓発」「地域社会や子育てサポート体制の充実」「子育てと仕事の両立支援」「子どもの健やかな成長の支援」という4つの目標を掲げて積極的な施策・事業の展開を図っている。
今回の移動県民会議は県内各地を巡回して県民から生の声を聴いて子育て支援に役立てたいと企画。4日から県の健康福祉センターの置かれている県内8カ所で会議を開くことにしたもの。大曲市は6番目の開催で、県民会議のメンバー36人のうちから6人と市町村役場の福祉課職員や民生児童委員協議会委員、幼・保育園長ら50人が出席した。
県が示したデーターによると本県の出生数は1947年(昭和22年)の4万7838人をピークに下がり続け、95年(平成7年)以来1万人を割って、出生率は全国最下位になっているという。その一例を挙げれば、85年(昭和60年)の出生数は1万3633人。その15年後の99年(平成11年)の出生数は9168人で、4465人減と言う著しさだ。一方、未婚率も上昇、25歳から29歳の未婚率は80年(昭和55年)で20%だったのが、95年(平成7年)のデーターでは43.9%と倍増するなど晩婚化が進んでいる。
出生率が低下した原因は何か。県が96年(平成8年)に調査したアンケートによると「子どもの生活費、教育費にかかる経費」「育児と仕事を両立させる社会的仕組みが整ってない」が最も多く、「少なく生んで充分に手をかけて育てたい」「子どもよりも自分の生活を充実させたい」がそれに続いた。こうした少子化の進行は高齢化と相まって社会全体の活力を低下させ、県民生活全般に様々な影響を及ぼすことが懸念されている。
これまでの県民会議での話し合いでは、育児不安の解消に向けて子育てサークルの推進や子育てボランティアの養成の充実など「子育てサポート体制」の構築、結婚する機会を増やすためにも男女交流の場の拡大、学校行事、子どもの入院時に向けた有給休暇制度の創設、育児の充実を図るため短時間勤務制の導入、空き店舗や余裕教室を使っての子育てボランティア交流施設の整備などの提言があった。
一方、この日の移動県民会議では出席者から「農村部の若い嫁さんたちは世間体を強く気にする傾向があって、仕事に就いたりパートに出たくても子どもを保育所や他人に預けることが出来ないでいる」と保育園や幼稚園に乳幼児から預けることが冷たい目で見られがちと言う保守的な習慣に悩む声。逆に核家族化が進み「子どもが生れると昔だったらおばあちゃんから母乳の与え方やおしめの仕方などを教えられながら育てたものだが、今は子どもが生れても接し方や母乳の与え方も知らないと一人で悩んでいるお母さんたちもいる」と赤ちゃんを抱えながら孤立している現状を訴える声もあった。
また「子育ては苦痛と言う若いお母さんたちのストレスを解消するためにも悩みやコミュニケーションを深める場を設けるべきだ」などの意見もあった。幼稚園の代表者からも「子どもを生んで良かった。育てて良かったと思える経営を念頭に園を運営している。そのためにも子どもたちの親や祖父母にも園に来てもらい心のつながりも大事にしている」との報告もあった。
県医師会推薦で県民会議の委員になった小児科医は「かつては3歳になるまでは家庭で育てるべきだとの考えがあったが、家庭でも施設でも子どもの心の成長に差はない。問題はいかに幼児と接するかのスキンシップだ」と働くために乳幼児を預けることに悩むお母さんたちに助言していた。また「子育てはお母さんに任せるだけでなく男性も積極的に参加すべきだし、そうした意識を持たせるためにも青少年時代から小さい子と接する機会を多くすべきだ」と提案していた。イギリス人でもう一人の県民会議委員の聖霊女子短大講師は「イギリスでは昔は母は家庭を守るもの、夫は働いて生計を立てるものと役割がハッキリしていたが、今はお父さんも子どもの面倒を見るのが当たり前の時代だ」と子育てに男性の参加を求めていた。
主催した県子育て支援課では「これまでの会議ではお母さんたちが子育てしながらも孤立化しているとの悩みが多く聞かれた。また結婚難も深刻になっている。子育て情報誌の発行も含め、官民挙げての取り組みを進めなければならないと思う」と話す。