句集「立冬」を刊行
「内容豊かな作品の列立」と講師の鷹羽氏(4月22日・月)
立冬や湯気立上る湯気の中
前大曲市教育長の鎌田重光(じゅうこう)さん(69)=同市藤木字上野中=はこのほど句集「立冬」を刊行した。45年間の教育職から身を引いた節目に「俳句に託した来し方をまとめたい」と出版に踏み切った。1986年から2000年までの作品を「種蒔」「青嵐」「十三夜」「冬灯」「初湯」と題して15年の間に詠んだ624句の中から320句を選句し、135ページにまとめた。
詰襟の服垢まみれ卒業子
教へ子に呼び止められて社会鍋
教へ子に説教されて初寝覚
胸の差でテープ切って運動会
など教職者ならではの視線で捉えた句もあれば
減反をやるのやらぬの別れ霜
異国より花嫁の来て秋つばめ
と言った疲弊する農村にも目を向け、減反に苦しむ農家の気持ちを詠み、嫁不足で異国から花嫁を迎える農村の現実も風刺した句も。
鎌田さんが俳句と出会ったのは80年ごろで、激務と通勤の困難さから、単身赴任に踏み切ったのがきっかけだった。
一合のとぎ汁流し神無月
洗濯のシャツ強張りて軒氷柱
なまくらの包丁年を越す
週末の帰宅たちまち素っ裸
と言った家族と離れたわびしい生活を綴った生活記も。単身赴任の無聊を慰めるかのように口をついて出たのが俳句だったと鎌田さん。
滝の音そのまた奥に滝の音
の句が85年7月のNHK教育テレビ「俳句入門」で、講師の鷹羽狩行氏の入選となったのが、親友で俳人でもある小林呼渓氏の目にとまり、俳句仲間へと引き込み、「狩」に入会した。
のけぞりて応援合戦青嵐
堅雪を踏む校長に落とし穴
と言った青春の明るさ、無鉄砲さをも詠む
講師の鷹羽氏は「『立冬や湯気立上る湯気の中』のような季感横溢(おういつ)の句。 『団欒のただ中にゐて悴(すい)める』のような人間の心の奥底にひそむ孤独感を巧みに描出した句など『立冬』には内容豊かな作品が列立しており、慄然(りつぜん)たる風姿」と高く評価する。俳友の小林呼渓氏が跋文(ばつぶん)を寄せている。
俳人協会会員。狩同人。発行は「ふらんす堂」(東京都調布市仙川町)。定価3000円。問い合わせは鎌田さん宅へ(0187−65−2207)。