伝統のぼんでん奉納祭り
拝殿へ駆け上がり、揉み合う男たち(1月16日・水)
中仙町清水の「八坂神社」で16日朝、冬の風物詩とも言える伝統の「ぼんでん奉納」があった。色鮮やかな布と御幣(ごへい)で着飾った10本のぼんでんが各集落から繰り出され、男衆たちは長さ3メートルほどのぼんでんを交互に担ぎながら、早朝から各家々を回った。五穀豊穣や家内安全、商売繁盛などを祈願しての奉納。行く先々で受ける振る舞い酒を口に流し込んでは「そろったナーエ、そろったよハー、若い衆がそろったよー」とぼんでん歌を高らかに歌いながら、奉納先の八坂神社に向かった。
八坂神社は今から約1300年前の大宝3年(703年)に京都八坂神社から分神し、清水に祭られた歴史と伝統のある神社。ぼんでん奉納が始まったのも今から600年も前の室町時代とも言われ、明治の初めごろには県南各地から300本ものぼんでんや福俵が奉納され、先陣を争ったものだと齋藤隆宮司。
神社の周辺は田んぼに降り積もった一面の雪原。雪道を踏み固めながら集落を回り終えたぼんでんは午前10時過ぎから次々と神社に集まり出した。その中には地元、清水小学校のぼんでんも。地元の伝統行事に参加しようと3年前からぼんでん奉納に参加しているもので、大小2本のぼんでんを子供たちが学校で作った。全校児童100人がそのぼんでんを担ぎながら午前8時過ぎに学校を出て、集落を回って歓迎を受けた。
多くの見物客が見守る神社の拝殿では大人の男たち10数人が子供たちを待ち受け「さあ。上がって来い!」と気合を掛けた。本番の揉み合いを子供たちともやってやろうというものだ。「ジョヤサ!ジョヤサ!」の掛け声が響く。先陣を切って子供たちが拝殿への階段を駆け上がると、待ってましたとばかりに男たちは受け止め押し返す。勢い余って階段から転落する児童もいたが、元気を取り戻して再び挑戦。大人たちの壁を見事に突き破って、ぼんでんを神社に奉納した。
子供たちの奉納が終わるといよいよ大人たちのぼんでん奉納。ぼんでん1本に付いているのは10数人の男たち。集落を回って受けた振る舞い酒でだれもが顔は真っ赤。拝殿を前に上半身裸になって、一升瓶を片手にラッパ飲みする男たちも。上では「さあ来い」とばかりに「ジョヤサ!ジョヤサ!」と男たちが気合を掛ける。下でもぼんでんを囲んだ男たちが「ジョヤサ!ジョヤサ!」と名札板をぶっつけながら揉み合う。そして勢いづくのを待って男たちの先陣が拝殿への階段を駆け上がる。上ではそれを阻止しようとする男たちの壁を作って押し返す。階段を転げ落ちる男たち。ぶっつけ合いを繰り返し、そのすきを狙って斜めに構えたぼんでんが拝殿に突っ込む。声にならない怒号、ヤジが飛び交い、男たちのぶつかり合う鈍い音がする。激しい揉み合いが繰り返される中、次々とぼんでんは神社に奉納。神官のお払いを受け、厄除けを祈願し、五穀豊穣、家内安全、商売繁盛を祈った。