高橋大曲市長

今秋10月の市長選には出馬せず

高齢を理由に引退表明、市町村合併に全力を(2月7日・金)

 引退表明後、記者会見する高橋市長高橋司大曲市長(74)は7日午前10時半に開会した臨時議会の招集あいさつで、今秋10月20日に任期満了を迎える市長選について触れ「長い間、務めさせてもらい、お世話になったが、今秋の市長選には立候補しないことにしました。これまでのご好意に対し、厚くお礼を申しあげる」と事実上の引退を表明した。これによって1987年10月4日の初当選以来、4期16年続いた高橋市政は終焉する。引退のあいさつを聴いていた議員の一人からは「もう少し頑張ったらいかべ」と激励の声も飛んだが、議場は静まり返ったままだった。

 高橋市長は本会議休憩後の記者会見で「大曲市の財政は平成元年(89年)のバブルが弾けて以来、右肩上がりではなく、右肩下がりの財政状況で苦労したが、住民生活の便利さに力を入れてきた。駅前第2工区、下水道、水道、それに道路の整備ではある程度の成果を挙げたと思う。建物では市民の希望であった市民会館も造らせてもらった。残念なのは県立大学をもって来れなかったことだ」と述べた。

 引退の理由については「高齢だ。74歳ですから」と強調した。後継者については「全く考えてない」と言いきった。そして引退までの任務としては「市町村合併は国、県への手続きもあるので平成16年6月までに合併調印を目指したい」と8市町村の合併実現に全力を注ぐ考えを示した。

 主な政策実績に寄せたコメントでは「仙北組合総合病院に委託していた市立大曲病院が経営危機に陥り、財政負担の面からも廃院か市の直営かの岐路にたったが、『患者とその家族を人道的立場から考えてもらいたい』と議会を説得、市直営へと方向を変えた。そして現在地に移転改築するに当たっては、従来の精神科に加えて高齢化社会の大きな問題となっている老人性痴呆棟の併設を図り、病院の去った角間川地区には住民感情を配慮して自転車振興会の支援を得て特別養護老人ホーム『サン・サルビア』の建設導入を図った」と振り返っている。また大曲新人音楽祭や秋田おばこ節全国大会の創設、大川西根小学校へ公立の学校では全国でもまれなドイツ製パイプオルガンの設置などを功績の一つに挙げている。さらに秋田新幹線開業に伴うJR大曲駅、市観光情報センターの建設などで首都圏や仙台圏からの新しい表玄関にふさわしい駅舎機能や東西自由通路の設置など内外の利用客の利便に配慮したことも挙げている。

 5期目を目指して出馬すべきか、退任すべきか。高橋市長が周辺にもらしたこれまでの言動はかなり揺れた。任意の大曲仙北市町村合併協議会が設立されてからは周辺町村長から「合併が実現するまで大曲市長としてリーダーシップを発揮してもらいたい」と再度の立候補を強く勧められた。しかし、1月19日に県議の栗林次美氏(54)が県議選は見送り、市長選出馬を表明。この栗林氏の決意が引退への導火線となったのはほぼ間違いない。議会で退任を表明してからはむしろサバサバした表情で会見に応じ、「長い間、お世話になったんしな」と以前の気さくで飾らない口調が戻っていた。

 高橋市長は87年10月の選挙で初当選後、2期目、3期目は市民の圧倒的支持を受けて連続無投票当選を飾った。だが4期目を目指した99年9月26日の市長選では新人の石塚柏氏(55)と一騎討ちとなり、高橋氏1万3281票、石塚氏1万279票と厳しい批判票とも取れる票が石塚氏に流れた。

 初当選と同時に市長公室を一階に設置するなどオープンで親しみやすい高橋市政もこの選挙戦から流れが変わり、翌年4月にはその公室を廃止し、二階の市長室にこもるなど次第に見えにくい市政となった。その間には民間業者が宅地開発した際に業者から寄付を受け付けるべきはずの緑地を市職員のミスで放置したことから、1500万円もの公金を使って買い取るなどの無駄を生じさせ、それに対する釈明もないことや「ごみ処理施設」の入札を巡って国の会計検査院から約1億7000万円の補助金の減額措置を受けたことへの釈明もなかったなど高橋市政は次第に市民感情とは乖離したものとなっていた。

 だが、市町村合併の気運が盛り上がった昨年はこの合併問題一筋に打ち込み、仙北郡内13町村を説得に歩くなどリーダーシップを発揮。最終的には仙北東部と仙北北部、それに大曲市と周辺8町村が合併する方向へと3つに分裂したが、困難な交渉をまとめきり、合併に目鼻をつけた功績は大きい。

 高橋司市長の主な経歴は次の通り。

 29年1月26日生まれ。大曲小学校から旧制弘前高校を経て54年3月、東大文学部西洋史学科卒業。神奈川県立横浜立野高校、茅ヶ崎高校教諭を経て県立秋田工業高校教諭へ。県教育庁文化課長を経て80年1月3日に大曲市教育長に就任。83年12月3日には助役。そして87年10月4日の一騎討ちとなった市長選で初当選。自宅は大曲市福見町11番23号。