近くの老人ホーム入居者を招待
児童ら「特別席用意してます」と付きっ切りで世話(10月27日・日)
中仙町の痴呆性高齢者のためのグループホーム「翠善荘」(有限会社・宝寿会経営)に近くの中仙小学校(藤井誠子校長・児童数296人)から「学習発表会」への手書きの招待状が届いた。招待状には「ぜひ見に来てくださいね。当日は特別席を用意して待ってます」と平仮名で書かれてあった。翠善荘で暮らしているお年寄り9人はこの招待状を目にし、大喜びした。26日、7人の職員の手助けを受けて学校を訪れた。学校では5、6年生の児童で「ハッピー委員会(児童会運営委員)」の11人が出迎え、車いすに乗ったおばあさんの背を押したり、杖を手にしたおじいさんの手を取って会場の体育館に案内し、付きっ切りで世話をした。感動的な光景だった。
翠善荘は痴呆症状のあるお年寄りを手をかけられる範囲内で迎え、スタッフと共に家庭的な雰囲気で暮らしてもらい、症状の緩和を図りたいと介護保険法の適用を受けて昨年9月にオープンした。入居しているお年寄りは9人。全員が個室で暮らし、7人のスタッフが3交代で世話をしている。特徴は午前6時起床、午後9時消灯などの規則はなく、それまでの生活リズムを大切にし、朝食を作るにおいや人の話し声で自然に目覚め、天気が良ければ洗濯物を干したり、散歩に出かけ、眠くなった時が消灯時間としていることだ。規則を押しつける生活ではなく、自分でできること、残された能力を引き出せるようにスタッフが援助しながら共に生活している。
そうした生活の中でお年寄りが喜ぶのは中学生や小学生との触れ合い。孫のような年代の子どもたちと接し、話をしている時が最も幸せとゆとりを感じると言う。それだけに中仙小学校から初めて届いた手書きの招待状にはお年寄りもスタッフも喜んだ。
藤井校長は「昨年度は『花いっぱいドンパン活動』として一人ひとりがプランターを持ってベコニアを栽培したが、その栽培を通じて保護者や花の苗の生産者の方など多くの人との触れ合いがあった。そこから『ふれ愛』をテーマに老人とのふれあいを大事にしてみようと企画した」と話す。
体育館ではこの日、子どもたちの学習発表会を観ようと館内を埋めるほどの多くの保護者が詰めかけていた。児童たちは一生懸命に踊りや劇、合奏などを披露した。翠善荘のお年寄りが訪れたのは予定よりも遅れて午前10時近かったが、待ち受けていたハッピー委員会のメンバーは体の不自由なお年寄りの手を取って履物を履かせたり、車いすに抱きかかえるなど翠善荘のスタッフを手伝った。そして手を取り合って会場に案内する姿も見られた。しかも体育館では付きっ切りで世話をする子どもの姿もあった。「孫のような女の子が側に付いてくれた」と泣き顔で喜びを表すおばあさんもいた。
翠善荘のスタッフたちも感動し、「子どもたちから当ホームを見学をしてもらい、交流が始まるのを期待したい」と子どもたち一緒に劇を楽しんでいた。介護員の藤井啓子さんは「軽い痴呆症の人たちだが、最初は『預けられた』という印象が強く家に帰りたがる。だからどうやったらここでの生活を楽しんでもらえるか、私たちも楽しくなければ入っている人も辛いので楽しめるよう工夫してます」と話した。