仙南村の斎藤前村長
戦後から現在までの1836冊を村教育委員会へ(6月14日・木)
仙南村の斎藤克巳前村長(74)=金沢字狐森=はこのほど村教育委員会に日本の農業研究月刊誌として国際的にも知られ、権威のある「農業および園芸」(養賢堂刊)、「畜産の研究」(堂)、「農業技術」(農業技術協会刊)の3誌を昭和21年(1946年)から現在までの分、合わせて1836冊を寄贈した。いずれも斎藤前村長が農業研究や農村、作物との関わりの“情報3源”として極めて大事な役割を果たしてくれた月刊誌だと言う。「このまま自宅に眠らせておくのももったいない。村の人だけでなく農業を研究したいと思う人に役立てたい」と斎藤前村長は話す。
「農業および園芸」は昭和21年(1946年)のVOL21から平成12年(2000年)のVOL75までの54年分。「畜産の研究」は昭和23年(1948年)のVOL2から平成12年(同)のVOL54までの52年分624冊。農業技術は昭和28年(1953年)のVOL8から平成12年のVOL55までの47年分564冊。
この月刊誌に論文を発表することは日本学術会議員の選挙権を得るための申請要件にもなり、かなりの研究成果をもつ者のみしか掲載されないと斎藤前村長。自身も県農業改良課職員時代の昭和30年(1955年)に天王町にあった県農業経営伝習農場で稲作の早播き、早植え、早採りを研究。その成果が論文として掲載された。
当時、農業用ビニールが出たばかりで、水苗代で苗を育てていたのを畑で苗を育て、それにビニールで覆いをかけて育苗を早め、田植えの早植え、早採りの技術を見いだした。当時与えられた研究は砂丘試験畑での野菜栽培だったため、稲を専門としている人たちから「そんなことをやっていいのか」と反発を受けたものだったと言う。しかし、早播き、早植え、早採りが成功した結果、稲作にとって最も怖い冷害から回避することになり、多収穫につながった。その成果が「農業および園芸」の12月号に論文として掲載され、思い出深いものとなった。以来、秋田県の農業政策として「3早栽培」が基本技術として普及することになった。
斎藤前村長は「3誌とも長い歴史を持つ研究機関や大学では保存されていると思うが、農業技術や農業経営、さらには世界の農業の歴史を探索し、これからの展望を思考するうえでは貴重な学術書であり、バックナンバーを保存している所は少ないと思う」と話す。
寄贈に当たっては1年分ごとにまとめその表紙を印刷会社に印刷してもらい、年代ごとに製本してもらった。村では貴重な学術書として公民館2階の書庫にスチールの書架を用意して保存している。目を通したい人は連絡してほしいと村教育委員会(0187−83−3504)。