大曲市の農業科学館で開催中
同館推薦の作文2点が全国で最優秀賞に輝く(9月7日・金)
大曲市内小友の県立農業科学館で「『宇宙の日』作文絵画コンテスト」の作品展が開かれている。国際宇宙年の1992年に国際宇宙年協議会で毛利衛宇宙飛行士が宇宙へ飛んだ9月12日を「宇宙の日」と決定以来、青少年の科学技術、宇宙開発への興味、関心を喚起し、子どもたちの理科離れ傾向対策への一助にしたいとコンテストを開催しているもの。主催は文部科学省、宇宙科学研究所、国立天文台、宇宙開発事業団などで全国の科学館が協力して作品を募集。それぞれの科学館で審査した作品の中から最優秀賞となった作品だけを「全国小・中学生作文絵画コンテスト」の審査会に送られた。その結果、同農業科学館が推薦した内小友小学校3年・鎌田龍政君の「うちゅうへたんけんだ!」と西仙北町東中学校2年・須藤駿君の「ひいおばあちゃん」がそれぞれ最優秀賞に輝いた。会場にはその作品も展示、公開されている。
今回のコンテストでは「宇宙へ家族旅行」をテーマに作文と絵画を募集。その結果、作文では小学生部門17点、中学生部門4点、絵画は小学生部門255点あった。全作品を審査した上で、最優秀作品を全国コンテストに送った。全国の科学館から送られた作品は作文で小学生の部が1225点、中学生の部は533点だった。絵画は1万6257点もの作品が集まった。
鎌田君の作文と須藤君の作文はその多くの中から最優秀賞6点の中に選ばれ、(財)日本宇宙少年団理事長賞に輝いたもの。鎌田君の「うちゅうへたんけんだ!」は家族といっしょにスペースシャトルに乗り込み月、金星、土星へと旅をし、第4の目的地「冥王星」に行く途中、ブラックホールに飲み込まれるというエピソードを描いたもの。月では転んでも痛くないという無重力状態を楽しみ、金星では地上が熱くて「あちあち」と家族みんだがダンスするようにしてスペースシャトルに逃げ込み、土星では輪の上を滑り台にして遊ぶと言った壮大な発想。さらにブラックホールに飲み込まれるが、気を失って気がついたら地球とソックリの星。その星の人たちは石油を使い果たし、代わって「心のエネルギー」で車を走らせ、電気を灯していると語る。心のエネルギーとは「愛」であり、家族や友だち、そしてその星のすべてのものを大切にする気持ちが、車を走らせ、電気を灯し、料理は思いやりの心がエネルギーとなって作られると鎌田君。そうした作文の内容で鎌田君は地球のエネルギーを大切にしなければならないと訴える。
一方の須藤君は弟が描いた絵が「月となかよし観光キャンペーンコンクール」で最優秀賞を受け、その副賞として家族みんなで月旅行への招待を受けた話を作文にしたもの。103歳になる曾祖母も連れていくことになるが、宇宙旅行となれば心配だ。月面での生活に馴染めるか、月のホテルには老人向けの純和風の食事が用意できるのかと。そして掛かりつけのお医者さんに相談するといった家族愛が感動させられる。
鎌田君と須藤君は10月8日東京の日本科学未来館での表彰式に招待される。同科学館にはこの2人の作文をはじめ、応募のあった全作文と絵画255点が展示されている。絵画も見物だ。宇宙人と手をつないで散歩しているほほえましい絵や土星の輪の上で遊んでいる家族、宇宙の中を小さな舟に乗って遊覧する家族など子どもならではの発想が楽しめる。コンテスト作品の展示は16日まで。入場は無料。
最優秀以外の入賞作品は次の通り。
◇作文の部小学生部門▽優秀賞=加藤友里愛(稲川町三梨3年)、伊藤駿汰(藤木5年)▽佳作=佐々木一馬(藤木5年)、佐藤日輪子(羽後町明通5年)、伊藤悠也(内小友3年)
◇作文の部中学生部門▽優秀賞=村岡朋美(太田町太田3年)、鎌田智大(本荘市石沢1年)▽佳作=安達沙紀(太田町太田3年)
