86歳、かくしゃくとして現役
秋田犬と付き合って半世紀、多くの名犬育てる(12月26日・木)
「秋田犬の父 澤田石守衛」という題名の本が木楽舎(本社・東京)から出版された。東京在住のライター・畠山泰英さんが秋田犬を飼い始めて60年近くになるという宮城県栗原郡栗駒町沼倉東ぬまかもり在住の澤田石さんの存在を知り、3カ月がかりで澤田石さんを取材、聞き書きとしてまとめた。内容は秋田犬の歴史はもちろん、半世紀を超えた秋田犬との付き合いから体得した独自の観察眼が光っており、その生き方は読む人すべてに元気を与えると著者の畠山さん。
澤田石さんは1916年(大正5年)、秋田県南秋田郡五城目町生まれで86歳。海軍工機学校を卒業後、日本軽金属株式会社の技師として満州へ。帰国後、三菱鉱業(現・三菱マテリアル)に入社。水力発電所の技師として秋田・宮城4か所の水力発電所・ダム建設に携わり、所長も歴任。秋田犬の魅力に取りつかれ、44年(昭和19年)から秋田犬を飼い始め、退職後の1976年からは「理想の秋田犬を育てたい」と栗駒山麓に移住。自ら雑木林を切り拓き、沢水を引き、家を建て、ほぼ自給自足で暮らしを始めながら数々の名犬を育ててきた。
秋田犬と共にクマ撃ちをした最後の人としても知られ、大館市の秋田犬保存会館には、澤田石さんをモデルにしたろう人形が飾られているほど。本の問い合わせのため澤田石さん宅に本紙から電話を入れたら、奥さまと二人暮らしとかで「秋田犬か。僕ももう歳だから今、飼っているのは2頭だけだよ。大曲市でも秋田犬を飼っている人は知ってるよ」と豪快な返事が帰ってきた。
木楽舎では「表紙の笑顔そのまま、矍鑠(かくしゃく)という言葉がぴったりの元気なおじいさんだ。北国の水力発電所の所長を務めながら、故郷ゆかりの秋田犬を育てる悲喜こもごもの半生をまとめた一冊。爽快なのは、この老人が実に自分勝手な人生を送っているということだ。好きなものには一直線、人を喜ばせることと美味しいものが大好き。しかし、家族や周りの思惑なんてどこ吹く風、やりたいことしかやっていない。周囲は呆れつつも、いつしかそのパワーに巻き込まれてしまう。チャーミングな人柄と秋田犬に注ぐ情熱、北国のド田舎ならではの工夫が面白く、聞き書きという手法も手伝って、224ページはあっという間。おじいちゃんの茶の間で昔話を聞いているようなムードでするすると読めるし、読後は何だか明るい気分になってくる。『いつまでも元気でいるコツ』を知りたければ、健康法に凝る前に、まずは一読を!」と評価する。
全国の書店で発売中。1600円+税。問い合わせは株式会社木楽舎へ。
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