秋田市文化会館で400人の聴衆
立候補予定者がそれぞれの政策を訴える(3月27日・火)
秋田市で26日夜、県知事選立候補予定者公開討論会があった。秋田市文化会館を会場に現職で再選を目指す寺田典城(60)、新人の村岡兼幸(42)=自民党など推薦=、奥井淳二(48)=共産党公認=の3氏がそれぞれの思い、政策を訴えた。討論会は学生や市民グループらで組織する「2001年秋田県知事選挙で公開討論会を実現する会(真壁善子代表)」が主催した。会場には県内各地から400人近い聴衆が参加、拍手など特定候補への応援は禁止され、整然とした雰囲気の中で3氏は熱い政策論を展開した。
真壁代表は「この討論会を通じて無党派層にも選挙を身近に感じてもらい、県政に対する関心を高め、知事を選ぶ判断の一つとしてもらいたい」と訴えた。公平性を維持したいと3氏が座る位置もくじ引きで決め、発言の順番もテーマごとに変わり、発言時間も5分から3分、あるいは1分と制限されるなど細かい配慮がなされた。討論会は秋田経法大学の佐渡友哲教授をコーディネーターに進められ、始めに3氏が立候補に向けて自己紹介を兼ねた所信を表明した。
村岡氏は「国、県、市町村が力を合わせ、県民にも意識改革を求め、県民と共に努力して元気な秋田に変えたいと立候補を決意した」と述べた。続いて寺田氏は「今は自信喪失の時代。何でもトライしてみる意欲が大事。私の県政の手法は県民参加型の行政であり、情報公開と説明を大事にしている」と強調した。奥井氏は「大企業優先の大型開発事業を見直し、福祉と子どもを生み育てやすい社会、県民の暮らしと生活を応援する政治にしたい」と抱負を述べた。
続いて産業経済政策、少子高齢化対策、地方分権をテーマに討論。産業経済で寺田氏は農業問題に焦点を絞り「秋田は米どころの県。米価がこれ以上下がっては大変だ。一定の価格補償をすべきだ」と述べ、「県費を投じて農業に意欲のある人を伸ばし、現実的な対応を取って成功例を育てたい」と強調。さらに地元企業のために「県発注の仕事を優先的に行うと同時に競争力をつけるための企業政策も進めたい」と述べた。奥井氏は「減反させながら、外国の米を国内に入れている。農家を守るためにもこれ以上の減反には協力できないと知事はハッキリ宣言すべきだ」と訴えた。村岡氏は「雇用の場の確保が大事。全国に広がる自分の人脈とネットワークを使い、秋田県を代表する営業マンとなって企業誘致に全力を挙げる」とした上で「秋田は農業県。休耕田を使って米以上に利益が上がるよう構造改善に取り組む」と語った。
少子高齢化の問題については奥井氏は「男女の働く場を安定させないといけない。安心して生み育てるためにも医療費をゼロにしたい。また介護保険を安くし、認定制度もお年寄りの実態にあった制度に変えるべきだ」と訴えた。さらに「高校の中途退学者が多くなった。教育制度に問題があり、どの子にも行き届いた教育の土台を作りたい」と学校教育の改善を求めた。村岡氏は「少子化は深刻な問題だ。保育料を今は第3子から無料にしているが、これを第1子から無料にしたい。また結婚しない男女のための出会いの場を提供したい」と踏み込んだ。また「秋田の高齢化日本一は喜ばしいことだ。高齢化福祉社会を目指すためにはお年寄りと子どもたちが触れ合う教育などを考えたい」と述べた。寺田氏は「介護保険は実態にあった制度に変えなければならない」と述べると同時に「地域の高齢者をグループ訪問して支えあうなどコンビニエンス的な考え方が必要だ」と提案。さらに「女性が子どもを生んでも自信を持って育てられるような育児休暇の制度など社会システムを変えないといけない」と訴えた。
地方分権に関して村岡氏は「都道府県の能力が問われる時代となり、市民への分権も必要だ。また県は明確な将来ビジョンを示さなければならない。秋田は農業県であり、農業と林業、伝統産業を基盤にした福祉と環境の先進県を目指す」と夢を述べると同時に「国と県とのパートナーシップが大事」と持論を述べた。寺田氏はこの4年間の業績を強調しながら「行政は住民をどう守るかにかかっている」としながら「国の役割、地方の役割が複雑に重なり合っている。北海道から沖縄まで同じことをやるというのが無理」と疑問を示しながらも、「四季折々の秋田らしさの中にアーバン(都会的)な機能を持たせ、自然破壊につながる開発行為は行わず県全体が公園となるような誇りの持てる県土づくりを目指したい」と訴えた。奥井氏は「美しい秋田を守る住民の政治が地方分権だ。農業を秋田の基幹産業とし、県民の力、地元企業の持っている力を伸ばす政策を示したい」と展開した。
3氏がお互いに質問しあうクイッションタイムも設けられ、ダム政策や中央自動車道の必要性、国際系大学、大王製紙、さらにはボランティア活動の育成へと多彩な議論も展開された。また会場からとホームページで募集した質問も3氏に提示され、午後6時半から始まった討論会は途中、5分の休憩を挟みながらも9時までの2時間半、熱心に展開された。県北から駆けつけたと言うご夫妻は「発言が3分とか1分と言った限られた時間だったので、突っ込んだ声というか本音は聞けなかったが、三者三様の考え、人柄が感じられた。討論会を企画した人たちのボランティア精神にも感謝したい。秋田でもこのような催しが開かれるようになって変わったんだなと思った」と話していた。