鶏の共進会で農水大臣賞

名古屋鶏のつがいを出陳

仙北町の五十嵐さん、弟は声良鶏で知事賞(5月29日・火)

 農水大臣賞を受賞した鶏を前に喜ぶ五十嵐敏夫さん仙北町板見内字関口の農業・五十嵐敏夫さん(73)が飼っているニワトリが26、27の両日、山形県遊佐町で開かれた日本家禽会主催の「第65回全日本家禽共進会」で最高賞の農林水産大臣賞に輝いた。「名古屋種」の一つがいを出品したもの。弟の五十嵐元吉さん(66)=同町板見内字長仙寺=は大館市で今月初めに開かれた「第56回秋田県声良鶏展覧会」で県知事賞と県議会議長賞をダブルで受賞。元吉さんはそれをバネに今度の大会で農水大臣賞を目指したが「兄貴にやられた」と悔しがったり、喜んだりだ。

 敏夫さんがニワトリの魅力に取りつかれ飼育を始めたのは20歳ごろから。「ニワトリは3歩あるけば覚えたことを忘れると言われるが、これほど飼い主に忠実な動物はない。飼い主の足音を聞いただけで『来てくれたんだ』と喜ぶ」と敏夫さん。自宅の鶏舎で名古屋種だけでなく黄斑プリマスロック、比内鶏、淡色ブラマー、赤色ブラマー、鳥骨鶏など7種類100羽ほど飼っている。戦後間もなく大曲市の農業高校で開かれた「共進会」で県知事賞を獲得したのを始め、これまで知事賞は15?6回を数えるほどのベテランだ。

 今回の大会には全国から30種207羽が出陳された。審査は日本系、小物系、外国種など1部から5部に分かれて行われたが、その各部門の特賞の中から最終審査が行われ、農林大臣賞に輝いた。出したのは3歳になったばかりのオスとメスの夫婦。昨年、西仙北町で開いた大会でそのつがいが入賞、審査員に「良くできた鶏だと褒められたので、全国大会でもひょっとしたらとの自信があった」と話す。大館市の大会で県知事賞を受賞した弟さんの声良鶏に関しては「弟は声の良し悪しを競うだけの民謡大会。こっちはニワトリの美しさを競う美人コンクール。民謡で優勝したからといっても姿形を見る共進会では評価はされない」と残念がる弟さんの声をしりめにほくそ笑む。

 いいニワトリを生ませるためにはやはり系統のいいものを選んで交配し、育てるしかないと五十嵐さん。共進会での審査は声良鶏であろうとその声の競争ではなく、顔や羽の色つや、目、足の色、シッポの羽の色、その角度などが評価されると言う。

 敏夫さんが飼育し、農水大臣賞に輝いた名古屋鶏は確かに風格に満ちている。オスは茶色の羽で覆われ、黒いシッポは貫祿いっぱい。真っ赤な鶏冠(とさか)、小さいが風格さえ感じさせる目、そして鉛色の足。メスは薄い茶色で全体が覆われ、どこか優しさを感じさせる。見ていると確かに観賞用の美を感じさせる。

 弟の元吉さんも自宅の鶏舎で声良鶏から名古屋鶏など100羽を超えるニワトリを飼育している。声良鶏は国指定天然記念物。その声良鶏で秋田県一の座を射止め、兄の敏夫さんは日本一の座に就いた。ニワトリを愛する兄弟は「我が世の春」を互いに喜び合っている。