昭和初期の民家を移築へ

大曲市日の出町の大邸宅

県の「ゆとり生活創造センター」の交流センターとして再利用(11月5日・月)

 解体し移築される佐藤家大曲市日の出町1丁目の旧国道13号沿いに建っている「民家」が、秋田県の「ゆとり生活創造センター(仮称)」整備事業の一環として移築されることになった。県が民家の所有者から譲り受け、秋田市上北手の秋田赤十字病院の隣接地に建設する同センターの建物の一つとして再利用することになったもの。民家は7年前から空き家になっていたが、入母屋造り二階建ての巨大な住宅は老朽化はしているものの風格もあり、ひときわ目立つ存在だった。それだけに「解体されず、再び役立つのなら嬉しい」と愛着を込めて民家の行く末を話題にする市民は多い。

 この民家は同市内小友の通称「寺山の親方」と呼ばれる資産家「佐藤家」の子が分家する際に金に糸目を付けず建ててもらった家という。腕のいい宮大工として知られた大森町の大工が昭和8年(1933年)から建築にかかり、10年(1935年)に完成させた。延べ床面積約426平方メートルの大邸宅。一階は式台玄関の脇に応接間、女中室があり、客間、茶の間、納戸からなり、二階は大広間となって、部屋数は10室。住宅の裏には土蔵もある。

 近くに住んでいる佐藤家の娘さん夫婦・伊藤栄二さん(72)、孝子さん(68)は 「母(91)の承諾もあって解体するつもりだったが、何かに使い道があればと県に寄付の相談を申し込んだら引き取ってもらうことになった」と話す。

 同センターの整備事業を担当する県生活環境文化部の県民文化政策課では「入母屋二階建て、数寄屋風の造りで、式台玄関とその脇に設けられた応接間、二階の大広間などの接客空間は、昭和初期の秋田県の旧家の格式を表している。各部屋や階段の造作も趣向が凝らされ、使われている木材や大工技能の点においても、この地域における木造住宅建築技術の一つの頂点に達していた時代の文化遺産としても貴重な建物だ」と話し、建物の記録を取って「登録文化財」にする予定。

 ゆとり生活創造センター(仮称)は県民の多様で自主的な活動を支援するため、自由時間を活用した余暇活動やNPO、ボランティア活動の情報・活動の拠点施設として整備するもの。03年4月オープンを目指し、事務研修棟(約971平方メートル)、花工房棟(約688平方メートル)、リサイクル工房棟(約956平方メートル)、研修・会議棟(約541平方メートル)の4棟を建設するほか、大曲市から移築する民家の住宅部分は交流サロン「昭和館(仮称)」として、そして土蔵は「ギャラリー蔵(同)」として再利用したいとしている。民家の移築費も含めた同センターの総事業費は約15億4000万円。