ALTのケビンさん、老人施設のお年寄りも手伝う
93歳のおばあさんも「何十年ぶりだべ」といそいそと田植え(5月25日・金)
仙北町の北小学校(加藤政雄校長・児童数185人)で25日、近くの農家から借りている10アールの田んぼに入って田植え作業をした。県の「ふるさとドリームアップ支援事業」の一環として全校で田植えから収穫までを体験し、お米の生育を学ぼうと昨年から始めたもの。田植え作業には昨年7月からALT(外国語指導助手)として町に滞在しているイギリス人のケビン・マッシイ(KevinMassy)さん(23)、それに大曲市の老人保健施設「なごみの里」に入居しているお年寄りも参加、子供たちと田植えしながら交流を深めあった。
午前9時からは3〜4年生の児童が田んぼに入っての田植えとなった。この日はあいにくと肌寒い天候となったが子供たちは元気に田んぼに入ってワイワイがやがや。ドロに足を取られしりもちを付く子もいたが、協力してくれる近所のおばさんたちやあぜ道で見守る先生たちと声を掛け合いながら、苗を数本ずつ丁寧に植え込んでいた。泥だらけとなった足や手、あぜ道から投げられる苗の泥しぶきを浴びて顔も着ている運動着も泥んこだったが、歓声を挙げながら田植えを楽しんだ。
そして汚れた手足、運動着を水で洗い流そうと今度は田んぼの脇を流れている水路に入って季節外れの水浴び。水と泥んこ遊びが大好きと言う元気な子供たちの姿に先生たちもお手伝いのお母さん、お父さんたちも笑顔で見守っていた。
入れ代わって5〜6年生の田植えとなった。そこへALTのケビンさん、それに「なごみのさと」のお年寄り6人とそのスタッフ5人が合流した。ケビンさんは「秋田での生活は楽しいし、イギリスの自宅に里帰りした時に友人や家族が靴を履いたまま家の中を出入りするのを見て、大きなショックを受けた。自分はもう日本の文化に馴染み、日本人になりかけているんだなと思った」と話す。ニコニコしながら苗を手に身長192センチ、体重73キロの大きな体で田んぼに入った。ケビンさんは町の中学生のための英語指導をしているが、週1回は小学校で子供たちと触れ合い、英語を教えている。子供たちとも顔なじみとなっており、「ヤーヤー」と声を掛け合って田植え作業に取り組んでいた。
一方の「なごみのさと」のお年寄り6人のうち、おじいさんとおばあさんの2人が子供たちに支えられながら田んぼに入った。その一人、佐藤ミツノさんは92歳。「田んぼに入るのは何十年ぶりだべ」とつぶやきながら長靴を履いて苗を手にした。ドロに足は深々と沈み、それを持ち上げる力もない。子供たちと女性スタッフが手を貸してドロの中に沈んだ長靴を引き上げるなどかいがいしい援助。腰を曲げ、ユックリユックリした動作で前に進んでいた。
お年寄りとイギリス人とが子供たちと一緒に田植えをするという光景は年代も国境もなく、人と人との交流の温かさを感じさせた。ケビンさんは「田んぼの中の水は少し冷たかったけど楽しかったよ」と流ちょうな日本語で感想を述べた。佐藤さんも「田んぼに入れて良かった」と心底喜んでいた。見守っていた仲間やスタッフたちも佐藤さんの元気さに拍手を送って喜んでいた。
田植えは昨年から始めたが、1〜2年生は田植えではなく畑でジャガイモやニンジン、トウモロコシを栽培した。そして田植えした上級生たちは「コメコメ研究隊」としてお米に関して疑問に思った事や米の歴史、田んぼの周りに棲息している虫、そして農業機械の移り変わりなどを勉強。秋の収穫祭ではお兄さんたちが育てたコメ、そして1?2年生たちが育てたジャガイモ、ニンジンを素材にカレーライスを作って楽しんだと言う。その収穫祭には「なごみのさと」のおじいさん、おばあさんたちも招待。学校では今年も秋の収穫祭にはおじいさん、おばあさんたちを招待して触れ合いを楽しみたいと計画している。