2年連続の雨の大会
大会提供の豪華さに「さすが日本一」の声も(8月24日・日)
大曲市が世界に誇る「第77回全国花火競技大会『大曲の花火』(大曲市、大曲商工会議所、市観光物産協会主催)」が雄物川河川敷を会場に23日午後5時からの「昼花火」で幕を開け、午後6時50分からメーンの「夜花火」が開催された。天気予報通り昼花火が始まると同時に雨となったが、全国から選りすぐられた花火師たち27人が夜空をキャンバスに描いた音と光の芸術に観客は感動し、酔った。大会本部は昨年より5万人多い63万人の観客だったと発表した。表彰式は24日午前10時からシャインプラザ平安閣で挙行されたが、審査委員長を努めた田村昌三東大大学院教授は「レベルの高い大曲ならではの作品で、多くの人に夢とロマンを与えた。世界に誇る大曲の花火として発展することを期待する」と絶賛した。審査の結果、「夜花火の部」で最優秀賞の「内閣総理大臣賞」に輝いたのは愛知県の「磯谷煙火店」だった。磯谷煙火店は創造花火の部「踊るミラーボール〜サタデーナイトフィーバー」で優勝、経済産業大臣賞に輝き、10号割物の部では優秀賞を獲得した。
ドーンと体中に響くような音─。バリバリバリッと夜空を引き裂くような大音響。次々と打ち上げられる炎の柱から鮮やかな赤や青、銀色の極彩色の光、星が散らばる。「ウオー。ワー」。桟敷席を埋めた約8万8000人の観客は「これでもか、これでもか」と繰り返される音と光の芸術にただ呆然。「すごい。もうすごい」と驚きの声を挙げるばかりだった。
それにしても残酷な雨だった。これで2年連続の雨の大会となった。天気予報は大会当日の雨の確率を70%と予測。それでも当日朝は部分的に青空も見られた。「これなら晴れるかもしれない」。そうした期待を込めた観光客が車で次々と大曲入りした。宮城、岩手、青森、新潟、岐阜、そして関東周辺の県外ナンバーの車が国道、県道、あるいは裏道を利用して次々と大曲入りした。
午後4時ごろには桟敷席も次第に埋まり始め、広大な河川敷もビニールシートを張って見物席とした観客でびっしりと詰まった。堤防の階段、斜面も人ひと、ひとの渦だった。「花火を待つ」。押し寄せた観客はただひたすら「大曲の花火を見たい」と会場に駆けつけた。しかし、雨はその大群衆の願いを打ち消すかのようにパラパラと降りだし、昼花火が始まると本降りとなった。
桟敷席の人たちは一斉にこうもり傘を開き、さらには雨合羽やビニールシートで雨をしのいだ。河川敷の大群衆もシートを被っての見学となった。雨は降り続ける。午後6時50分。歓迎あいさつと大会宣言に続いて地元・小松煙火工業による10号割物2発と創造花火「美の国秋田・四季の宴」と題した標準審査玉の打ち上げでメーンの夜花火が始まった。
尺玉の10号割物が西山を背景に「ドーン」と腹に響くような大音響と同時にさく裂する。「ヒャー。大きい」。夜空を見上げ、その大きさと色彩の美に感動する。続いての創造花火となると次々と打ち上げられるスターマインの連発に観客はただ呆然。「ウワー。ウオー」と言葉にならない声を挙げ驚くばかり。空を見上げる顔に雨が落ちる。しかし、誰一人立ち去る人はいない。誰もが「大会提供」の花火を期待する。
「タイカーイ、テイキョーウ」。声を長引かせる独特の掛け声が響くと会場は静まり返った。ズシーン、ズーンと幅500メートルにわたって火柱が斜めに、直線にと立ち上がる。銀色、金色、紫、青、赤。極彩色の星たちが夜空を駆け抜け、舞い踊る。「LOVE&PEACE 天使たちのメッセージ」と題した今年の大会提供花火。5分間の間に1400発の花火が打ち上げられる。光の洪水だ。「ウオー。もうすごい。たまらない」。雨で濡れるのも気にせず桟敷席を陣取った人たちは歓呼の声を挙げて喜んだ。「大曲の花火って〃日本一〃と聞いていたけど本当だ」と県外から初めて来たという人たち。「雨がひどいけど来て本当に良かった」とただひたすら感動していた。
今年の桟敷席で喜ばれたのは通路を設けた点。昨年の大会も雨にたたられ、多くの観客はドロ靴のまま桟敷を通って自分の席へと入った。このため既に席を取って宴会を始めた人たちは迷惑がった。今年は通路があるため他人の席を汚すこともなく、好評だった。しかし、桟敷から一歩下りた通路は雨でドロドロの苗代状態。長靴で防衛してきた人はいいとしても事情を知らず普通の靴で来た人たちは、どろんこだらけの足に泣いていた。
成績は次の通り。
◇夜花火の部▽最優秀賞=内閣総理大臣賞=株式会社磯谷煙火店(愛知県)
◇創造花火の部▽優勝=通称産業大臣賞=株式会社磯谷煙火店(愛知県)「踊るミラーボール〜サタデーナイトフィーバー」▽準優勝=株式会社北日本花火興業(秋田県)▽優秀賞=有限会社菊屋小幡花火店(群馬県)、株式会社花火屋(秋田県)、株式会社紅屋青木煙火店(長野県)▽入賞=信州煙火工業株式会社(長野県)、野村花火工業株式会社(茨城県)、株式会社小松煙火工業(秋田県)、株丸玉屋小勝煙火店(東京都)、三遠煙火株式会社(静岡県)、株式会社イケブン(同)、株式会社斎木煙火本店(山梨県)、有限会社太陽堂田村煙火店(長野県)、新潟煙火工業株式会社(新潟県)
◇10号割物の部▽優勝=中小企業庁長官賞=野村花火工業株式会社(茨城県)「昇曲導付四重芯引先紅光露」「昇曲導付四重芯冠先緑点滅」▽準優勝=株式会社紅屋青木煙火店(長野県)▽優秀賞=有限会社菊屋小幡花火店(群馬県)、株式会社磯谷煙火店(愛知県)、三遠煙火株式会社(静岡県)▽入賞=株式会社小松煙火工業(秋田県)、有限会社太陽堂田村煙火店(長野県)、株式会社イケブン(静岡県)、株式会社ホソヤエンタープライズ(東京都)、株式会社齋木煙火本店(山梨県)
◇昼花火の部▽優勝=秋田県知事賞=野村花火工業株式会社(茨城県)「夕陽の輝き」▽準優勝=有限会社若松煙火製造所(宮城県)▽優秀賞=有限会社篠原煙火店(長野県)、株式会社北日本花火興業(秋田県)▽入賞=有限会社菅野煙火店(福島県)、有限会社菊屋小幡花火店(群馬県)、株式会社小口煙火(長野県)
◇特別賞▽文部科学大臣奨励賞=野村花火工業株式会社(茨城県)▽社団法人日本煙火協会長賞=株式会社小松煙火工業(秋田県)