◇絵画の部小学生部門▽最優秀賞=佐々木夏希(協和町小種3年)▽優秀賞=粟津星里奈(藤木3年)、下田和樹(仙南村金沢1年)▽佳作=渡辺千賀子(千畑町千畑南5年)、佐藤明美(協和町小種4年)、新山栞(田沢湖町神代2年)
全国小・中学生の「宇宙の日」作文コンテストで最優秀賞に輝いた大曲市内小友小学校3年生の鎌田龍政君の「うちゅうへたんけんだ!」と西仙北町東中学校の「ひいおばあちゃん」の作文を掲載する。鎌田君の作文は小学3年まで習得した漢字しか使ってないため読みやすいよう漢字に書き直しての掲載とする。
「ようし、宇宙へ出発だ」
僕はそういいながら家族といっしょにスペースシャトルに乗り込んだ。中は狭くてやっと家族7人が乗れるくらいだった。いよいよ出発。
「5、4、3、2、1、0」
ドッカーン、ヒューという音と同時にスペースシャトルが離陸。
最初の目的地の月に到着。月にはでこぼこがあって歩きにくかった。弟が転んでしまった。
「あれ痛くない」。
すると突然、体が中に浮き、ふわふわ。
「わあ、すごい、すごい」。
次に第2の目的地、金星に到着。金星は月よりもっと明るく、目を開けていられない。みんなサングラスをかけた。すると明るいせいなのか地上が熱くなりはじめた。
「あち、あち」。
みんなは、ダンスをするようにしてスペースシャトルに乗り込んだ。
第3の目的地に上陸。そこは土星。地球よりすごく大きい星だ。リングみたいな輪があった。そして表面にはしま模様があった。僕たちは、その土星の輪をまるで滑り台のように滑って遊んだ。
第4の目的地は冥王星だ。しばらくすると
「あれ、あの黒い物体は何だ」。
とお父さんが言った。窓からのぞいた僕は驚いて
「あっ、ブラックホールだ」。
と叫んだ。すると、いきなりスペースシャトルがぐるぐる回りながら吸い込まれていった。もうだめだと僕は思いながら気絶してしまった。
どのくらいの時間がたったのだろうか。僕は、流れる水の音で目が覚めた。家族はみんな無事だった。そこは、まるで地球とそっくりの星だった。僕は地球に戻ったのかと思った。しかし、何かが違う。
走っている車には、ガソリンがない。街灯や電気もガスもない。でもだからと言って暗いわけでもない。料理だってできる。なぜだろう。僕は不思議に思った。
「この星のエネルギー源はいったい何なのですか」。
と人間にそっくりの宇宙人に聞いてみた。すると
「この星には、石油やガソリンや電気などはありません。そんな物は、何千年前に使い果たしてしまいました。今は、目に見えない心のエネルギーを使っているのです」と話してくれた。
「えっ。心のエネルギーとは?」。
と僕は聞き返した。
「それは愛です。家族や友だち、そしてこの星のすべてのものを大切にする気持ちです。車は友情で動きます。電気は勇気でおこします。ゴミは正義の力で燃やしてしまうのです。だからこの星は、愛がある限り、この星に滅びることはないのです」。
僕たちは、その宇宙人の力を借りて無事に地球に戻ることができた。僕は地球に帰ってからあのブラックホールの星のことをずっと考えていた。
地球のエネルギーを全部使い果たしてしまったら、地球はどうなるのだろう。多分、地球は滅びてしまうだろう。僕は、電気をむだ遣いしたり、水を出しっぱなしにしたりしてはいけないなと思った。みんなでエネルギーを大事にしながら、この地球を守っていきたいと思う。あの宇宙人が教えてくれた愛を心に持ち続けようと思う。
「あっ、おばあちゃん、入れ歯!」
「補聴器も外さなきゃ」
スペースエアライン286便出発30分前。僕たちは、少しあわてた。今年103歳を迎えた我が家の曾祖母は、いつもと変わらずマイペース。出発のショックで、入れ歯が飛び出したら大変だもんね。
