六郷町の学友館で日本画展

地元の佐々木久美さんデビュー展

心象風景中心とした不思議な魅力(2月12日・火)

 六郷町の学友館で新人作家の地元デビュー展「佐々木久美 日本画展 熱を帯びた心象を描く」が開かれている。伝統の素材・表現を超えて「KUMISM(クミズム)」=クミ主義と題した佐々木さんの幻想的で繊細な絵の世界が楽しめる。

 佐々木さんは27歳。六郷中から横手高を経て多摩美術大学絵画科卒。「ゆったりとした気持ちで絵に取り組みたい」と一昨年春に帰郷し、実家の六郷町六郷字赤城にアトリエを構え、増田高校で美術の臨時講師を務めながら絵の制作に当たっている。これまで第18回上野の森美術館大賞展入選、昨年は横手市のかまくら館で個展を開いている。

 熱を帯びた心象を描くと題したように佐々木さんの絵の世界は佐々木さんの心のつぶやきでもある。大学3年の時、「都市または現代をテーマに」という課題を出され、描いた「ao」。かけがえのない友をモデルに描いた「灯(ひ)の声」、「周りで生活している女の人たちのイメージ。−みな深い、深い淵に住んでいる」と周囲の人たちの悩みや苦しみをモチーフにした「深淵」など19点の作品が展示されている。

 絵を観ていると不思議な感覚と魅力に捉えられる。風を感じたり、不思議な音が聞こえてきたり、幼いころに立ち戻ったような気分になったりする。その不思議さは作品と共に展示した「説明パネル」に書かれた文章の詩のような素敵さ、洗練されたセンスから来るのかもしれない。佐々木さんは日本画家であると同時に詩人でもあり、文章家でもあるようだ。

 例えば冬の京都の竜安寺の石庭をイメージに描いた「揺るぐ」。

 シンプルで重厚。しずかなものを愛している。たとえばそれは石庭。冬の京都に。竜安寺から坂を上り下りしながら。
 ふと、あるひとつの情景が浮かんだ。

 石庭の上。

 私がたった今踏んだ枯れ葉がのっている。

 一枚の葉。

 石庭の上の宇宙。一枚の宇宙。

 私の掌におさまる一枚の葉。

 私の中の宇宙は一枚の葉におさまる。

 突然。

 私の足元がグラグラ揺れているような錯覚に襲われる。

 私の心の中。

 −静かではないのだ−
 一枚の葉の中に私の宇宙がおさまる。

 こうした佐々木さんの説明パネルに書かれた文章と照らし合わせると佐々木さんの絵の世界、心の世界がかすかだが見えてきそうな感じがする。雲肌麻紙やベニヤ板、板のすの子、ベニヤと板の組み合わせといった素材を画布に視覚効果を狙い、不思議な心象風景が楽しめる。展覧会は3月28日まで。毎週月曜日は休館。高校生以上・一般210円、中学生以下は無料。