県警捜査二課と大曲署
助役選任案で町議に現金、町議も取り調べ(11月8日・木)
県警捜査二課と大曲署は7日夜11時45分ごろ、太田町助役の高橋岑夫容疑者(64)=同町駒場字柳持122番地=を自らの助役選任をめぐって同町議会議員数人に対し、現金を渡したとして贈収賄容疑で逮捕した。また町議数人を収賄の疑いで調べている。
調べによると高橋容疑者は助役再任を目指したいと1999年6月中旬ころ、同町内において町議数人に対し、9月議会に上程される助役選任議案の審議及び表決に際し、便宜を図ってもらおうと現金計十数万円を供与したほか、供与の申し込みをした疑い。
高貝久遠町長は、同年9月17日の9月定例議会最終日の本会議で高橋容疑者の助役選任案を提出。無記名投票の結果、賛成8、反対8の可否同数となり、最終的に長澤春男議長が賛成に回る「議長採決」で同意された。同町議会は定数18。議会事務局によると当日は議員一人が欠席し、議長を除く16人が投票した。高橋容疑者の一期目の助役選任時は満場一致で採決されたと言う。
県警捜査二課と大曲署は助役選任に絡む贈収賄容疑の情報を入手し、関係者の取り調べなど捜査を行った結果、容疑が固まったことから7日夜、高橋容疑者を逮捕した。
高橋容疑者は58年に役場に入り、企画振興課主幹、福祉課長、産業課長を経て95年10月に助役に就任、現在2期目。
高貝町長は仙北郡町村会の行政視察で6日から8日までの日程で沖縄県に出張していたが、役場から「助役が警察に呼ばれた」との連絡を受け、7日夜に急きょ町に戻った。8日朝、役場に登庁した高貝町長は「逮捕と聞いてビックリしている。信じられない。これまで一生懸命に町づくりに尽くしてきた人だ。人格的にも高潔で真面目な人だ。今朝の新聞やテレビでは贈収賄容疑で逮捕したとあったが、助役が町議に金を渡したとする99年6月当時は再任するともしないとも何も話してなかった。町議が旅行すると聞いて、その餞別(せんべつ)をやったとの話は聞いたことがあるが、それが間違われたのではないのか」と沈痛な面持ちで話した。町議の旅行は同年6月15日から18日までの日程でフィリピンへの研修旅行で、不参加の5人を除く13人のほか、高橋容疑者と当時の議会事務局長も参加した。その際に高橋容疑者が餞別として議員に金を渡したと言う。議会ではそのころから高橋容疑者の助役再任に反対する動きがあり、高橋容疑者はそれに危機感を持って餞別として金を渡したのではないかと見る声もある。
長澤議長も「議員も絡んでいることであり、大変な事になった。事実でないことを信じたい。今後の捜査を見守るしかない」と答えた。
捜査当局は8日未明から町役場一階の助役室と二階の議会事務局などを家宅捜索した。同町では92年4月にも町議会議長選に絡んで当時の議長が議員に投票を依頼し、当選後に現金を渡したとして逮捕された贈収賄事件があった。同町議会は昨年3月に改選され、事件当時の議員18人中、二人が死亡、12人が再選されている。
役場では午前10時から課長等会議を招集。高貝町長は「高橋助役は人間的にも真面目で高潔な人物。逮捕は信じ難い。何かの間違いではないかと思う。それだけにこれまで通りの仲間として助役を信じ、捜査の推移を見守りたい。町政が停滞することのないよう職員みんな動揺せず、町民と平常通りに対応してもらいたい」と訓示した。議会事務局も高貝町長も「町議が何人、警察に呼ばれているのかは分からない」と捜査の成り行きを心配する。
用事で役場庁舎を訪れた70代の町民は「信じられないと言うよりも情けない思いだ。今は偉い人が先頭になって悪いことをする時代なのか」と顔を曇らせていた。