大曲市で成人式

私語もなく礼儀正しい式に

恩師らの思わぬ歌のプレゼントに大きな感動(8月15日・金)

 恩師たちによる音楽のプレゼント大曲市の成人式が15日午前10時から市民会館で挙行された。同市の今年の新成人は男性209人、女性213人の合わせて422人。式典には329人が参列した。成人式と言えば数年前から、全国的に〃荒れる成人式〃が広がり、常軌を逸した若者の行動が批判されがちだが、大曲市の成人式は成人証書授与でも、市長の式辞、来賓祝辞の間もシーンと静まり返り、とても礼儀正しい雰囲気で進んだ。そうした爽やかな成人式が毎年、繰り返されているだけに今年は当時の小・中学校の先生たちで、音楽好きな8人が集まって「歌と写真のプレゼント」と題した感動的な記念演奏会もあった。恩師たちからの思わぬプレゼントに新成人たちは感動した。

 「ワー。久しぶり」「キャー。元気!」。受け付け会場は華やかな和服姿、ピンクの花柄のワンピース、シックな黒の布地、それでいて肌を大胆に出したキャミソールワンピース、真っ白なミニスカートなど女性の集団はお花畑のような華やかさ。男性も髪を茶色に染めたりロープ状にするなどさまざまなヘアーファッションに黒やグレーのスーツでビシッと決めて駆けつけた成人が多かった。市選管ではこの成人式を機会に選挙への関心を持ってもらいたいとアンケート投票用紙を一人ひとりに手渡し、模擬投票をしてもらった。

 大曲中卒業で、東京芸大2年生の泉徳人君は「教員目指して勉強している。今日が自分の新しい人生のスタートだと思って頑張りたい」と感慨深げに話した。南中出身で横手市の会社で事務を執っているという女性は「やっぱり大人の仲間入りしたんだなと思える日にしたい。終わってからの同級会が楽しみ」と華やかな笑顔を見せた。

 式典が始まる前のエントランスホールはそうした新成人たちが3人、4人と思い思いのグループを作っては「キャー。懐かしい」と悲鳴のような声と笑い声で収拾がが付かないほどのにぎわい。

 しかし、式が始まると誰一人私語を交わす若者はなく、シーンと静まり返った。大曲市の成人式は成人代表で作る実行委員会(高橋健委員長)と市教育委員会が話し合って運営を企画する。その話し合いの中で、教育委員会では「いつも礼儀正しい式を運営する若者のために何か新鮮なプレゼントをしたい」と新成人がまだ小・中学生だったころの先生たちに協力を求めたところ、楽器を弾ける先生たちが賛同。ピアノを弾ける女の先生、サックスホーン、トランペット、ギターを弾ける男の先生合わせて8人が「せっかくやるなら本格的な演奏を聴かせたい」と合同で練習を重ね、この日に備えた。

 記念写真に興じる新成人たちその先生たちがステージに立つと会場からは「ワー」と津波のような歓声。井上陽水の「少年時代」、そして長渕剛の「乾杯」の2曲が演奏されると同時に背景のスクリーンには成人たちが中学生のころの写真が映し出されるというプレゼントもあって、誰もが感動しながら歌と演奏を聴いた。当時、中学の先生で、演奏のリーダーとなった毛利博信さん(大曲市教育委員会学校教育課長)は「今日で少年時代とお別れです。少年時代にも苦しいこと、辛かったこと、そして嬉しかったこともいっぱいあったと思う。それを思い出して少年時代と別れてもらいたいと井上陽水の歌を選んだ。そしてこれからの人生にいっぱい幸せがあるようにと長渕剛の『乾杯』を選んだ」と話しかけた。

 恩師の温かい配慮、優しい心遣いに会場を埋めた新成人たちは感動。「ワー」と歓声を挙げながら、拍手で応えていた。式が終わると新成人たちはあちらこちらにグループを作って記念写真を交互に撮り合い、久しぶりの再会を喜んでいた。この日も小雨が降るあいにくの天気だったが、二十歳の弾けるような若さは鮮やかな衣裳と元気さでしっくりしない天気を吹き飛ばしていた。