東北農業研究センター水田利用部

二つの営農研究座談会開催

異常気象下の営農と直播水稲栽培を学ぶ(12月17日・水)

 大曲市四ツ屋の東北農業研究センター水田利用部(堀末登部長)主催の二つの農業研究会が16日と17日、同市のグランドパレス川端で開かれた。16日は「営農座談会─今年の農業を振り返る」。そして17日は「水稲直播栽培を語る会」。同センターは東北地域における省力・低コストで環境に調和した水田農業実践のための研究を行っているが、今年の異常気象で苦労した農家の人たちに参加してもらい、同センターの研究員と農家の人たちが意見交換し、お互いに学ぶ機会にしたいと開いた。

 両日の座談会には県内各地の生産者代表と青森、宮城、山形、岩手、秋田の農業試験場の研究員、そして東北農業研究センター水田利用部の研究員ら約70人が出席した。堀末部長は「今年の異常気象で戦後3番目の不作となった。特に青森、岩手、宮城、福島の太平洋岸沿いでは冷害、イモチ病の大発生で多大な被害をこうむりお見舞い申し上げたい。今日は農業の研究者に集まってもらったが、実際の米作り農業を知らない研究者も多い。もっと農業の現場に役立つ研究者になるべきだと思い生産者の方々と意見交換することになった」と趣旨を語った。

 16日の座談会では仙北町と太田町、それに大潟村の計8人の生産者が今年の営農状況を報告。8人とも8月から9月にかけての天候不順による日照不足で、追肥をやるべきかどうかなどその時期と肥料の量に迷い、その施肥管理の結果が、収穫に大きな影響があったなどと報告していた。

 そして水田利用部の研究員はいもち病に強く、「ひとめぼれ」に匹敵する良食味水稲品種「ちゅらひかり」を育成したこと(稲育種研究室)、古代米と言われる紫黒米「朝紫」と赤米「紅衣」にはがんなど生活習慣病や老化の原因と考えられている活性酸素を除く働きが強い(同)、除草剤に抵抗性を持った雑草が見つかっており、それへの防除対策(雑草制御研究室)、斑点米の原因となっているカメムシの一種「アカヒゲ」の移動実態を解明するための研究(水田病虫害研究室)などの成果発表があった。

 17日は「水稲直播栽培を語る会」として複粒化種子の直播栽培の普及と定着をテーマに検討会となった。タネを直接、田んぼに植える直播は担い手の減少、高齢化、米生産の国際化の進行で、省力・低コスト技術のキーテクノロジーとして注目され、その普及と栽培技術の確立が課題となっている。

 直播だと移植栽培のようにハウスでの育苗管理など手間隙が省け、複合経営、大規模経営にもつながるとされている。しかし、スズメなど鳥にタネを食べられるなど鳥害や苗が芽生えてくる苗立ちの時の対応、雑草の防除など問題も多い。このため生産者からは「稲よりも素晴らしい雑草が生えた」など雑草と鳥の被害に悩んでいる報告があった。一方、移植栽培に比べ、野菜栽培との作業が競合することもなく、収量も次第に移植栽培に近づき、品質も悪くないなどメリットの多さも語られた。

 除草剤の面でも効果的なものが作られており、いずれ直播栽培の技術が確立し、普及の段階に入ると今は低コストだけを目的としていても、いずれは低農薬栽培へとつながるものと期待されている。直播栽培の検討会では雑草問題も含め、組織化の問題などの課題報告、そしてパネルディスカッションも開いて生産者と研究者が活発な意見交換をした。

 また水田利用部では「東北地域の水稲直播に関する『インタビューノート─生産者の心を探る─第1巻』北東北(青森、岩手、秋田)編」を発行。両日の研究会参加者に資料として配布した。直播栽培に取り組んでいる農家の人たちの生の声が収録されているほか、直播き栽培技術のポイントなど貴重な技術書にもなっている。本に関しての問い合わせは東北農業研究センター水田利用部(0187─66─1221)へ。

 ホームページでの問い合わせは下記へ。

 http://www.omg.affrc.go.jp