「ふぁっ、ふぁふぁふぁふぁ」
「ひいおばあちゃん、これから月に行くんだよーっ」
と弟の嶺(れい)が、曾祖母の肩を軽く叩いて、耳元で怒鳴った。
「あぃやーんだかぁー。なはは」
明るい返事と屈託のない笑顔は、全く普段と変わらない。僕は、個人ブースの中で緊張して心臓がバクバクしているっていうのに。こういうのを悟りの境地って言うのかな?。 話は、地球暦4カ月前にさかのぼる。弟の描いた絵が「月となかよし観光キャンペーンコンクール」で、なんと、最優秀賞を受けてしまったのだ。副賞は“御家族(年齢制限無し)全員を月旅行へ招待”というものだった。
「やったー、俺、宇宙飛行士になるんだ」と弟は大はしゃぎ。母は
「本当にタダなんでしょうね?」
「ようし、クレーターコペルニクスの石を拾って来るぞ」
とはりきるのは、昔、大学で地質学を専攻していた父だ。
「それで、なんぼ日かかるもんだべ。お寺をどんだけ空けることになるって」
面食らいながらも、満更でもないのが、祖父と祖母である。
我が家は、仏教寺院。科学が発達した現在でも、宗教は消滅していない。どんなに物質的に豊かになっても、人間の心は悩んだり苦しんだりする。人が、精神的な幸せを求め続ける限り、僕達の仕事は、大きな意味を持つ。
祖父、父、そして僕は、僧侶である。家族は8人。祖父の妹は、通称“おばちゃん”。 「ええっ、大おばあさんを連れて行けるわけないでしょ。何歳だと思ってるの!」
おばちゃんの一言に、一瞬みんな固まってしまった。高齢者と呼ばれていた60代、70代の男性が、宇宙へ行ったのは21世紀に入ったばかりのころ。それに比べれば、今の宇宙旅行は、はるかに安全で快適になっている。だが、年齢制限無しの御招待とはいえ、さすがに百歳代は前例が無い。
「あやーんだがー。ありがとさん」
旅の是非を尋ねた答えが、これだ。僕達は考えた。話し合った。悩んだ。
曾祖母は、働き者である。境内の草むしり、畑の野菜や山菜の下拵(こしら)え等、自分にできることを探して体を動かしている。腰が曲がり、耳が遠くなっても、ボケてはいない。檀家さんを相手に、真剣に話をする。「まだ若いんだから頑張れ」と、百歳が80歳や90歳を励ます姿は、圧巻だ。
しかし、いざ宇宙旅行となれば、不安な材料は山ほどある。宇宙や月面の生活に、曾祖母の体が馴染むかどうか。ホームシックで泣き出したりしないだろうか。月ベースホテルで老人向けの純和風食事が、3食用意できるとは限らない・・・。
最も心配なのは、地球の大気圏を脱出する際のG(ジー)だった。地球内のジェット機離陸でも、僕でさえ、気分が悪くなったり、頭がフラフラしたりすることがある。エアラインやベースホテルに、医師が常勤してくれているのだろうか・・・。
思い余って、僕達は、曾祖母の掛かり付けの医師K先生に相談してみた。顎に手を当てカルテに目を落とすと、先生はずいぶん長い間考えていた。
「何事も100%保証できるということはありません。ただ、今、私がお伝えできる内容は、彼女が健康体で、心肺機能が正常であるということです。60代の私の心臓より、ひいおばあちゃんの心臓の方が、よっぽど丈夫ですよ。アハハハ」
ドクター・Kは、眼鏡を人指し指で押し上げ、話し続けた。
「ひいおばあちゃんは、幸せですねぇ。家族みんなに大切に思われて・・・」
シートベルト着用サインが、赤く光った。体全体に、ロケットエンジンの震動が伝わってくる。
ひいおばあちゃん、一緒に月面散歩をしようよ。愛車のシルバーカーを押しながら、青く輝く地球を眺めよう。大切なのは、どう生きるかなんだよね。月の引力は、地球の6分の1なんだって。82度に曲がった腰も、少しは楽になるよ。ひいおばあちゃんん土産話をみんなが楽しみに待っているんだから。