大曲市の市民大学で演奏会
息の合った二人の演奏に聴衆は大きな感動(2月27日・木)
大曲市教育委員会では02年度の「市民大学講座」の最後を飾る講座として26日夜、地域職業訓練センターで「横笛」のプロを目指して活躍している田沢湖町神代の安藤陽介さん(20)を講師に迎え、「横笛と踊り・アコーディオンのセッション」を開いた。踊りとアコーディオンで応援出演したのは劇団「わらび座」を退職して、安藤さんの近くで踊りの塾「万踊衆(まんようしゅう)」を開いている菊池正平さん(56)。親子ほど年齢の違う二人だったが、安藤さんの横笛と菊池さんの踊りや太鼓、アコーディオンの意気投合したセッションは訪れた市民約100人に大きな感動を与えていた。
安藤さんは国指定重要民俗文化財になっている「角館町の祭典」の飾山(おやま)ばやしの「横笛」奏者として中学時代から活躍。高校時代は大曲農業高校太田分校の郷土芸能部で活動。老人ホームを慰問した際、涙を流して演奏を聴くお年寄りの姿を見て、「こんなに喜んでもらえるなんて」と感動し、横笛の演奏一本で生計を立てるプロの道を選ぼうと決心した。
その安藤さんが2年前の12月に大曲教会の「クリスマスの集い」で演奏したのを「横笛のプロを目指す19歳の少年」と紹介したのがきっかけとなって、知名度も次第にアップ。テレビでも取り上げられるなどして各地から演奏の声が掛かるようになった。今回も市教委が02年度の講座の最後を飾るものとして安藤さんの演奏がふさわしいのではと出演を要望した。そして安藤さんと共にボランティアで老人ホームを訪問、横笛と踊りのパフォーマンスで活躍している菊池さんも紹介され、応援出演となった。
この日は安藤さんが横笛で「甚句」を演奏すれば、菊池さんがテープ演奏に合わせ「秋田音頭」を踊るといった組み合わせ。安藤さんは角館町の祭典で演奏される「上り山はやし」や話題曲となっている「大きな古時計」、さらには童謡「浜辺の歌」「赤とんぼ」なども演奏。静かな会場に流れる横笛の音色は心を解かすような美しさ、森閑とした森の中で聴くウグイスの響きのような感動を与えた。一方の菊池さんは「西馬内盆踊り」や「津軽じょんから節」などの踊りを披露。和服に菅笠姿で踊る菊池さんのあでやかな姿は一人で踊っているのではなく、西馬内の盆踊りそのもののように群衆が輪になって目の前で踊っているような錯覚さえ与えるほど。わらび座で鍛えた民俗芸能の真髄を見せていた。
中休みのトークでは安藤さんは「ケンニチの記事のおかげでこのような場で演奏できるのが嬉しい。今年はテレビ出演した際に出会った俳優の地井武男さんの紹介もあり、東京に出て横笛の修行を積むと同時に舞台を観たりして、いろんなものを吸収してきたい」と語った。一方の菊池さんも「私もケンニチの紹介で声が掛かった。安藤君を知ったのもケンニチの記事からで、こんな近くに横笛のプロを目指して頑張っている安藤君がいるのを知ってビックリし、一緒に活動してみないかと声を掛けた」と安藤さんとの出会いを語った。
まだ横笛一本の演奏では生計にもならず、水道会社でアルバイトをしながらの厳しい毎日。「高校の友だちはみんな就職してしまって、自分の将来に不安を感じたこともあったが、このごろではプロになるんだという夢は間違ってなかったと思うようになった」と安藤さん。演奏会を重ねる度に分かってきたのは「怖さを知ったことだ」とも語った。「演奏することでその怖さを知り、どう演奏に結びつけるか反省するようにもなり、新しいジャンルも広がった」とも。
安藤さんと菊池さんのコンビネーションによる横笛と踊り、それに太鼓演奏とアコーディオンのセッションは1時間ほどだったが、聴衆は手拍子を打ちながら「いい。演奏会だった」と企画した市教委の計らいに感謝していた。