県議選仙北郡選挙区

西部戦線〃異常有り〃

5議席を巡って現、元、新の7人が激突(4月9日・水)

 県議選は大曲市選挙区が4日の届け出と同時に無投票で終わったのとは対照的に、仙北郡選挙区では5議席を巡って現職4人と元職1人、それに新人2人の合わせて7人による〃群雄割拠〃の激戦が展開されている。13日の投開票まで残す戦いは4日間。7人の候補者は勝敗の分かれ目のカギは西部地区が握っていると西部4町村での戦いに力を入れている。西部戦線〃異常有り〃の戦いを展望する。

 届け出順に候補者は

 自民党現・大野忠右エ門(65)=中仙町=

 無所属現・樽川  隆(61)=千畑町=

 社民党元・佐々木長秀(54)=西仙北町=

 無所属新・門脇 光浩(42)=西木村=

 無所属新・木元正一郎(62)=中仙町=

 自民党現・安杖 正義(58)=角館町=

 自民党現・原  盛一(56)=仙北町=

 県議選は地域戦でもある。出身地をまず固め、それから他地域への切り崩しが勝敗を分けるからだ。仙北郡を東部(六郷町、仙北町、太田町、千畑町、仙南村)、北部(角館町、中仙町、田沢湖町、西木村)、西部(神岡町、西仙北町、協和町、南外村)に分けると東部は前回、現職の原氏に新人の樽川氏が参入したもののお互い票を分け合って二人が当選を果たした。今回も樽川、原両氏の状勢に変化はない。北部は安杖氏と大野氏が競り合ってきた。しかし、門脇氏と木元氏の両新人の出馬で一気に混戦模様となった。一方の西部は前回は現職の佐々木氏と新人2人の争いだったが、今回は佐々木氏だけの地盤となった。

 仙北東部の樽川氏は今度は現職としての戦い。初出馬では約9600票で5位当選。4年間の実績もあって、支持者も安定してきたようで選挙カーが入った時の東部での有権者の反応はいい。告示前の総決起集会には約1000人の支持者が結集した。寺田典城知事も駆けつけ後押しした。前回、東部で約7000票を獲得。今回はさらに上乗せを図り、郡部全体でも票を伸ばしたいと躍起だ。連合秋田の推薦も受けており、労組の組織的な票の上積みも期待する。

 原氏は東部で前回約1万票を獲得、さらに郡部全町村でも小刻みに上乗せを図り、約1万2500票で2位当選した。樽川陣営の伸びと知事選で旗幟鮮明とした反寺田の戦いの影響がどう出るかが気になるが、東部を守りきり、郡部全体に設けた後援会組織がフル回転すれば逃げきれると読む。ただ北部で獲得した前回の票が安杖氏と新人・門脇氏の動きで目減りする可能性もあり、新たな票の掘り起こしに力を入れている。気になるとすれば昨年の仙北町長選で当選した伊藤稔町長の反対勢力を応援したしこりだ。後遺症はないと陣営は見るが、伊藤町長を支持したグループが大野陣営に付いて動き回っている。

 仙北北部は混戦状態だ。前回も北部4町村で約1万4000票の大量得点を稼ぎ、約1万8000票でトップ当選した安杖氏。しかし、今度の選挙では「門脇さんに一番、食われるのは我が陣営」と危機感を募らす。まず西木村の戦線は失ったと見るしかない。安杖氏はこの村でも有効票の6割近い支持を得て約2300票を獲得したが、今回は村挙げて門脇一色となっている。地元・角館町でも門脇氏が角館高校卒とあって、その同級生組織が懸命に動きだし、影響は計り知れない。第二の地盤、田沢湖町も心配だ。その目減り分をどこで稼ぐか。支持基盤が堅いだけにそれほど大崩れはないと見るが、出身校の大曲農業高校同期生らの支持を得、草刈り場となった西部への浸透と東部での票の掘り起こしに力を入れている。

