記念式典と祝賀会開く
市民の生活文化向上に貢献したいと高橋市長(9月29日・日)
大曲市立大曲図書館の創立100周年記念式典は27日午後、同市浜町のグランドパレス川端で挙行された。高橋司市長をはじめ市三役、宮田征文県立図書館長、市議団、図書館協議委員、図書館ボランティアら関係者約100人が参列、県立博物館の冨樫泰時館長が「縄文時代と現代」と題した記念講演の後、記念式典を行った。
同図書館は1902年(明治35年)9月25日に当時の大曲町にあった仙北郡議事堂の階下に「仙北郡図書館」として開館した。場所は現在の大曲中通病院周辺だった。14年(大正3年)には強首地震によって半壊。そして23年(大正12)3月31日に郡制廃止で郡立図書館は廃止になり、県立秋田図書館大曲分館となる。32年(昭和7年)4月1日に県から地元・大曲町に移管され、町立大曲図書館として発足。53年(同28年)、図書館に町役場が移転したため、大町にあった元江藤義会(現・働く婦人の家周辺)の建物を書庫として利用。54年(同29年)5月の「市制施行」によって大曲市立大曲図書館と改称した。68年(同43年)には建物の老朽化で同市浜町にあった旧大曲電報電話局庁舎2階に移転。さらに84年(同59年)にはその庁舎も老朽化で危険となり、市青少年ホーム2階に移転し、85年(同60年)3月、市役所前に現在の図書館が建設された。現在蔵書数は10万9076冊。
県教育庁払田柵跡発掘調査事務所長も務めた冨樫氏は記念講演で縄文時代の多くの遺跡発掘の経験を踏まえながら、「長い縄文時代の中でも土器が作られ始めたのは革命的なことだった。それ以前の旧石器時代は人は移動しながら食べ物を求めたが、土器を作ることを覚えた人間はモノを煮て食べることを知った。これによって人は一つの場所に定住するようになり、それぞれの地域に文化が生まれた」と土器の誕生が集落の誕生につながったことを語った。そして「縄文の人々は自然と共に暮らし、いろんな工夫をして道具を生み出し、使った。現代は経済成長にばかり目を注いでいるが、それでいいのか。日常生活から自然を忘れ、自然を壊している」と警鐘を打ち鳴らした。
記念式典で高橋市長は同図書館の歴史をひもときながら「図書館を取り巻く環境は、高度情報化社会の波や国際化、そして利用層の高齢化など急速に変わりつつある。このため施設間の書誌情報の検索や資料の電子化などにも取り組み、市民一人ひとりの生活文化の向上に貢献できる公共図書館としての役割を果たしたい」と述べた。終わってから参列者全員で記念の祝賀会を開いて図書館の100歳を祝った。
100周年記念として図書館所蔵の「和漢書一覧」200部と貴重古文書翻刻書「道能記(上・中・下)」100部を出版した。同館には江戸末期から明治にかけて出版された和書、漢籍約1600種類、9000冊近く保存されている。100周年に向けてそれを分類し、目録とした。
翻刻書の「道能記(みちのき)」は幕末の嘉永3年(1850年)、大曲、金沢、横手の有志が女性を含め18人の団体で関東から関西、中国、四国の名所旧跡と社寺を歩き、5カ月に及ぶ長い旅を記録した道中記。彼らが旅をした3年後の嘉永6年(1853年)には米国からペリーが黒船を連ねて来航し、国中が大騒ぎとなる。幕末の動乱期に諸国を旅した庶民のたくましいエネルギーが「道能記」には記されており、貴重な古文書として注目されている。
また100周年記念行事として10月7日から19日まで図書館所蔵の貴重な資料や珍しい図書を展示する「所蔵特別展示会」を図書館一階ギャラリーで行う。さらに10月18日午後1時半からは広域交流センターで「菅江真澄」研究会副会長の田口昌樹氏(秋田市)を講師に記念文化講座も予定している。演題は「菅江真澄と大曲」。