神岡町の刈穂酒造
93年の歴史を刻んだ土蔵の大移動(9月21日・金)
蔵の引っ越し。南外村の「出羽鶴酒造」の姉妹会社、神岡町神宮寺の「刈穂酒造」で20日、道路を隔てた向いの民家にあった土蔵を「刈穂酒造」の敷地に移すと言う大がかりな蔵の引っ越し作業があった。蔵は明治39年に起工し、同41年に完成したとの記録があるから93年の歴史を重ねている。刈穂酒造の役員でもある細谷直弘さん宅の敷地にあったものだが、家の改築と同時に蔵も解体するとの話を聞いた伊藤辰郎社長が「歴史のある建物。解体するのはもったいない」と引き取ることにした。珍しい蔵の引っ越し作業とあって、この日は多くの町民が見学に訪れて見守った。
蔵は間口約6メートル、奥行き約13メートルの大きさ。中は二階作りとなっていて一階にはりっぱな書院もある座敷蔵。外観は漆喰の黒壁に腰回りはレンガ造り。引っ越しを請け負ったのは大曲市大曲西根の興栄建設と同市下深井の木村土木。壁の厚さなどから推測した蔵の重量は大型ダンプカーで13台分に当たる130トンとか。
それを細谷家の敷地から道路を隔てた向いの刈穂酒造の敷地へと40メートルの距離で移すとあって、警察に道路使用許可を出して通行止めにし、さらに電線や電話線の支障を取り払うため、ガードマン、電力、電話会社の作業員も出動した。
引っ越しは40本のジャッキで蔵を持ち上げ、その下の両側にレールを敷き、レールと蔵の土台の隙間にはそりのような形をした長さ50センチほどの下駄(げた)を履かせ、その下に直径5センチほどの鉄棒(コロ)を敷いて、ウインチで巻き上げるというもの。屈強な4人の作業員が鉄パイプでグルグルとウインチを回すと、蔵は音もなく静かにスーと前進。古いアメリカ映画「十戒」にピラミッドを造るため、群衆が束となって巨大な石をロープで引っ張るシーンが登場するが、その映像と重なるような作業だった。
蔵の中には10人ほどの作業員が入っていて、下駄の下に置いたコロが蔵の移動で外れるとそれを拾ってまた下駄の前に置くと言う手作業を繰り返した。午後1時半から始まった引っ越しは5時ごろにやっと刈穂敷地内に入った。
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