 大野氏も不安材料を抱えての戦いだ。足元から出馬した元町長の木元氏がどのくらいの票を取れるのか。それが不透明だけに気になる。陣営では「木元さんはいたずらするために出たようなもの」と神経を尖らす一方、「むしろ木元さんの出馬で町民は大野を落としてはならないと気持ちが一つになった」とプラス志向へとムードを転換する。地元・中仙町で前回は約5800票と有権者の7割の支持を得た。北部4町村全体では約7800票だった。前回はそれを足掛かりに東部戦線に力を入れ、約1万1500票で3位当選。地元で木元氏の影響を最小限に抑え、郡部全体で票の上積みを図りたいと躍起だ。ただ東部では現職として抵抗力もつけた樽川氏、さらに一層の守りを固める原氏がいる。それでも少しでも切り崩しを図り、票の上積みをしなければと支持者の掘り起こしに懸命だ。北部でのこれまでの得票は浮動票ではなく大野個人に付いたものと守りきる自信を見せ、西部地区で可能な限り上積みを図って逃げきりたい。

 新人・門脇氏の動きが今度の選挙では台風の目となっている。後援会長の田代千代志西木村長は「村から県議候補者が出るのはこれが初めてでこれが最後だ」と訴え、村民の支持を門脇一色に染めた。新人としての知名度不足を補いたいと女性陣がボランティアで仙北郡内を回って手作りのチラシを配った。選挙戦では名前の連呼ではなく、住宅街や商店街でマイクを握って有権者に語りかける運動を展開する。4人もの子供を抱え、なぜ安定した職場である役場職員を辞めて県議選に出たのか。門脇氏はその理由を説得力のある言葉で語る。痴呆で介護が必要になった祖母の事も話しながら福祉の現場の不備を指摘、自分なりの解決策を訴える。「皆の当たり前の願いをおれの背中さ乗せてケレ。俺はその願いを秋田県に持っていき、何とか形にして持ってくるから」。秋田弁丸出しの口調。インパクトのある語り口に涙を浮かべながら耳を傾ける婦人たち、感動したように拍手を送る男性陣。「門脇がマイクを握る度に確実に票は伸びる」と陣営。だが、マイクを握る分、時間を浪費し郡部全体を小まめに回りきれないというロスもある。東部、西部地域へどう浸透するか。変化を望む無党派層の状勢によっては波乱のドラマを生みそうな可能性を秘めている。

 町議5期、そして中仙町長も経験した木元氏。遺族会や家畜商組合活動などを通じて郡部にも友人・知人は多い。選挙カーに乗っての運動は長靴。晴れていても背広に長靴姿はどこか憎めない。「頼むシ。頑張るがらよ」。選挙カーを走らせ、一人でも家から出てくると車から降り、握手と一声掛けるのを忘れない。「おれの選挙は草の根の戦いだよ」と煙に巻く。民主党の推薦を受けたのをバネに「寺田県政のパイプ役として」「町長経験のある木元を」とウグイス嬢は呼びかける。一票一票を拾い集めるような運動の展開をしている。

 西部でただ一人の候補者で社民党県連代表の元県議・佐々木氏は他陣営の切り崩しを警戒する。仙北西部4町村の有効票は約2万1000票。大票田でもある。今度で通算6期目となるベテランだが、革新系候補とあって佐々木氏の得票は地元・西仙北町では前回、有効票の半数ギリギリの約3500票。それより4年前は故人となった自民党現職が壁となって抑え、約2600票だった。苦しみながら西部では前回約6500票。前々回もほぼ同じ票だった。佐々木氏の場合は労組の支持などで地元で苦戦しても郡部全体から小刻みな票の上乗せをする力を持っている。前回も約1万500票で4位当選を飾る粘り強さを見せた。今回は地理的には最も優位な位置に立つが、陣営では「それが一番、怖い」と気を引き締める。他陣営の切り崩しが激しいだけに西部を守りきるだけで精いっぱいとの声が陣営からは漏れる。寺田県政を支える県政与党の立場として無党派層、保守系支持者への浸透にも懸命だ。