県教委の小学校への助手派遣プログラム
大曲市の東大曲小では大曲高の瑠美子さん(1月23日・水)
進学や就職が決まった高校3年生に母校の小学校でボランティアを体験してもらおうと県教育委員会が企画した「小学校への高校生助手派遣プログラム」が好評だ。大曲市では東大曲小学校(坪井正子校長・児童数71人)が一人の女子高生を受け入れているが「小規模校だと先生たちにも余裕がないのでとても助かってます」と喜んでいる。激しい雪が降る23日昼前に同校を訪ねた。
このプログラムは、推薦入試や就職内定などで進路が決まった高校3年生に出身の小学校に1、2週間通って、授業の手伝いをしてもらおうと始めたもので、全国でも珍しい試み。高校生の勤労意欲や社会性を育むのが狙い。
東大曲小で活動しているのは同市住吉町、大曲高校3年の佐藤瑠美子さん(18)。佐藤さんは岩手大農学部への進学が決まっている。「進路が決まって時間もあり、次の目標を見つけたかった」と応募のきっかけを話す。17日から今月末まで2週間にわたって各学年の授業をサポートしている。
これまで1年生と3年生の手伝いを終え、この日は2年生の授業の手伝いだった。訪ねた時間帯はちょうど音楽の時間。幼稚園からピアノを習ったと言う瑠美子さんは担任の先生に代わってピアの伴奏を引き受けていた。「橋の上で楽しく踊ろう。歌いながらみんなで踊ろう」。子供たちの合唱に合わせリズム感タップリにピアノを演奏。先生はその間、子供たちに話しかけたり、手拍子を取って歌や踊りの指導をしていた。そして瑠美子さんのピアノに合わせ、ピアニカの演奏が始まった。「こんなに早くていいの?」と担任の先生。子供たちは「ちょうどいい」と大喜びでピアニカを吹いた。ごく自然に学級にとけ込んでいるような瑠美子さんの姿だった。
授業が終わると子供たちはすぐに「瑠美子先生。バドミントンで遊ばない」と取り囲んだ。「その前にジャンケンだ」とせがむ子供たち。すぐに5?6人の輪が出来て、瑠美子さんと「ジャンケンポン」と元気なゲームが始まった。
瑠美子さんは先生たちと同じように朝8時ごろから学校に通い、授業が終わっても夕方4時半ごろまで学校にいるという。休み時間になると子供たちは「瑠美子先生」とお姉さんのように取り囲み、ほとんど休む暇もないほど。坪井校長は常に子供たちに追われているような瑠美子さんの姿を見て「後悔してない?」と心配で声を掛けたほど。瑠美子さんは逆に「申し込んで本当に良かった」と言い「でも家に帰ると疲れてバタンキューです」と笑わせた。
大学では遺伝子工学を学び、農業の新しい可能性を探りたいと勉強に意欲を示す瑠美子さん。「自分が過ごしたこの学校に来た時は懐かしくて嬉しかった。そして自分と同じように子供たちが学んでいる姿を見ているだけで楽しい」と常に笑顔を絶やさない。
音楽の時間が終わってからは外で雪遊びとなった。アノラックを着込んだ瑠美子さんも一緒に外へ出て雪だるまを作り始めた。激しい雪が降っていたが、雪の広場に出た瑠美子さんは子供たちと同じ目線で親しもうと懸命だった。
坪井校長は「とても自然に子供たちと接している。理想的なお姉さんぶりを発揮してます」と感心し、「先生たちも助かっているし、母校でのこのようなボランティア活動は高校生にも貴重な体験になると思います」と県教育委員会の粋なはからいを褒めた。